やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。












   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町 誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジャー・ウォブルさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪


2019年09月01日

お取り寄せ救世主 第27回 救世主派遣センター代表 五十嵐


27 救世主派遣センター代表 五十嵐


「きゅ、救世主派遣センターって」
「そうだよ、お前が電話した埼玉南教会とやらだよ。ほら、見ろよ、間違いない」
 ちゃっきり節を奏で続ける携帯のディスプレイと黄色いチラシを私は、妻の眼前に交互に差し出してみせた。
「ま、まさか、メシヤマちゃんへの指令かなんかの電話?ってことは、やっぱりメシヤマちゃんは・・・」
「そ、それはない。いや、ないとは言えないかも、いや、でもやっぱりないんじゃないかな・・・」
「あんた、そんなことどうでもいいわよ。それより、早く出なくっちゃ」
 妻の言うとおりだった。ちゃっきり節は、既に2番のサビを迎えていようとしている。って、やはり、出るのは私?
 私は、大きく息を吸うと、覚悟を決めて餃子のストラップのついた携帯の通話ボタンを押した。
「も、もしもし・・・」
 一瞬の間の後、意外なほど慇懃な男の柔らかな声がした。
「日付けの変わるこんな夜分に、誠に、誠に、申し訳御座いません。私、救世主派遣センターと申します宗教法人の、いえいえ、決して怪しいカルト教団の類ではありません。悩み多き現代、ストレスだらけの皆様に真の心の平穏をお届けするニュータイプの派遣型宗教、その代表を勤めさせて頂いております五十嵐と申します」
「は、はあ・・・」
 私の持つ小さな携帯から一緒に話を聞こうと妻が顔をべったりとくっつけてくるものだから、その頬辺りの盛り上がる肉塊に阻まれて私の口はなかなか開かず、口籠り気味に相槌を打つのが精一杯だ。
 しかし、この五十嵐なる人物の先程の発言により、飯山君と、この下品なチラシを発行した教会が、全く無関係であることが判明した。
 では、飯山君と、このチラシとの繋がりは、いったい。
「実を申しますと、この度のお電話なんで御座いますが、私どもに、ある種の手違いが生じました結果、貴方様に大変なご迷惑がかかっているであろうことが、たった今しがた、そう、たった今判明いたしまして、何はさて置き、まずは、まずはお詫びをせんければならんと、私どもの誠意を示させていただかねばならんと、かように思いまして」
 あの下品な黄色いチラシからは想像できないほど、ひたすら謙(へりくだ)った五十嵐と名乗る男の対応からは、むしろ、妙な不気味さが伝わってきた。
「た、大変な迷惑って、まさか、あの?」
 私の一言に電話の向こうの緊張感が、電話線を通じて入り込んできた気がした。
「はあ、恐らく、そのまさか、ではなかろうかと」
「ほ、北北東の猫のミーコに、4桁くじ、113万円!」
 突然、妻が虚空に向かって叫んだ。恐らく、口を衝いて出てしまったのであろう。
「は?な、なんと仰られましたか?」
「いや、なんでも・・・」
 2人の顔面が密着して口籠っていたのが幸いした。五十嵐と名乗る男は、妻の叫びを聞き取れなかったようだ。
「貴方様には、お心当たりがあろうかと思うのですが、最近、その、妙な間違い電話、しかも、訳の判らない身の上相談の類が、このお電話に架かってくることなど、御座いませんでしたでしょうか?はたまた、何はともあれ、これから自宅に来いなどという、問答無用な脅迫まがいの電話などは・・・」
 私たち夫婦は、頬をくっつけあったまま、まん丸の横目同士で、目と目を見合わせた。飯山君が救世主にされてしまった謎が、今解き明かされようとしている。

第28回「平身低頭 謝罪し続ける教祖」へつづく



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posted by maruzoh at 16:06| Comment(0) | ◆お取り寄せ救世主 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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