やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。












   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町 誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジャー・ウォブルさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪


2019年08月04日

お取り寄せ救世主 第23回 飯山版 ヨゼフとマリアの馴初め


23 飯山版 ヨゼフとマリアの馴初め


「それで納得だわ。だって、メシヤマちゃんのお母さん、美人過ぎるって言うか、綺麗さが芝居掛かってて、さり気ないのにプロっぽいんだもの・・・」
 言われてみれば、妻の言う通りだ。写真の飯山君のお母さんは、飛び切り綺麗なのに実に優しそうで、家庭的なのにそのくせ洗練されていて、誰もが夢見る、まるでホームドラマに出てくるお母さんみたいだ。
「こんなに綺麗な人だったなら、お父さん、さぞかしライバルが多かったんでしょうね」
 飯山君は、そんな妻の言葉を肯定するでも否定するでもなく、左右にゆっくりと、ゆあーんゆよーんと揺られたまま、話しを続けた。そう、寝間で幼子に、昔話を語り聞かせるみたいに。
「僕も、直接は知らないんです。母は、その頃のことを僕には話したがりませんでしたから。でも、父から、母には内緒だよって、僕が聞いた話では、若い時分、母は小さな旅芝居の一座にいて、全国を転々と巡業していたということでした。
 母は6人兄弟の4番目で、貧しい家庭に生まれ育って、ろくな教育も受けさせてもらえませんでしたが、小さい頃から歌や踊りが好きだったんだそうです」
「お母さん、産まれは?宇都宮・・じゃないよね?」
 私の質問に飯山君はゆっくり頷き、左右のゆっくりな揺れに更に縦揺れが加わり、飯山君の上半身は、実に複雑な軌道で旋回をした。
「母の産まれ故郷は、山梨県の大月です。大月の巡業に来たその旅芝居の一座に、家出同然で加わったのが、17の時だったそうです」
「お母さん、あれだけ綺麗だったんだから、一座の花形スターだったんでしょう?」
「はあ、父はそう言ってましたが、当時の写真は、1枚として残っていないんです。ですから、実はこの話、全て父を通しての又聞き、受け売りなんです。母には、もう今となっては聞きようもないですし」
「えっ?もしかして、お母さん・・・」
 飯山君の答えは、やはり想像の通りであった。
「はあ、亡くなりました。もう、4年になります」
「まだ、お若かったんだろうね」
「僕が産まれたのが、母が21の時でしたからね。まだ42で逝ってしまいました」
 私と妻は、どちらともなく目を合わせて、暫くの間、会話が途切れた。
「お母さんがお父さんと出会ったのは何歳くらい?」
 飯山君にそう語った妻の声は、さっきまでとはまるで別人のように、静かで、優しげだった。
「それが・・・」
 そう言ったきり、飯山君は、唇を噛んで俯いていたが、意を決したように顔をおもむろに上げて、私たち夫婦を下から覗くようにして見据えると、ポツリと、一言だけ言い放った。
「21だそうです」
「あら、随分と、じょ、情熱的な出会いだった訳ね」
 妻は、精一杯気を使って、言葉を選んでいるようだが、出会い頭のできちゃった婚といったところなのだろう。
 ところが、飯山君の次の言葉は、私たちのそんな下世話な憶測を蹴散らしてしまうほど、意外なものであった。
「い、いえ。母の三回忌に宇都宮に帰った晩、父が酒を飲みながら、僕に打明けてくれたんですが、母は・・・、父と出会った頃の母は、既に、僕を、身篭っていたそうです・・・」

第24回「出会いは大月、再会は宇都宮」へつづく



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posted by maruzoh at 13:17| Comment(0) | ◆お取り寄せ救世主 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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