やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2016年03月09日

俺様とマリア volume.97 オモニ キム・クンナム


俺様とマリア volume.97 オモニ キム・クンナム 


 キム・クンナムが女で、しかも、どっからどう見てものオバチャンとは、流石の俺様も思いもよらなかった。その上、白のエプロン姿が似合う、今時では骨董価値さえありそうなサザエさんパーマのおまけまで付いてるときてる。大久保の街で「猛虎」と呼ばれる第5の戦士を探せ、なんて神龍監督の指令も、こりゃあちょっと悪ふざけが過ぎるんじゃねえか?
 エディのおっちゃんも、俺様同様あんぐりと開けた口が閉まらないまんまだ。しかしそれは、探していた戦士が女だったという驚きよりも、トレーナーという職業柄、かつてこれ程完璧なヘッドバットを見たことが無いという衝撃に起因しているだろうことは、想像に難くない。今の一撃はそれ程のパチキ(頭突き)だった。
 確かにチーム神龍が必要としているのは、真の実力者であって、容姿や性別なんかに左右されることの無いのは当然だ。ということは、このキム・クンナムの実力は、名伯楽エディ丹前のお眼鏡に適ったってことか。
ようやく口を閉じたおっちゃんが、ゴクリと唾を飲み込んだその時だった。恐怖心を払拭するかのように木刀を手にしたSPZのアンちゃんが、キム・クンナムに襲い掛かった。

「くっ、くそだらぁ!」

 このアンちゃんに剣道の心得がないだろうことは、全く剣道を知らない俺様にも判る。無駄な動きが多過ぎて力のベクトルが分散しちまう上に、剣の先端が最短距離を走っていない。つまり、こんな「へなちょこ」をかわすのはキム・クンナムにとっては余裕のはずなのだが、驚くことに彼女は、樫の木と思われる木刀を自らの額を敢えて突き出すようにして、受けきって見せたんだ。

ガイィィィンッ

 俺様はわが目を疑った。な、何と木刀は、まるで大きな岩の塊を叩いた様な音を残して、物の見事に弾き返されちまった。呆然と木刀と彼女の額を交互に見比べるアンちゃんの目の前で、その木刀の半分から上が、力無くお辞儀を始めたかと思うと、音も無くポロリと折れて静かに足元に落ちた。
 キム・クンナムは表情ひとつ変えないで、対峙する1人々々をゆっくりと眺め回す。と、SPZの雑魚キャラたちの膝が、一様にガクガクと震え出した。必死に虚勢を張って堪えているその表情の奥には、自分の目の前にいるのが、本来なら自分たちが決して相手にしてはいけない存在だったことを思い知らされた恐怖感に満ち溢れていた。それはまるで、腕自慢の猟師たちが勢い込んで虎狩に出たものの、実際に強大な虎に遭遇すると、その格と力の違いに圧倒されてしまい、何をすることもできないのにも似ていた。それだけのオーラを彼女は纏っている。

「お、お、覚えてやがれ・・・」

 この空気に耐え切れなくなったのだろう。半分になっちまった木刀を手にしたアンちゃんが、捨て台詞と共に入口に向かって駆け出した。三十六計逃げるに如かず。トンズラをこいた訳だが、キム・クンナムは、それを許さない。かの新宿最凶トーナメント決勝で、人狼ウェアウルフの動きを完璧に捕らえた俺様の動体視力でさえ、一瞬の遅れを取ってしまうほど、その時の彼女の動きは素早かった。いきなり正面に立たれたSPZの連中には、彼女が瞬間移動したかのように見えたかも知れない。

ドスッ ガッ メリッ

 ここからの蹴りがまた速かった。テコンドー仕込みの正確な蹴りが、ピンポイントで金的、鳩尾、こめかみの順に繰り出される。最後のテンプルへの意識を刈り取る一撃は、苦痛を取り除く為のオモニとしての優しさかもしれない。
 その後、キム・クンナムが残りの4人を倒すのに要した時間は、締めて38秒。全く無駄の無い、踊り舞うような動きから平等に1人計3発ずつの突きと蹴りを打ち込んで、ジ・エンドとなった。
 マグロの様に横たわったスキンヘッドの男たちを見下ろした彼女は、汚らわしいとでも言いたげに洗面台で手を洗うと、エプロンで手を拭きながら俺様たち2人を一瞥して言った。

「こいつらに比べたらちょっとはやりそうだけど、
あんたらも所詮はヤクザモンのくだらない縄張りごっこだろ?
でもね、ヤミ市の頃の昔から決まってんだよ。
大久保は、新宿にも、中野にも属さないってね。
ここはね、私らの故郷、独立国なんだ。
これまでだって、こちらから攻めたことは1度としてなかった。
但しね、降りかかった火の粉は、全て払い除けてきた、全てね。
それはこれからも、変わりはしないよ」

 用件を切り出す前に、あまりにもきっぱりと断られちまって、逆に俺様は、このキム・クンナムというオモニがとても魅力的に見えちまった。この人は、凄い。大した人物に違いない。

【To be continued.】




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posted by maruzoh at 08:28| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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