やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2014年10月03日

俺様とマリア volume.93 マリアとの別れ 再び


俺様とマリア volume.93 マリアとの別れ 再び


 人気(ひとけ)の失せた新宿地下闘技場のリングで、俺様たち5人は1つだけ残ったリングライトに照らされてお互いを見つめ合っていた。その5人とは、俺様に花ちゃん、神龍にB・Bと元ゴクという極めて汗臭い、野郎どもばかりだ。
 そう、俺様のマリアは、ここにはいない。マリアは、籠から飛び出ちまったカナリアがするりと手をすり抜けるようにして、また俺様の前から消えちまった。マリアがいなくなって腑抜けちまった俺様は、怒りや悲しさをも凌駕する疲労と脱力感に包まれて、ただ呆然とマリアが出て行っちまった花道奥を見詰めていた。

「Eノイズ、お前との約束を俺は守ることができなかった。
人狼ウェアウルフとのあの死闘を乗り越えて、
お前が命懸けで守ったはずのマリア嬢だったのに、
本当にすまねえ、この通りだ・・・」

 いきなり頭を下げる神龍に、俺様は正直面食らっちまった。これがあれだけ俺様が忌み嫌っていた男と同一人物とは、とても思えやしない。こいつもこれまで組織を束ねる上で、本当の自分を殺していろんな神龍を演じなくてはならなかったのかもしれない。
 しかし、その声に振り返ること無く花道を見詰め続ける俺様は、無言のまま、ほんの30分ほど前のこのリング上での出来事を反芻していた。


 新宿・渋谷連合VS池袋・中野・練馬連合の互いのテリトリーを賭けての5対5リアル・バーリ・トゥードゥが、神龍とディーン安武の間で瞬く間に合意に達した。開催は2〜3ヵ月後になる見込みだ。
 となればシールドたち、特に裏切り者で足手まといのはずのリンダは、この地下闘技場からいかに安全に脱出するかのみに全神経を集中させ、思考を巡らせているに違いない。相手は手段を選ばぬ非情で聞こえた神龍である。これまで一旦油断をさせておいて、寝首を搔かれた者の数は枚挙に暇がない。当然元秘書のリンダは、そんな神龍のやり口を事細かに見てきたのである。
 落ち着きを取り戻したリンダが、例の唇の端を歪める残忍な笑顔で語りかけた。

「OKよ、アタシも5対5のリアル・バーリ・トゥードゥ、飲むことにするわ。
ディーンの言った通り、場所、時間、ルールはすべてアンタに任せる。
但しね、アタシたちにも1つだけ条件があるの」

「条件?」

「そう、アンタの薄汚い手口は、これまで傍らで散々見てきたからね。
ここから池袋までのアタシたちの安全を保証して貰うわ。
手打ちですよ、さあどうぞと引き上げさせておいて、
暗がりになったら後ろからズドンじゃ、こちらも堪らないわ」

 ディーンが穏やかな口調で話の穂を継いだ。

「いえいえ、神龍さんを信用してない訳じゃ決してありませんよ。
ただ、功名に走る部下の出来心ってもんもありますからね。
お互い新宿、池袋のトップを張る者同士ですから、
万が一、百万が一があっては困ります、そうでしょう?」

「で、俺にどうしろと言うんだ?」

「ゲストを1人お連れして帰りましょう。
5対5の日までの停戦の為に大切に扱わせていただきますよ。
平たく言えば、まあ、人質と言ったところですね。
と、なれば・・・
このリング上にいる人間から人質に不適切な人物を引き算していけば、
答えは小学生にだって判るでしょう?」

 神龍が振り返った。片膝を着いた俺様の肩口を支えるマリアの細い指が、微かに震えた。

「マリアか・・・」

「そういうことになりますね」

 本当は相当なショックだったろうに、気丈にもマリアは俺様を見詰めてから1つ大きく頷いて微笑みかけると、固く口元を結んで1歩2歩とリング中央に歩を進めた。

「マリア、行っちゃダメだ・・・」

 立ち上がることすら出来ない俺様の力ない声は、折から沸き起こった観客のざわめきに掻き消されちまった。ディーンの目の前で振り返ったマリアの唇が、俺様の名を呼んでいた。

「E坊、迎えに来てね。私、待ってる」

 マリアの唇は、そう動いていた。絶対にそう言っていた。それまで堪えていた涙がマリアの瞳から零れて、カクテルライトに煌いて綺麗だった。ディーン安武にエスコートされてリングを降りるマリアを、俺様には止めることが出来なかった。

【To be continued.】





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posted by maruzoh at 07:55| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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