やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2014年08月30日

俺様とマリア volume.91 神龍の覚悟


俺様とマリア volume.91 神龍の覚悟 


 花道奥の暗がりに立っているのは、何の変哲も無いギプスに松葉杖姿のB・Bなんだけど、これがまた妙に様になっているから不思議だ。雰囲気があるというか、キマっているというか、やっぱり見てくれの良さだけで比べたら、俺様たち新宿や池袋、ましてや練馬や板橋、足立なんざは、渋谷の足元にも及ばないのかもしれないな。

「このくたばり損ないが、また出てくるとはね。
まだ恥がかき足りないってのかい?
ククク、アンタなんかとんだ役不足だってのにさ。
しかも、さっきかけてやったTKOのお情けを仇で返すとは、
つくづく見下げたゲス野郎だよ、アンタって奴はさ。
ふんっ、まあ、いずれは潰そうと思ってたんだ。
ありがたいことに、その手間が省けたよ。
今度こそこのシールドがきっちり確実に息の根を止めてやるから、
さあ、早くこのリングの上に上がっておいでよ、負け犬のB・B」

 禁句「オバサン」という油が注がれて、それまで青白く燃えていたはずのリンダの炎が、今度は真っ赤に燃え上がっちまった。ところが当のB・Bは、やっぱり喧嘩慣れしているんだろう。そんなリンダを意にも介さずに策士の視線のまま小さく笑うと通路の奥に向かって手招きをしてみせた。奥からもう1人誰かが来るようだ。気を利かせた照明係が慌てて花道奥にピンスポットを当てる。ピンスポの円形の舞台、B・Bの傍らに姿を現したのは、見覚えのある半そで道着に角刈り。俺様の準決勝の対戦相手、超合金ニューZに身を包むリアル改造人間、元ゴクのアンちゃんだった。

「おい、面白そうじゃねえか、俺も混ぜろや」

 元ゴクのアンちゃんは、俺様に強(したた)か打ち据えられた首をゴキゴキまわしながら喋るんだが、それが妙に貫禄を感じさせるから不思議だ。アンちゃんは続けた。

「IWGP、SPZ、石神井会?
ど真ん中からの風景とやらを見るには、邪魔な野郎たちばかりだな。
中でも練馬の石神井会。
まかり間違って奴らが新宿御苑辺りを縄張りにしてみろ。
辺り構わず耕されて、一面の大根畑にされちまうぞ。
でもなあ、俺はあそこの薔薇園が、好きなんだよ。
悪いけど練馬大根の栽培には反対させてもらうぜ」

 おいおい、元ゴクのアンちゃんも見掛けによらず、笑いを取りにきたのかい。ただし、ちょっと滑っちまっな。大体、この緊張感の中、誰一人として笑う奴なんかいねえよ。
 しかし、こいつら2人、うん、男だぜ。俺らファイターは闘いを通じて、こうやって拳で分かり合っていくんだよ。そして1度分かり合った絆は、決して揺るぎはしないんだ、俺様と花ちゃんのようにな。
 とは言ってもだ、例え奴ら2人がいくら化け物級の強さだとしても、これまでの過酷な試合で疲労困憊の上、相当な手負いであることは、紛れも無い事実だ。それは俺様にも言えることで、実際無様に片膝を着いちまったままの俺様は、マリアに守られているような情けない有様だ。絶対的な形勢の不利は、ちっとも変わりやしない。この局面を、俺様たちは一体どう乗り切ったらいい。
 と、それまで沈黙を保っていた神龍が、1歩前に歩み出てようやく口を開いた。

「リンダよ、なかなか面白い茶番だな。
まあ、秘書風情なりには、よく知恵を絞って準備をしたもんだ、褒めてやろう。
ただな、やはり所詮は損得づくの秘書の浅知恵だ。
てっぺんに立つには、絶対にここだけじゃ無理なんだ。
ここだけじゃな・・・」

 自らの頭(ペテン)を指差した神龍の言葉を、リンダが真っ向から跳ね返す。

「ククククク、相も変わらず上から目線かい?
とんだお笑い種だね、何を偉そうに宣(のたま)ってんだよ。
カッコつけての負け惜しみを言ったところで状況は変わらないんだよ。
それぞれがウェアウルフと同等の戦闘力を持つシールドの3人に対して、
アンタらと来たら、疲れ切ってよれよれのEノイズと、
か弱いだけが取り得のマリア嬢。
片目を潰されて遠近感の無いアンタと、
病み上がりで退院したてのステゴロの花。
誰がどう見たってアンタらに勝ち目は無いよ、キャハハハハ・・・」

 ところが、神龍は全く怯んじゃいなかった。やっぱりこの魔都新宿を統べるのは、これだけ土性骨が座った男でないと務まらないということか。

「おい、リンダ。
お前もこの大会の開催に手を貸したわけだから、
俺が警備の黒服の何名かにこんなものを持たせてるってのは、
当然頭に入ってるんだろうな?」

 神龍が揚げた右手の人差し指が、ゆっくりと鍵型に曲げられた。と、同時にそれまで暗闇に潜んでいた4人の黒服がリングサイド近くの雛壇に駆け寄った。黒服の腕には、なんと黒光りのするサブマシンガンが握られている。4つの銃口は、それぞれリンダとシールド1人1人にピタリと向けられていた。

「これは暴走しちまったウェアウルフの駆除用に用意したもんだったが、
こんな時に役に立とうとは思ってもいなかったぜ。
このシールドどもの戦闘力がウェアウルフと同等だって言うんなら、
一般人の動体視力ではとても動きを追えるもんじゃねえ。
つまり、通常のチャカやライフルじゃ、とても当たりゃしないって訳だ。
しかし、4方向からのサブマシンガンのめくら撃ちなら、
鉄格子に囲まれたこの狭いリングだ、必ず当たる」

 神龍の言葉に眼を剥いたリンダが、ごくりと唾を飲み込んだ。ディーンも怪訝そうな顔つきで神龍を睨みつけている。

「ア、アンタ、自分が何言ってるか判ってんのかい?
こんな至近距離でマシンガンをめくら撃ちなんてしようもんなら、
アタシらだけじゃない、アンタらだって蜂の巣みたいになっちまうんだよ。
そ、それだけじゃないよ。
ここに集まった新宿裏社会のVIP、顔役連中だって、
その流れ弾でほとんど全員が無傷じゃいられないわよ。
当然死人もごろごろ出るだろう。
瞬く間に新宿裏社会は秩序を失っちまうんだよ。
そ、そんな滅茶苦茶なことが、出来るわけないじゃない。
しょ、正気ならそんなこと考えやしないわよ」

 明らかにうろたえているリンダを尻目に、神龍はにやりと笑って言い放った。

「そんな正気じゃないことが、出来る俺かどうかを一番知っているのは、
長年俺の秘書をしていたリンダ、お前さんじゃなかったのかい?
そ・れ・に・だ。
俺を裏切ったり、恥をかかされたりした奴らの最期がこれまでどんなだったか。
そいつもお前さんは、よ〜く知っていると思ったんだがな」

 リンダの膝が小刻みに震えだした。

【To be continued.】





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posted by maruzoh at 13:58| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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