やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。












   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町 誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪


2014年02月06日

【短編】ドクター・キギリスの大発見 ―前編―


【短編】ドクター・キギリスの大発見 ―前編― 


―ドクター・キギリス宇宙物理学研究所―

 ドクター・キギリス、齢83歳。
天才科学者で名を馳せた博士も、今は昔。
 助手と2人きりの研究所で、電波望遠鏡の前で何をするでもなく、ぷかりぷかりとタバコをふかす毎日でした。ところが、そんなある日。

「た、た、た、大変じゃ!こりゃいかん!
夏休みが・・・、もうすぐ・・・終わる?」

 モニター画面の前を右往左往、まさに狼狽と言う様がぴったりのドクター・キギリスに、助手のコロギくんがデータ収集の手を止め駆け寄りました。

「博士、そんなに慌てて、いったいどうしたっていうんですか?」

 博士はハアハア言いながら、瞬きもせずモニターを見つめています。

「コ、コロギか。
じ、実は、夏休みが終わって・・・
い、いや、すまんがその前に
気付けのブランデーを持ってきてくれんか」

 コロギくんは応接の戸棚から来客用のブランデーを持ってきてくれました。ところが、近くにグラスが見当たりません。

「なあに、これで充分じゃ」

 博士はそう言って辺りを見回すコロギくんからブランデーの瓶を奪い取ると、ごくごくっと残った4分の1ほどを一気に飲み干してしまいました。

「ぷはぁ〜っ」

 少しは落ち着いたのか、それまで青ざめていた博士の頬がほんのりと赤みを取り戻し、博士は続きをポツリポツリと語り始めました。

「これは、研究の成果でもなんでもない。
本当にたまたまの偶然、
降って湧いたような奇跡的な発見じゃ。
しかし、それが偶然であっても、必然であっても、
わしが発見してしまったことは、事実であり、
それは、もはや逃れられない現実なんじゃ・・・」

「の、逃れられない・・って?
そのお言葉から察すると、
決していいことではなさそうな・・・」

「さよう。
逃れられん最悪の現実じゃ。
わしは、まさにとんでもない、
恐ろしい大発見をしてしまったんじゃ。
それは、今までの物理や化学はおろか
歴史や哲学、そう、宗教の存在さえも
否定しなきゃならんほどの・・・
人類史上最大最悪の発見なんじゃ」

 しかし、どんなものでしょう。ほんのたった今しがた、ほんの僅かな時間で、しかも偶然に知ったことが、それほど恐ろしい人類史上最大最悪の発見なのでしょうか。いきなりこれだけの大風呂敷を広げられてしまうと、コロギくんも科学に携わるものとして博士の話に疑問を持ってしまうのも当然です。
 特にコロギくんは、ここ数年前から博士には誇大な妄想を持つ傾向があるんじゃないかと感じていましたから、

(また、夢でも見たんじゃないのかな?
博士も随分お年を召してきたことだし
話半分に聞いておいた方がいいかも知れないなぁ)

 と思ってしまったのも当然です。

「それはそれは、世紀の大発見、おめでとうございます。
でもその割には、いつも目立ちたがり屋の博士が
不思議にも、ちっとも浮かれてないじゃありませんか?」

「こ、これが、浮かれてなんぞいられるものか。
それほどに凄い、そして恐ろしい大発見なんじゃ!」

 一旦は落ち着き始めた博士でしたが、コロギくんの不審そうな気持ちを察知したのか、またまた感情に火が点いてしまいました。コロギくんは、少し話題を変えたほうがいいと思いました。

「は、博士、さっき博士は仰っていましたね。
夏休みが終わるって、一体全体、なんなのですか?」

 すると、「夏休み」と言う言葉を聞いた博士は、びくっと体を硬直させるではありませんか。きっと、「夏休み」という言葉が、博士言うところの最悪の大発見のキーワードなのでしょう。
 博士は、急に嗚咽を漏らしたかと思うと、妙にやさしい口調で泣きながら、こう言ったのです。

「この宇宙は・・・
いいかい、コロギ。
日本でもなければ地球でもない。
宇宙全体がじゃよ。
この宇宙が、あと1日で綺麗さっぱり消滅してしまうんじゃ」

《後編につづく》





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posted by maruzoh at 08:37| Comment(0) | ◆熱田丸蔵 ア・ラ・カルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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