【短編と曲】足踏みオルガンと夜の道化師
最近、とっても眠い。
軽い晩酌を終えて、パソコンデスクの前に座って
「さて、今日こそは傑作が書けそうな気がするぞ」
って、思うんだけれど、
マウスをカチカチやっているうちに
「あれれ?」
奴らだ、また奴らだ。
この時間にこうしていると、
決まってまた いつものあの曲が・・・
ぱたたた ぱたた ふぁーご ふぁーご
ぱたたた ぱたた ふぁーご ふぁーご
僕の頭の奥の、ずっと奥の方からやって来る、
足踏みオルガンを弾く道化師たち。
「だめなんだ僕、これ聞くとやっぱり眠くなっちゃうんだ・・・」
ふぁ、ふぁ、ふぁ〜ぁ・・・
奴らの弾く足踏みオルガンの音色って、
どうしてこんなに眠くなるんだろう。
ぱたたた ぱたた ふぁーご ふぁーご
ぱたたた ぱたた ふぁーご ふぁーご
午後の日差し。
大きな窓から教室に差し込んだおひさまの中、
逆光に包まれた眩しい笑顔でオルガンを弾いてくれた
幼稚園の白はと組、やさしい佐藤先生。
あったかな教室、あったかな音色、あったかな笑顔。
なぜだか知らないけれど、きっと奴らは、
それを僕に思い出させてるんだろうなぁ。
ふぁ、ふぁ、ふぁ〜ぁ・・・
ぱたたた ぱたた ふぁーご ふぁーご
ぱたたた ぱたた ふぁーご ふぁーご
待てよ、もしかしたらこれって、
この曲が流れてくると、眠くされちゃうのかなぁ。
それとも、眠くなると、この曲を想い出すのかなぁ。
ふぁ、ふぁ、ふぁ〜ぁ・・・
僕は鹿爪らしい顔つきをしたいんだけど、
眠くってそれどころじゃない。
しかもこれは、重大なことのようでいて
ちっとも重要なことじゃないみたいだ。
ぱたたた ぱたた ふぁーご ふぁーご
ぱたたた ぱたた ふぁーご ふぁーご
ふぁ、ふぁ、ふぁ〜ぁ・・・
どっちにしろ
とっても眠いことに、
変わりはないんだから・・・
ふぁ、ふぁ、ふぁ〜ぁ・・・
残念ながら傑作は、
またも明日の晩のお楽しみだな・・・
ふぁ、ふぁ、ふぁ〜ぁ・・・
お・や・す・み・な・さ・い・・・
ぱたたた ぱたた ふぁーご ふぁーご
ぱたたた ぱたた ふぁーご ふぁーご
夜の道化師さん、また明日。
※道化師たちの弾く眠くなる曲(by maruzoh)はこちらでどうぞ♪
《おわり》
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