やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
   maruzoh live.jpg

名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2013年09月07日

俺様とマリア volume. 83 「シールド(盾)登場」


俺様とマリア volume. 83 「シールド(盾)登場」 


 一人残らずが右へ倣えして、反対意見のひとつも出ないなんてのは、ろくな世の中じゃないし、お前の何事も迎合したくないって反骨心は俺様も嫌いじゃあない。だけどよリンダ嬢、さっきのお前の台詞は、それとはちょっと違っていたぜ。ありゃあ、負け惜しみ通り越してイチャモンだ。道理が通ってねえ。
 大体がさっきまでの俺様とウェアウルフとの死力を尽くした神々しいまでの死闘を、よりによって「インチキ」や「八百長」呼ばわりするなんざ、いくら悔しいからってそりゃあ哀し過ぎやしないか。
 精も根も尽き果てた俺様が、そんなことを思いながらリングに目を落としていると、いつの間にかリングサイドに立っていたリンダは、俺様とマリア、神龍の3人を順番に睨み付けてから再びワイヤレスマイクを真っ紅な唇に近づけた。ガサッというノイズがざわついた会場に響く。

「な、何度でも言ってやるよ。
こんなトーナメントの結果なんて、アタシは認めやしない。
なぜかって? そんなの簡単さ。
神龍、Eノイズ、マリア、おまえら3人は、同じ穴の狢(むじな)、
大方汚い金目当てでつるんでやがる、なかよしグループだからさ。
つまり、このトーナメントそのものが出来レースって訳。
大体、新宿の裏事情に通じてる耳の早いお客人の皆さんならご存知の通り、
このトーナメントはそもそも神龍ファミリーに喧嘩を売ったこの2人、
Eノイズとマリアを衆人環視の元、公開処刑する場だったはずだよ。
それがどこでどう間違ったんだか・・・」

 まるで恐怖を振り払うかのように捲くし立てるリンダが言葉を切って後退りしたのは、リング中央の神龍がリンダに向けて数歩間を詰めたからだった。神龍の射るような視線は、隻眼になることによってその鋭さをむしろ倍増させているようだ。こわばった顔のリンダに神龍がどすの利いた低い声でゆっくりと語りかけた。

「おい、俺を呼び捨てとは聞き捨てならねえな、リンダ。
それに何をペラペラと浮わついた話をしてやがる。
まさかてめえ、どっかの誰かにケツでも掻かれてんじゃねえだろうな?
さっきも言ったはずだ、秘書風情が小ざかしいマネをするんじゃねえ。
それでもてめえがこっから先に進もうってんなら、
これはもう俺とファミリーへの完全な裏切り行為だ。
だとすれば、リンダ、お前にはそれなりの償いはしてもらわねえとな」

 確かにリンダが神龍のことを呼び捨てにするとは恐れ入ったぜ。しかし眼前のリンダは姦(かしま)しいだけじゃなく、その眼にはなぜか悲壮な決意すら感じさせている。神龍の言う通り新宿の顔役が集まったこの場で、リンダは敢えて誰かの描いた絵に乗ろうとしているのかも知れない。だとすればこれは、新宿東口裏社会のクーデターだ。リンダの膝が小刻みに震えているのも分かる気がする。神龍の本当の恐ろしさを知っているのは、当のリンダに違いないのだ。

「な、何がファミリーだい。
家族だって?はは、チャンチャラおかしいわ。
飢えた獣はね、決してつるんだりしないもんだよ。
アタシはね、ずっとチャンスを窺ってきたのさ、ずっとね。
この鉄格子の中、神龍、アンタを守ってくれるのは、
疲れ果ててボロ雑巾みたいなEノイズと、か弱いマリア嬢だけ。
しかもこの会場には新宿中の顔役が一堂に会してる。
こんな千載一遇のチャンス、アタシが逃がす訳無いだろ。
いいかい?新宿東口はね、アタシが貰い受けるよ。
待たせたね、出ておいで、シールド(盾)ども!」

 さっと挙げられたリンダの右手に呼応するように突然黒い影が3つ会場の奥から姿を現すと、瞬く間に観客席に雪崩れ込んで客を無造作に蹴散らしながらリングサイドまで駆け降りてきた。
 素肌に黒のノースリーブのミリタリージャケット。その危険なオーラを痛いほどに発散させている佇まいは、俺様に鋭利で使い込まれた3本の軍用ナイフを連想させた。
 俺様だけじゃない。こいつらが只者ではないってことは、会場にいる人間が1人残らず本能的に感じ取っていたが、屈強を誇る神龍ファミリーのボディーガードをしてもその例外ではなかった。彼らは3人に一瞥されただけで身が竦(すく)んじまったんだろう。制止をする素振りさえ見せられぬまま、奴らに易々とリングインを許しちまった。
 俺様とマリアに神龍、リンダとシールドと呼ばれた3人の都合7人が対峙する極限まで緊迫したリング上で、俺様は必死に思い出そうとしていた。シールドの内の見覚えのある1人に、いつ、どこで出会ったのかと。

【To be continued.】




☆アルファポリスに挑戦☆
アルファポリスさんのランキング「Webコンテンツ」に挑戦します。「うふふ」とか「ほろっ」とか「なるほど」と感じたら、押してくださいね。

 現代小説 俺様とマリア

posted by maruzoh at 06:22| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

検索
 

title.gif
maruzohは、アートビリティ作家さんを、応援します!

●ご連絡先● 〒165−0023 東京都中野区江原町2−6−7
社会福祉法人東京コロニー アートビリティ事務局内
TEL 03−5988−7155/FAX 03−3953−9461
●営業時間● 平日 9:00〜17:20 / 土・日・祝日 休業日