やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2013年06月23日

【エッセイ】息子の結婚


【エッセイ】息子の結婚


「次の日曜日、お父さん予定ある?」
 突然の長男からの電話である。
「人を連れてくけど……」
「彼女なの?」
「まあね」
 やっぱり──と思った。
 去年二男が少し早過ぎる結婚をしたとき、長男は僕は三年はしないつもりだと断言した。それが半年ぐらい前から、ちらちら彼女の存在をほのめかすので変だとは思っていたのだった。弟に先を越されて焦ってしまったのか都会の一人暮らしに疲れたのか、初めて連れて来た時はもう決定の事後承諾だった。
 ジューンブライドだの、日曜日の大安は式場がなかなかとれないので早く押さえた、などは口実で、あっという間に半年後の結婚式が決まった。その前に仲人を頼み、結納もすんで当日になった。場馴れているはずの夫が、親族紹介で、一番気の合う弟の名前が出てこなかったり、可笑しいほどあがってしまったのに、主役の本人はまるで何回もリハーサルでもやったようにすらすら誓いの言葉を読んだのには驚いた。しかも披露宴では白いタキシードで舞台に駈け上り、友人がお祝いに弾いてくれたギターを借りて二曲も歌ってしまうというのびやかさ、まるで楽しんでいるかのような新郎新婦である。緊張してかしこまっていたのは、むしろ双方の両親だったような気がする。
 去年、今年と続いて二人の息子が結婚して私の生活は無理やり一変させられてしまった。結婚式前後の諸々の行事や、新しい人間関係に、身も心も財布の中まで、もうくたくた。その上当今は嫁をもらったとは言い難い。臼の男と書く舅も古い女と書く姑も字からして若い世代には疎ましい存在だろうと思うから余計気を遣う。しかし新人類のこと経済的にも、体力的にもまだまだ力のある親たちをちゃっかり利用する。私自身は無理なくしてやれることは出来るだけ力を貸したとは思うが、自分を犠牲にしてまではしたくない。何しろ私たちにはまだまだこれから長い人生が待っているのだから。昔なら老後は子どもの世話になれただろうが殿様やお姫様のように育てられた自分本位の新人類をあてにすることはできないと思う。
 第一、女偏に古いといっても五十三歳の私自身、中古であっても古いとは思っていない。出来たらこれから一旗揚げたいと思っている。手はじめに今年は車の免許を取ったところだ。
 二人の息子は偶然にも、どちらもお嫁さんの実家の近くに住んでいる。そうすればなおのこと嫁さんの実家との往き来の方が多くなるだろうし、若い嫁さんがこれからぶつかる雑事につけても、その方が自然で上手くいくに違いない。幸い二人の嫁は健全な家庭で普通に育てられた。明るくて、健康で、かわいい女性たちである。息子を取られたと思うより若い同性の友人が二人できたと思っていい関係を持ち続けたいものだと思う。
 私たちが子ども時代には、どこの家にも兄弟は五、六人いて、末っ子が成人するころ親はその責任を終わり世を去っていく例が多かった。今は子どもも二、三人、そのうえ親の寿命は大幅に延びたのだから、人生の設計も当然組み変えなければならない。
 熟した果実が自然に落ちて、そこに芽を出して次の世代が引き継いでいくように、人間も成人したら子離れ、親離れして、またそれぞれ独立していくのが自然なのだと思う。そういう意味ではこれからは夫婦単位の生活が中心になるだろうし、個人の意味も重くなると思う。私は○○さんの奥さんとか○○さんのお母さんの前にれっきとした名前のある私個人であると頑張ってみるが、これは案外大変な、努力のいることだぞということが分かってくるのである。夫や子どもたちのかかわりを取ると、私個人として残るものは今はこころもとない。
 息子たちの自立をいい機会に第二の人生のドライブでスタートしよう。免許取りたてで少し怖いけれど勇気を出して走り出そう。アクセルとブレーキを調和よく踏んでこれからの長いドライブを安全運転で走り続けよう。
 勿論、追突したり、されたりしないよう車間距離を十分とることを忘れずに──。(53歳)

《終》


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posted by maruzoh at 07:27| Comment(0) | ◆澤田節子作品集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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