やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年07月02日

俺様とマリア volume.65 5秒間のハード・ヒット


俺様とマリア volume.65 5秒間のハード・ヒット


 驚くほど静かにリングから降りたリンダは、これまでの試合同様に赤コーナー後ろの鉄格子の外に陣取って腕組みをしている。ただリングからの降り際、ウェアウルフの耳元に口をつけるようにして交わしたリンダの囁きとその後の冷ややかな笑いが、いやが上にも俺様に不吉な予感を抱かせる。リンダはウェアウルフにチャンプアの抹殺を命じたに違いないが、果たしてその内容は・・・

「開始から5秒。
お前は一体何発の打撃を受けるかしらね」

 リンダの言った言葉が再び俺様の脳裏に浮かぶ。普通5秒での瞬殺と言ったらファーストコンタクトでの一撃KOになるだろうが、リンダはそんな生半可な終わり方じゃ許さないつもりだろう。しかしダウンしてからのマウントの追撃って言っても、神龍が早々に試合を止めるだろうし、5秒の間にそうそう何発も打撃を受けるなんてことがあるんだろうか。

カアアァァァァァァン

 不吉な予感と疑問を俺様に残したまま、神龍の叩くゴングが会場に響き渡った。と、全く同時に驚くべきことが起こった。

ダッ タッタッタッ バキャ ズン ドスン ガシィ

 会場の誰もが息を飲んだ。赤コーナーに控えていたはずのウェアウルフは、ゴングと同時に反対側の青コーナに向かって飛び出すとリングの対角線を僅か3歩で渡り切って、その勢いのままコーナーを背にしたチャンプアに連続攻撃を始めた。俺様のエイトマン・ダッシュに勝るとも劣らない驚異のスピードだ。エディのおっちゃんとの特訓で俺様には奴のステップが辛うじて見えたけれど、会場の誰もが一瞬ウェアウルフが消えちまったように見えたに違いない。
 し、しかし速いのは移動速度だけじゃない。1秒間に7発、いや8発。2秒を経過した今、もう既に15発以上のパンチがチャンプアを襲い続けている。しかもだ。これも誰にも見えないだろうが、ウェアウルフの奴は既に意識を失くしているであろうチャンプアの倒れかけた上体を、下から突き上げるようにしてパンチを打ち込んでダウンしないようにコーナーに貼り付かせていやがる。

ドカッ ボキッ ガツン ボクッ ガシャッ ドドド ガスッ バシィ

 3秒経過。驚いたことに両腕の回転速度がますます速くなる。1秒で9発、10発。い、いや、まだまだ速くなる。や、やばい、チャンプアが殺られちまう。

「と、止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 俺様は無意識の内に、特別席から身を乗り出して叫んでいた。ソファのシーツを握り締めた両手は、汗でぐっしょりと濡れていた。

カンカンカンカンカン・・・

 俺様の声で異変を察知した神龍がゴングを鳴らしたのが丁度5秒、ジャストだった。よ、44発。俺様の見落としが無ければ、ゴングから5秒間でウェアウルフがヒットさせたパンチの数が44発。コーナーから崩れ落ちたチャンプアの意識は当然の様に刈り取られ、青コーナーから1歩も踏み出すことないままに奴はボロ雑巾のように横たわっていた。ルール無用の新宿最強決定トーナメントとは言え、これは酷すぎる。
 しかし、これだけの実力差のある相手に対して、いくら「オバサン」呼ばわりされたからと言って、こんなにまでさせることなんて無えだろう。そもそもこれまでのウェアウルフは、己が生きるため、群れを守るために狩りをしていたんであって、それは残虐さとは一線を引いた言わば生き残る為の本能であったはずだ。そのウェアウルフをここまでの殺戮兵器として仕込んで実行させるとは、リンダという女はサディスティックを通り越した特異な感性を持っているのか、はたまた、このトーナメントの先に何か他の目的でもあるんじゃなかろうかと、俺様は邪推しちまう。

「クックックッククククク・・・
アタシをナメてもらったら、こういう結末が待っているんだよ。
いいかい、Eノイズ、アンタも同じだよ。
今の内に愛しのマリア嬢に遺書でも書いといたらどうだい?」

 リンダの眼は、全く笑っていなかった。

【To be continued.】




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 現代小説 俺様とマリア

posted by maruzoh at 08:13| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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