やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年06月08日

俺様とマリア volume.55 リアル改造人間 元ゴク


俺様とマリア volume.55 リアル改造人間 元ゴク 


 準決勝までの1時間半の休憩時間は、俺様にとって苦痛以外の何物でもなかった。マリアの顔とエディのおっちゃんの顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えする。時々そこにあの腐れリンダの顔が割り込んで来やがって、俺様は愛しの君を恋しがったり、老いた恩人を心配したり、傲慢なおばさんをを恨んだりと、さながら走馬灯のように苦痛の波が押し寄せ、神経の休まる暇がない。もう限界とばかりに右足に貧乏ゆすりが出始めたところで、

コンコン

 ようやく控室のドアがノックされた。

(やっとこのイライラから開放されるか)

 俺様は頭(かぶり)を振って、ふうっと深い息を吐いた。

「準決勝第1試合です。リングサイドにお願いします」

 花道に向かう通用口。さっき俺様に、自分の目の前で消えちまうイリュージョンを見せつけられた警備員が、化物でも見るような顔つきで俺様を見て、脅えるように扉を開けた。カクテル光線で眩いばかりの赤い絨毯を進むと、リングの上では半袖の道着のいかつい男が待ち構えている。

「約束通り勝ち上がってきたぜ、プオタ野郎。
相変わらずにやけたツラしやがって・・・
てめえ、俺を半チク呼ばわりした落とし前は、きっちり付けてやるからな」

 そう言って凄むのは、お馴染み両腕が超合金ニューZ仕様の改造人間、元・獄真会館のアンちゃんだ。茹で蛸みてえに真っ赤な顔をして威勢だけはいい。強くなりたい一念で改造手術まで受けたこいつの一途さや、先輩11人に復讐をしたっていう根性は、俺様はちっとも嫌いじゃないんだが、ただ当の本人は俺様のこの余裕の上から目線が相当頭にきてるみたいだな。
 でも、なんだな。こう言っちゃ何だけどレベルが違うんだよ、レベルが。確かに超合金入りの正拳突きは脅威かも知れないけど、あのスピードじゃあな・・・。俺様やウェアウルフの動体視力を以てすれば、恐らくはカスリもしねえだろうな。当たらなけりゃ超合金もアルミニウムも代わりゃしねえ。どうせそこまで改造したんだから、もうとことんまでやっちゃってさ、いっそのこと肘から先を着脱可能にしてロケットパンチでも発射できるようにすれば、俺様もちょっとは驚いて苦戦したかもしれねえ。悪いけどさ、ウェアウルフ戦の為に体力を温存しときたいんだ、ここは速攻で終わらせてもらうとしようか。
 本部席の神龍も、まあここでの大番狂わせはないと踏んでるようなどこか冷めた表情だ。

「おい、愚図愚図すんじゃねえよ。早くゴングを鳴らせよぉ」

 猛り狂う元ゴクのアンちゃんに急かされた神龍が、「やれやれ五月蝿いガキだ」とばかりにゴングを鳴らした。

カアアアァァァァァァン

 両腕を顔の両サイド前面に掲げるムエタイ流のアップライトの構えで元ゴクが前に出てくる。なるほど、これならフック系のパンチやハイキックは超合金の両腕でガードできるわけだから、元ゴクはボディから下の攻撃と、両腕の隙間を縫って打ち込まれるストレート系の打撃に照準を絞っていればいいということになる。無い知恵を絞って一生懸命考えた作戦なんだろうな。

「せいやっ せいやっ」

ブン ブンッ

 左右の正拳突きが超合金の腕から繰り出される。しかし思った通りだ、スピードはデュラン・黒川以下だ。これならいくらでもカウンターを入れられそうだな。でも、元ゴクが俺様の「獄真を破門された半チク野郎」って言葉が許せないのと同じように、俺様だって元ゴクのプロレスを冒涜した発言を許すつもりは無い。となれば、俺様は当然プロレスの恐ろしさを身に沁みて味あわせる技を選択することになる。例えば、

タッ 

 俺様は小さく飛ぶと武藤敬司ばりの低空ドロップキックを元ゴクが出している左足の膝にピンポイントでお見舞いした。

ガアァァン

 奇妙な音が響いて、ドロップキックを放った俺様の足の裏がジーンと痺れた。

(ま、まさか・・・)

 すぐさま立ち上がった俺様はある仮説を立証する為に、逆の右足の膝裏から腿にかけてローキックを50%程度の力で打ち込んだ。

ガアァァァン

 奇妙な音ともに弾き飛ばされたのは、やはり俺様の方だった。脛がビリビリと痺れる。

「おい元ゴク、お前の足は随分と硬えんだな。
粉砕骨折したってのは両腕だけじゃなかったのかよ、このチョーチン野郎」

 ニヤリと笑った元ゴクのアンちゃんが、二の腕の辺りをブラブラさせて応える。

「粉砕骨折させられたのはさっきも言った通り両腕だけさ。
嘘なんかついちゃいねえよ、だけどな・・・
骨折した場所にしか超合金ニューZを仕込まなかったなんて、
へへへ、俺は一言だって言っちゃいねえぞ、えぇ?そうだろ?」

「ま、まさか」

「その、まさかだよ。
さっき俺は、生ける凶器だって言っただろうよ。
俺はな、強くなる為だったら何だってすんだよ。
魂なんてヤツは、一山いくらで悪魔に売ってやるさ。
ここも、ここも、ここだって超合金仕様だぜ、俺は・・・」

 元ゴクのアンちゃんは、足、脇腹、額を指先でトントンと叩いた。どうやらこいつ、ロケットパンチ以上の隠し玉を持っていやがった。

【To be continued.】




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 現代小説 俺様とマリア

posted by maruzoh at 06:50| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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