やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年05月06日

俺様とマリア volume.41 決着と新たな火種


俺様とマリア volume.41 決着と新たな火種 


 マットとロープに囲まれたこの四角い空間は、「リング」と一言で括られてはいるけれど、プロレスのリング、ボクシングのリング、総合のリングは、実はそれぞれすべて作りが違っている。
 例えば頭から落とされる技の多いプロレスのリングなんかは、ラワン材の上にかなりの厚みのゴム、フェルトが敷かれていて、それをキャンバスで覆う作りになっている。しかも、リングを支える支柱には、クルマのサスペンションのようなスプリングが施されていて、投げられた衝撃をある程度吸収させている。また、ラワンの撓(たわ)みと併せて大きな音を生み出すことになるから、観客に対する聴覚的な効果も与えているわけだ。
 一方、ボクシングは投げられる恐れはほぼ無いし、ステップワークが攻撃、防御の重要なポイントを占める為、プロレスに比してかなり硬いリングに作られている。当然、支柱にスプリングなどあろうはずはない。
 そしてだ。この新宿最強決定戦の地下闘技場リングは、原則ストリートファイトであるからして、ボクシング仕様としているものの、実は路上に近い、極めて硬いリングに仕上げられている。ある意味、レスラーでさえ体験したことのない、地面に近い硬さと言っても過言ではない。

「だっしゃあああぁぁぁぁぁっぁぁっ!」

グゴガゴドシャアァァァァァァァッァ!

「ぐはっ!」

 垂直落下式DDT一閃。真っ逆さまに落ちた桜田の脳天がマットにめり込んだ・・と本来なら書きたいところなんだろうが、実際には桜田の脳天はちっともめり込んじゃいない。リングが硬いからだけじゃない。これは俺様が、垂直落下式DDTの落下位置を寸分たがわずリングの梁の上に設定したからだ。マニアにはよく知られていることだが、各種リングにはラワン材を橋渡しにして敷き詰める為の鉄骨の梁がリング中央から十字に走っている。俺様はその鉄骨めがけて、桜田を落下させたって言うわけだ。

カンカンカンカンカンッ!

 ゴングが乱打されている。ピクリともしない桜田を戦闘不能と判断して、退場させられた偽レフェリーの代わりに本部席の神龍がTKOを宣言した。

 俺様はこれで3回戦進出。つまりベスト4ってことだ。
マリア、待ってろよ。
あと2つでお前を助けてあげられる。
晴れて自由の身になったらさ、
この腐ってギラギラした新宿の街なんかおん出て、
2人で静かな街でのんびりと暮らそうぜ。
俺様はもうマリアさえいてくれたら、
バンドマンだって、喧嘩だって辞めちまったっていいんだ。
嗚呼、マリア。
会いたいよ、マリア。
会いたいよぉ。

「おい、どけよ」

 チッ、なんだ?俺様がいい気持ちで夢想してたってのに、イカつい男のドスの効いた声で現実に戻されちまった。

「まあ、やたらとリングを汚してくれたもんだぜ。
ガラスだらけじゃねえか、あぁ嫌だ。
腕に覚えのねえ奴らは、
こういった仕掛けがねえと試合ができねえんだから・・・」

「なんだと、こら?
もう1度言ってみろ、小僧が」

 俺様は、半袖の道着に身を包む角刈りの男の肩口を後ろからポンと突いた。男が振り返ると道着の左胸に「獄真会館」の4文字。

「お前らみたいな見世物の残酷ショーと違って、
一撃必殺の全身凶器の俺にとっちゃあ、
ガラスや有刺鉄線なんぞ、いらねえってことだよ」

 地上最強を謳い文句に、一撃必殺の喧嘩空手で世界中に支部のある獄真会館。男はタコでゴツゴツになった拳を突き出して、余裕綽々といった表情で言った。

「ああいうのは、ガキや年寄りの観客相手に、
花園神社の酉の市で天幕でも張ってやってろよ。
お前らとの違いをこの試合でたっぷりと見せつけてやるから、
まあ、せいぜい勉強しとくんだな」

 言わしときゃあ口の減らない小僧だよ。へっ、笑っちまうぜ。俺様は自信ありげなその拳に、ふうっと息を吹きかけてやった。

「はは、聞いて呆れるよ。
こんな裏の大会にエントリーするんじゃ、
てめえ、大方獄真を破門にでもなった半チク野郎だろ?
獄真の表の大会で名を残せねえ様な三下野郎に、
一撃必殺も全身凶器もあったもんじゃねえよ。
寝言は、寝て言ってもらいてえもんだな」

「な、なんだと!この野郎!」

 男の顔が、みるみる真っ赤に染まった。図星をつかれてグウの音も出やしねえ。

「まあ、2回戦をせいぜい頑張るんだね。
半チクの元・獄真会館君。
なんかの間違いで準決に上がってこられたら、遊んでやんよ」

「ち、畜生。お、覚えていやがれ。
つ、次でぶっ殺してやる・・・」

 俺様を睨みつける男の拳は怒りでぶるぶる震え、眼は血走り、狂気が宿っていた。

【To be continued.】




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 現代小説 俺様とマリア

posted by maruzoh at 07:55| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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