やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年04月09日

俺様とマリア volume.27 地獄の特訓


俺様とマリア volume.27 地獄の特訓 


 いくら死ぬほど腹が減っていたとは言え、吉野家で牛丼2杯ばかりご馳走になったからって、神龍とのトレーナーの契約を反故にしちまって俺様の特訓に付き合うだなんて、このエディのおっちゃんの義理堅さは敬服を通り越して呆れちまう。

「エディのおっちゃん、本当にいいのかよ。
おっちゃんまで神龍に追われちまうかもしれねえぞ」

 俺様の心配をよそに既にトレーニングメニューを頭の中で描いているのか、エディのおっちゃんは遠くを見つめているような目を一旦閉じると、俺様の方を見てまるで子どもの様にニカッと笑った。

「義理もあるよ、命を救ってもらったんだから・・・
でも、義理だけじゃねえんだよ、ホント言うとな。
俺はもうかれこれ30年以上トレーナー稼業続けてるけど、
彷徨った末の都会のど真ん中で偶然、ホント偶然、
めったにお目にかかれねえほどの逸材に出会えたんだよ。
それがお前さんだよ、兄ちゃん。
もしかしたら兄ちゃんなら、あのウェアウルフの牙城、
そう人間の限界を超えた獣の領域に踏み込めるかも知れん。
それもこれからの特訓次第だがな・・・」

 特訓とは大辞泉によると「【特訓】[名](スル)《「特別訓練」の略》特に厳しく訓練すること。また、その訓練。」とある。年齢によって多少の差はあると思うが、特訓と言ってまず俺様が思い浮かべるのが、「巨人の星」星飛雄馬の「大リーグボール養成ギブス」だ。エキスパンダーみたいなバネがいくつも付いていて、ギギギギ…というバネの反発もさることながら、皮とか挟まったら痛そうだなぁと、子ども心に思ったもんだった。あと、仮面ライダーシリーズのおやっさん立花藤兵衛のライダーに対する特訓。改造人間であるライダーが、人工筋肉で筋トレやったところで何か意味でもあるのかと、当時の俺様は悩んで夜も眠れなかった。
 そんな昔話に思いをめぐらす俺様に、おっちゃんは吉野家を出て「付いて来な」とぶっきら棒に言うと、無言で前をスタスタ歩き始めちまった。慌てて付いていった俺様だったが、何処に行くつもりなのかおっちゃんはちっとも喋ろうとしないし、振り向きさえしない。甲州街道のスクランブル交差点でやっと立ち止まったおっちゃんに、俺様は聞いてみた。

「おっちゃん。何処まで行くんだ?
そんな特訓に似合う場所なんて、
この新宿にゃ、何処にもねえはずだぜ」

 俺様の問いかけに牛丼で腹いっぱいになったおっちゃんは、また二カッと笑った。左の頬髯に米粒が一粒付いたままだった。

「俺も無駄に3日も新宿を彷徨ってた訳じゃねえんだ。
いろんな奴らと知り合いになったさ。
兄ちゃん以外にも世話になった奴もいるし、
意気投合して認め合った奴らもいる・・・」

「認め合った、奴ら?」

「特訓にはスパーリングパートナーだって必要だろ?
俺はもう年だから、とてもスパーにゃ付き合えねえよ。
そうなると特訓に最適の環境ってのは、
奴らのいる『あそこ』以外にないんだよ」

 新宿NSビルやらの高層ビル群が見えてきた。甲州街道から都庁方面に右に入るとおっちゃんがビルを指差した。

「あそこら一帯の高えビル見てみろ。
あのビルの非常階段は、心肺能力のアップと下半身強化にゃ最適だぞ。
で、スパーリングやミット打ち、新必殺技の開発、
地獄の特訓の実践練習は、この先だ・・・」

 おっちゃんが左折した先には、大きな公園の入り口があった。確か花見に来たことがあるよ、ここ。しかしやっと3月になったばかりのこの時期じゃあ、まだまだ桜の蕾も固いまんまで、その代わりと言っちゃあなんだが、辺り一面、所狭しとブルーシートと段ボールの小屋が建ち並んでいる。そう、ここはホームレスのメッカ「新宿中央公園」だ。

【To be continued.】




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 現代小説 俺様とマリア

posted by maruzoh at 09:12| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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