やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年04月07日

俺様とマリア volume.26 驚異ウェアウルフ


俺様とマリア volume.26 驚異ウェアウルフ 


「ウ、ウェア・・ウルフだと?」

「その通りだ。
親に捨てられたか、それとも鷹にでもさらわれたか。
人里離れた日本アルプスの山中で狼に育てられ、
群れを率いるリーダーにまで成長した男、
それが、獣人ウェアウルフだ!」

「ウ、ウェアウルフ・・・
あの月夜に変身する狼男?
ぷっ、くくくくくく・・・」

 エディのおっちゃんがあんまり真面目な顔して馬鹿馬鹿しい眉唾な話をするもんだから、俺様はついつい吹き出しちまった。

「おっちゃん、そりゃガセだよ、ガセ!
担がれてんだよ、神龍の野郎もおっちゃんも。
花園神社の酉の市に来る見世物小屋だって
もうちっとはまともなホラを吹くぜ。
大体、ニホンオオカミなんて大昔に絶滅しちまったはずだろ?
そんな世紀の発見がどうして新聞にも出ねえんだよ」

 俺様のツッコミに慌てるでもなく、エディのおっちゃんは相変わらずの表情のまま話を続けた。

「リーダーである『奴』が、群れを逃がし続けてるんだよ。
狼の野生と身体能力、そして人間の知能を兼ね備えた奴なら
その程度のことはできるはずだ・・・」

「おいおい、マジ本気にしてんのかよ。
さっきも言ったろ、おっちゃんは担がれてんだって、デマだよ、デマ。
おっちゃんだってその目で、ウェアウルフってのを見た訳じゃねえんだろ?」

 エディのおっちゃんは俺様をじろりと睨むと、なぜか左肩に手をやった。

「俺が静岡で格闘技のトレーナーをしてることは、さっき話したよな。
ただ俺のジムは、静岡と言っても大井川の上流も上流、
荒川岳や赤石岳とかの3000メーター級の山が連なる
南アルプスの入口の辺りなんだ。
高地を利用してのトレーニングに最適なんでな・・・
そんな山奥に住む俺は1年ほど前から、
猟に出たハンター同士の妙な噂を耳にするようになった。
遠吠えをして群れを率いてる猿がいるって言うんだよ。
猿が遠吠えをするだなんて、俺も聞いたことなかったんだが、
その猿の遠吠えは、まるで野犬のようで、
率いている群れは猿じゃないようだと言うんだ。
猿が野犬や狼のように吼える。
俺の中に、ある仮説が組み立てられていった。
可能性はゼロとは言い難い。
狼に育てられた猿、若しくは・・・・
そして、その考えは噂を聞くごとに更に募り、
ついに俺は我慢しきれなくなって自らの仮説を証明する為に、
ベテランハンターらの相当な山奥での猟に同行させてもらったんだ。
そしてまさにその時、俺たちが遭遇したのは、
今までの俺が長年トレーナーとして培ってきた知識を全て覆された、
恐るべき光景だった・・・」

 この時点で俺様はもう、笑えなくなっていた。いやそれどころか、頭の中ではウェアウルフのことを否定しまくっている癖に、俺様の足は小刻みに震えちまっている。

「強者は強者を知るもんだ。
にいちゃんも眉唾だ、ガセだと言っていながら、
その研ぎ澄まされた野生の勘が、足を震わせやがるんだよ」

「そんなものはどうでもいいからよ。
その恐るべき光景ってのは、どういう光景なんだよ」

 ちょっとかっこ悪いとこを見せちまった俺様は、照れ隠しでエディのおっちゃんに先を急がせた。

「悪かった、悪かった。
それまでの奴は、ハンターに対しては遠巻きにしか現れなかったそうなんだが、
その日の俺たちの取ったルートの先に、恐らく群れの休息地があったんだろう。
妊娠中の雌や子どもたちがいたのかもしれない。
それらを守るために縄張りを侵犯する俺たちのルートを変えさせるべく、
奴は猟銃を構えた俺たちの正面に立った。
紛れもない、人間だった。
あの冷たい射るような眼光とにやりと笑った口元は、忘れられねえ。
そして奴は、真っ直ぐに、突っ込んできやがった。
物凄いスピードと跳躍力だった。
奴にとっちゃオリンピックの世界記録なんざ、
お遊び程度と言っても過言じゃないだろう。
俺自身も恐怖に引きつっていたけれど、
恐怖心と驚きでパニック状態に陥った同行のハンター3名が、
威嚇射撃もせずに奴に向かって次々と引き鉄を引いてしまったんだ」

「・・・・・・・」

「お、俺には、弾丸が・・・
奴の体をすり抜けるように・・見えた。
3発の弾丸はすべて、奴の後ろに位置する木の表皮を
弾き飛ばしたに過ぎなかった。
み、見ていたおれ自身が未だに信じられないんだが、
奴はその研ぎ澄まされた反射神経と動体視力で、
3発の銃弾を、かいくぐって見せたんだ・・・
そこから先は、もう一瞬だった。
まず頚動脈を犬歯でえぐられたハンターは血泡を吹いて昏倒し、
伸びた爪で顔面を掻きむしられたもう一人は眼を押さえて絶叫した。
最後の一人も引き鉄を再度引く間もないまま、
正確に喉笛を噛み切られ倒れた。
そこで奴は一呼吸置いて、武器を持たない俺の方に向き直った。
奴と、俺は、対峙した・・・・」

 そこまで話すとおっちゃんは、Tシャツの左の肩をたくし上げた。噛み千切られたような大きな傷跡が残っていた。

「その時、奴にやられた傷さ・・・
首筋を狙われたのをステップバックして、間一髪、左肩で受けたんだ。
ただ、俺も何の装備もせず奴に立ち向かった訳じゃない。
俺の左肩の肉を食い千切るまでの数秒間が狙いだった。
上に乗られた体勢のままでポケットを探り、
奴に強力なスタンガンをお見舞いしてやったのさ・・・
俺が神龍さんにトレーナーとして見込まれたのも、
姑息な手段とは言え、地球上で唯一屈服させられた相手が俺だと、
奴が記憶しているから、というわけなんだ」

 エディのおっちゃんの長い話が終わった。あれだけの眼力を持つおっちゃんがびびるほどの、ウェアウルフ。それがガセじゃねえとすれば、俺様に残された道はただの一つ!ウェアウルフより強くなる特訓、これしかねえ。俺様の大事なマリアを、そんな狼野郎に指一本触れさせる訳には、絶対にいかねえんだよ。

【To be continued.】




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 現代小説 俺様とマリア

posted by maruzoh at 09:41| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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