やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年04月04日

俺様とマリア volume.23 俺様と神龍とドン・ペリニヨン


俺様とマリア volume.23 俺様と神龍とドン・ペリニヨン 


ファンファンファンファン・・・

 細い路地を疾走するパトカーのサイレンが、俺様のグラスの琥珀色の液体から立ち昇る泡を揺らしている。俺様はグラスを片手に、まだ目の前の神龍を睨み続けていた。
 神龍の野郎と来たら、情報通で知られたマスターに「新宿の帝王」だの何だのって散々おだてられたもんだから、柄にも無く上機嫌になっちまって、2人の杯が既成事実であるかのように気安く俺様に話しかけてきやがる。

「おい兄弟、いつまで固まってやがるんだよ。
そんなに俺の誘いは意外だったか?」

「・・・・・・・・」

 俺様は神龍が乾杯しようと近づけたグラスをヒョイとかわすと、そのまま頭の上に掲げた。

「へっ、つれねえなあ。
じゃあ、本音で話をしてやるとするか。
兄弟、俺には敵が多いんだよ、これが実にな。
新興勢力としてほかのシマぶん取ってのし上がったんだから、
それも当たり前といえば当たり前なんだよ。
そこで俺には、腕利きの用心棒が必要なのさ。
それも、飛びっ切りの奴がな・・・
ところが、鳴り物入りで迎え入れた『剃刀の竜』は、
お前さんのソバットとチキンウイングフェースロックで
見事に両腕叩き折られちまって、もう完全にお釈迦だ。
頼みの綱の元幕内力士『剛竜山』もお前さんに、
まさかの垂直落下式DDTでKOされちまった。
正直、お前さんの強さには度肝を抜かれたよ。
しかし、何よりも俺がびっくりしたのは、
お前さんが、あの伝説の喧嘩屋『ステゴロの花』と昔馴染みで、
過去2回も引き分けてるって聞かされた時だ。
しかも、姿を消してたこの4年間で花田は更に進化していて、
その花田とも一歩も引かずにまた引き分けたと聞いちゃあ、
こいつはもう、過去のいきさつは綺麗に水に流してでも、
Eノイズ、俺はお前さんに白羽の矢を立てるしかないだろう?
この街は、完全な実力主義、力が全てだからな。
そうそう、こっちの方は目いっぱいはずませてもらうぜ」

 神龍は俺様の顔の前で、親指と人差し指で小さな輪を作ってみせて続けた。

「良い服着て、良いもん食って、良い女抱いて・・・
ククククク、この日本で一番派手な街で、
目一杯面白おかしくやろうぜ、なぁ兄弟よぉ」

 盆と正月とクリスマスがいっぺんに来たみたいに浮かれまくったマスターが、俺様にまとわりついて「早く早く、乾杯だよ」とはしゃぎながらせかすのを尻目に、俺様は乾いた声で神龍を突き放した。

「神龍、随分と調子がいいんだな。
過去のいきさつは綺麗に水に流してだと?
てめえは、お天道様が自分を中心に回ってるとでも思ってんのか?」

 神龍は乾杯をねだるようにグラスを軽く振りながら、こう返した。

「へっ、同じような台詞を、よく他人様からも言われるよ。
21世紀にもなって天動説を唱える大ぼら吹き野郎だってな。
でもなぁ、そんな奴でもない限り、このギラギラした街は治められねえ。
この街新宿の王には、俺みたいな奴しかなれやしねえんだ」

 そんな神龍の言葉を聞いても、あくまでも俺様は冷静だった。決して頭に血が上ってた訳じゃねえ。

「この街は、誰のもんでもねえよ」

 俺様が神龍の頭の上、琥珀色のグラスを傾けると、

シュワワワワワァァァァ・・・

 ドン・ペリニヨンは音を立てながらポマードでベタベタの神龍頭から、頬を伝って零れていった。

「こいつが、俺様からの回答だ・・」

「・・・・・・・・」

ガシャアァァァン

 神龍は無言のまま手に持ったグラスを床に叩きつけると、リンダに向かって手を伸ばした。リンダから手渡されたハンカチで顔を拭いながら、神龍は小声で話し始めた。

「俺には分からねえ・・・
てめえみたいな選択肢は、俺にはあり得ねえ。
いや、俺だけじゃねえ。
俺が今まで触れてきた奴らは1人残らずそうだった。
権力と金、こいつを目の前でちらつかせさえすれば、
みんな尻尾を振って俺に従った。
お前さんは、その誰とも違っていやがる。
なぜだ?なぜ敢えて、険しい道を選択する・・・」

 一瞬にして局面が変わっちまって、オロオロとまた泣きそうになってるマスターの前、俺様はポケットから引っ張り出した皺くちゃの万札をドン・ペリ代としてカウンターに置いてから神龍に言った。

「なあに、簡単な話さ、神龍。
てめえみてえなクズの手下になっちまった俺様にゃ、
きっとマリアは、惚れちゃくれねえに決まってる。
ただ、それだけのことさ・・・」

【To be continued.】




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 現代小説 俺様とマリア

posted by maruzoh at 08:11| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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