やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年04月03日

俺様とマリア volume.22 神龍の提案


俺様とマリア volume.22 神龍の提案 


 ギムレットの大盛りをやっつけてほろ酔いの俺様が、さあて次の馴染みの店に向かおうとカウンターの止まり木からケツを上げた時だった。

「イ、Eノイズ、う、後ろ・・・・」

 マスターが真冬のゴリラみたいにブルルッと急に震え出したと思ったら、青い顔をして入口を指差す。暗がりに2つの影が重なっていた。

「昨日はご苦労だったわね。
売れないギター弾きの坊や」

 リンダの鼻に掛かったようなスカした声だった。

「て、てめえ、よくも花ちゃんを騙しやがって。
どのツラ下げて・・・」

 突っかけようとした俺様の視線がリンダの後ろ、眼帯の男に釘付けになった。

「じ、神龍」

「よう、色男。久し振りだな」

 神龍はリンダを入口に立たせたまま、中腰で振り向いた俺様の肩に手をかけて止まり木に再び座らせると、自分も俺様から1つ空けた席にゆっくりと腰掛けた。店内には場違いな50年代のジャズ、キャブ・キャロウェイが明るく鳴り響いている。

「マリアは、無事だろうな」

 俺様の言葉に神龍は無表情で懐の銀色のシガレットケースを開いて、細巻きの葉巻を口にくわえた。

カチッ

 リンダがすかさず歩み寄って、金色の細身のライターで火をつけた。

「心配は御無用。 
あれは10日後のトーナメントの大事な副賞だ。
大切にご接待させていただいてるよ。
ククククク、大切にな・・・」

「こ、この糞野郎が。
マリアに何かあったら、ただじゃおかねえぞ!」

 身を乗り出した俺様の顔に紫の煙をふうっと吹きかけて、神龍は薄笑いを浮かべながらこう言った。

「貴様にピックでえぐられたこの右眼がな。
疼くんだよ、夜な夜な、貴様を血祭りに上げろとな。
そして、あと10日でそれが実行される、あと10日だ。
貴様には、万にひとつの勝ち目も無い。
いいか?万にひとつもだ。
それだけクレイジーな奴らが、このトーナメントに集結しているんだ。
貴様の想像を超えた怪物どもが貴様を包囲しているんだよ」

 片目の神龍は遠近感が取れないらしく、葉巻の灰をテーブルに撒き散らしながら続けた。

「しかしだ。
ひとつだけ、たったのひとつだけ、
例外中の例外として、貴様が生き残れる手段がある・・・」

 神龍を凝視している俺様の目の前に、神龍は脱力した右手を差し出した。

「神龍、こいつはいったい何のまねだ?」

 神龍がにやりと笑いながら、手を握る仕草をして見せた。

「見ての通りさ、シェイク・ハンドだよ。
どうだい、Emotional-Noiseさんよ。
ここいらで手打ちにして、俺の舎弟にならねえか?
幹部待遇でお迎えさせてもらうぜ。
そうすりゃマリアだって、すぐに返してやるさ。
なあに、副賞には別のマリア嬢を用意すればいい。
どうだい、降って湧いたようないい話だろう?」

 さっきまで意気地なく震えてたマスターの顔がパアっと明るくなったと思ったら、カウンター越しに俺様の肩を凄い勢いで揺すりやがる。

「イ、Eノイズ、いい話じゃねえかぁ。
マジ、サイコーだよぉ。
今、新宿じゃ、飛ぶ鳥を落とす勢いの神龍ファミリーの幹部様なんだぜ。
これで食いっぱぐれはねえよ。
しがないギター弾きからの大出世だよ。
俺も友だちとして鼻が高えや、ははは、いやめでてえなぁ」

 マスターはその後も「めでてえ」を連呼しながら、勝手に乾杯用のドンペリを、洒落たグラスに2つ注いじまった。

「Eノイズ、こいつは出世払いでいいからよ」

 浮かれまくりのマスターにグラスを持たされた俺様は、一言も話さないまま、ただ神龍を睨み続けていた。

【To be continued.】




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 現代小説 俺様とマリア

posted by maruzoh at 08:00| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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