やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年03月16日

俺様とマリア volume.8 一丁目の花ちゃん


俺様とマリア volume.8 一丁目の花ちゃん 


 頭に「新宿」ってつく町名は一丁目から七丁目まであって、それらはみんな新宿駅東口方面、つまりは都庁なんかの高層ビルの逆側で、眠らない街歌舞伎町の南から東側に当たる。
 例えば新宿東口駅前、スタジオアルタは「新宿三丁目」。他には紀伊国屋、伊勢丹、丸井なんかがあって、落語の末広亭もこの奥の辺りだ。そしてその東隣が日本のゲイの聖地、ご存知「新宿二丁目」。その南側には広大な新宿御苑が緑を湛えていて、都会の喧騒に一服の安らぎを与えてくれている。タイムズスクエア辺りの「新宿四丁目」は、どっちかって言うと東南口か新南口かな。
 まあこの辺が、もっぱら有名どころの「新宿」ってことになるんだけど、ところが新宿駅周辺をちょっと離れちまうと、同じ「新宿」のはずなのに五・六丁目や七丁目であるとか、肝心要であるはずの一丁目なんて、話題にも何もかすりもしやしねえ。
 位置関係で言うと、五丁目ってのが靖国通りを挟んで二丁目のトイメン。酉の市の花園神社の向こうっ側で、厚生年金会館の辺り。その早稲田側の奥が六丁目で、もう大久保との境になる。七丁目は、更にその早稲田寄り。そして数字の始まりの一丁目は二丁目の更に東隣で、四谷四丁目と接しているんだけど、この一丁目ってのが、たまらねえほど殺風景で見事に何にもない。
 そして、神龍一派の追っ手をまいた俺さまとマリアは、その何もない新宿一丁目の屋台、花ちゃんの店で冷酒を飲みながらおでんを食らっていた。

「昨日はマリアの手前カッコつけちまって、
ドライマティーニにチーズとクラッカーしか食ってねえけど、
あんなもん腹の足しにもなりゃしねえ。
腹を膨らますにゃ、なあ花ちゃん、練りもんに限るよな。
しかし、相変わらずいい味だしてんなぁ」

「ったりめえよ!
こちとら職人でえ。江戸っ子でえ。
ネエちゃん、おでんは美容にもいいんだぜ。
遠慮なんかしねえで、どんどんやってくれ。
ほら、ガンモも旨いぜ」

「あっと、俺様にもガンモくれよ。
それよっか花ちゃん、朝っぱらから悪いな。
仕事ひけたばっかりで、これから寝るとこなんだろ?」

「いいってことよ、困った時はお互い様。
どうせ大方、どっかのボケナスと
隣のベッピンさんが元で、もめてきたんだろ?」

「はは、お見通しか。
花ちゃんにゃかなわねえな・・・」


 俺様より2つ3つ年上のこの花ちゃんは、俺様の数少ない友だちの1人。ゴリラみたいな外見とぶっ太い腕。この歳になってもバリバリのスーパーリーゼント。ちょっとばかり変わってるけど、男気に厚い江戸っ子だ。さっきまでいた「バーディクト」も、実は花ちゃんに教えてもらったんだ。
 変わってると言えば、この花ちゃんの店「当たり矢」が一風変わってる。えっ?屋台のおでん屋じゃないのかって?そう、屋台なんだけど店なんだよ、花ちゃんちは。
 花ちゃんってさ、大の寒がりなんだよ。そもそも、そんな寒がりの花ちゃんが、なぜおでんの屋台を引こうだなんて思ったのか、はなはだ疑問なんだけど、とにかくすげえ寒がりなんだ。でも、おでん屋が寒い日に仕事休んだんじゃ、商売上がったりだろ?花ちゃん、どうしたと思う?その辺の空いてるガレージに勝手に入り込んじまって、北風をよけて商売始めちまったんだよ。ところが世の中、何が幸いするかわからねえよな。やっぱり客だって寒い北風の中より、少しでも暖かいほうがいいだろ?常連が好き勝手にガレージに椅子やテーブル持ってきちまって、中には拾ってきたドアまで付けちまう奴まで出てきた。こうなったら花ちゃんもガレージ借りるしかなくなっちまって、いつの間にかこの店が出来上がったって訳だ。
 だからこの「店」は、ガレージのど真ん中に屋台が1台置いてあって、その周りに薄汚ねえテーブルやらが並んでいるだけの作り。もちろん役所に届出なんかしやしないよ。つまり、こんな店なら神龍も、わかりっこねえってわけだ。
 俺様が花ちゃんを訪ねたもうひとつの理由は、花ちゃんがめっちゃ喧嘩が強いってこと。以前俺様は、花ちゃんとつまらない意地の張り合いからもめちまったんだけど、結局決着はつかずじまいだった。そして、それ以来の友だちって訳だ。ここら辺りで、殴り合いで俺様とタメはれるのは、この花ちゃんくらいのもんじゃねえかな。まあ、神龍の兵隊の10人くらいなら、俺様に花ちゃんだけで充分おつりがくるさ。

「E坊っ!厚揚げ食ってねえだろ?ほら」

 ははは、花ちゃんにかかったら、俺様、Emotional-Noiseも、E坊だ。俺様は、強くて、明るくて、やさしい花ちゃんが大好きだ。でも、その花ちゃんが俺様とマリアの為にとんでもない目に遭おうとは、まだこの時は、知る由もなかった。

【To be continued.】




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 現代小説 俺様とマリア

posted by maruzoh at 09:45| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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