やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年03月12日

俺様とマリア volume.4 君の瞳に乾杯


俺様とマリア volume.4 君の瞳に乾杯 


 マリアはしきりに出口を気にして、落ち着かないそぶりでグラスを口に運んでいる。そして、俺様の眼を睨みつけるように言った。

「あ、あんたは確かに強いよ、めちゃくちゃ強い。
でも、あいつを甘く見ちゃだめだよ。
ああ見えてもあいつは、今新宿東口で飛ぶ鳥を落とす勢いのマフィア、
神龍ファミリーのボスなんだからね。
こ、こんなあいつらの縄張りのど真ん中で、
のんびり酒なんて飲んでる場合じゃないだろ?」

「君の瞳に乾杯って台詞、知ってる?」

 ふっと笑いながらマリアの顔を覗き込むと、俺様はドライマティーニのグラスを掲げてそう言った。

「な、何言ってるのよ、あんた」

「知らないの?」

「し、知ってるわよ。
ハンフリー・ボガートが言った言葉でしょ。
カサブランカで、イングリット・バーグマンに・・・」

 マリアが答える。

「違うね、俺様が、マリアに贈る言葉さ」

 そう言うと俺様は、マリアのカシスオレンジのグラスに俺様のそれを重ねた。キイイィィィンとクリスタルの音が静かな店内に響く。

 この店は他人に干渉しない一見様お断りの新宿のシェルターみたいな店。崩れかけたような廃ビルに窓も無く、ポツンとただ1件だけある。店の名は『バーディクト』と言うが、勿論看板は出ていない。
無口を通り越して、一言だってしゃべらないマスター。誰の名前も、誰の職業も知らないし、知ろうともしない店。ただ一つ、客に共通することは、ただの男は一人もいないってこと。

「マリア、名前はマリアでいいんだよな」

 今更おかしいが、俺様が彼女について知っていることと言ったら、マリアって名前で、神龍に追われてたってことと、彼女が飛び切りの美人だってことだけだ。マリアは、黙ってうなずいた。

「俺様は、Emotional-Noise。みんなは、『Eノイズ』って呼んでる。
ちょっと前にブクロから流れてきた根無し草のバンドマンさ・・・」

 古い友達から教えてもらったこの店で、自分の名を語ったのは初めてだった。でも、どうせこの店、いや、それどころかこの街では、名前なんて記号にしか過ぎないんだ。誰もがこの街に足を踏み入れた瞬間、他人の仮面を被っちまうんだろうか。それともこの街には、誰もに理性という仮面を脱ぎ捨てさせて、本来の欲望を曝け出させる何かがあるんだろうか。

「今の内に、新宿を離れた方がいいよ。
多勢に無勢、いつかは捕まっちま・・・」

 マリアはヒステリックに叫びかけたが、俺様が手のひらでマリアの柔らかい唇を押さえつける。

「マリア、落ち着こうぜ。他のお客様の迷惑だ。
大丈夫、俺様に任しとけ、全ては上手くいく」

 俺様は手のひらをそっとマリアの唇から外すと、しなやかな髪をすくように形のいい小さな頭をやさしく撫でた。

「奴だって馬鹿じゃねえだろし、あんだけの恥をかかされたんだ。
今頃は奴の手下が、腹を減らした野良犬みてえに新宿中を嗅ぎまわってるさ。
歌舞伎町、三町目から出るあらゆる道路を虱(しらみ)潰しにして、
俺様とマリアの2人を捜してるはずだよ。
へへへ、こういう時にはな、灯台下暗しに限るのさ。
勝負は、お天道様が昇ってからってことだ」

キイイイイィィィン

 そう言うと俺様は、マリアと2回目の乾杯をした。

【To be continued.】




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 大衆娯楽小説 俺様とマリア

posted by maruzoh at 06:39| Comment(0) | ◆俺様とマリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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