やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年02月26日

ケンと シロと そしてチビ 第20回


ケンと シロと そしてチビ 第20回 


「チビ、お前さんは犬と猫と人間との関係ってのが、
全く違っているってことに気づいておったか?」

 いきなりじじいに話を振られたもんだから、俺さまは、ちょっとびっくりしちまったけれど、じじいの今の質問に関しては、俺さまもこの辺りの犬や猫とつきあってきて、以前から感じていたことがあったんだ。

「そ、そうだなぁ。
犬ってのは、猫に比べると、
人間から自由ってもんを与えられてないって言うか、
俺さまにはなんとなく、窮屈そうに見えちまうんだよなぁ・・・」

 じじいは、うんうんと頷いた。

「そうじゃよ、そのとおりなんじゃ。
不思議だと思うかも知れんが犬ってのはなぁ、
飼い主のことをトーサンとか、カーサンとか思う前に
なぜかご主人様と感じてしまうんじゃよ。
不思議なんじゃがな。
このわしだって、まあ、この歳になれば違ってくるんじゃろが、
以前は、ヒト並以上にそう思う本当に堅物の犬じゃった。
これはきっと、チビたち猫にはわからない
昔っから続く犬だけの血なんじゃろうなぁ。

そして、もうひとつ。
ご主人様とワシらを繋ぐこの鎖ってのが
わしらの世界を更に狭めさせてしまうんじゃよ。
ご主人様の決めたいつもの散歩コース以外、
いや、散歩のコースだけなんかじゃないんじゃ。
わしら犬は、ご主人様の言いつけから、
どうしてもはみ出すことが出来ないんじゃ。
その結果、わしらの世界は判で押したような、
なんの変わりも無い日常の繰り返しになっちまうんじゃ。
犬の血と、この鎖のおかげでの。

じゃから、こんな山間(やまあい)の村じゃあ、
知っている犬の仲間って言ったって
一生のうちに、それこそ数えるほどなんじゃよ。
ましてや、男と女の出会いなんてのぉ・・・」

「さっきの・・、
土手の祠のノラのことかい?」

「そうなんじゃ。
わしゃあ、それまで10年間ここで生きてきて、
ノラ犬ってやつに初めて出会ったんじゃ。
しかも、よく見ると奴はなんと、
お腹がちょっと大きくなりかけた雌犬じゃないか。
それが、実にあっけらかんとしているんじゃよ。

『よ、よく見ればお前さん、
お腹が大きいんじゃないか・・・
お腹のこどものためにも、
そんなバチ当たりなことすぐに止めなきゃ・・・』

わしの忠告にも柳に風、
奴は、表情ひとつ変えるでもなかった。

『大丈夫、大丈夫。
今までだって何十回、何百回と
お供え物を神様から頂戴しているけど、
1度だってバチなんて当たったことありゃしないよ。
それに、お腹の子どものためにこそ、
たっぷりと栄養を取らなきゃいけないんじゃないか』

それからしばらく話をしたものの、
堅物な飼い犬のワシと奔放なノラの奴の会話は、
全く、そう、本当に何一つ噛み合うことがなかったわい。
遠くでトーサンの指笛が鳴った。

『ほら。ご主人様がお呼びだよ。
あたしの名前はクロ。
ご覧の通りの黒犬だからね。
暫くの間、この祠に居候させてもらうことにしたから、よろしく』

『ほ、祠に居候って・・・
神聖な場所をなんだと思ってるんだい』

『神様だって身重の犬の為になったって
きっと喜んでらっしゃるはずだよ。
それより、ほら、指笛がまた鳴ったじゃないか。
ぐずぐずしてるとご主人様にどやされるよ』

わしはクロにせっつかれるようにしてトーサンの元に駆けていった。
そして、この日からわしとクロとの奇妙な付き合いが始まったんじゃ」

《つづく》




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 児童小説 ケンと シロと そしてチビ


posted by maruzoh at 17:58| Comment(0) | ◆ケンと シロと そしてチビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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