やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年02月17日

ケンと シロと そしてチビ 第11回


ケンと シロと そしてチビ 第11回 


 あの日のあの時以来、シロの奴は俺さまに対して、ほんの少しだけよそよそしくなった気がする。もしかすると本当は、後ろめたい気持ちを持った俺さまが、勝手にそう思ってるだけなのかもしれないし、じじいの話に触れないようにしようと思った俺さまが、知らず知らずのうちにバリアを張っちまっているのかもしれない。
 うん、きっとそうに違いない。だってシロは、じじいの世話焼きだって、餌をくれるカーサンに対してだって、そして最近はトーサンにだってさえ、それぞれ上手い具合に接している。そのくせ、飄々とした奔放なノラっぽさは相変わらずで、誰とだって、何事だって、そう、すいすいと魚が泳ぐようにして生きている。時々、ふらっと誰にも告げずに1日ばかり姿を消したりすることも相変わらずだ。

 本当のことを言うと、じじいのこと、俺さまがひとりで全部抱えているのは、正直辛過ぎた。俺さまにとっては、じじいの生死ってのは、余りにもでかすぎる問題なんだろうな。だからこそ、抱えきれない俺さまの変化をシロに気づかれちまったんだろうし、詰め寄られても誤魔化すこともできずに悟られちまったんだろう。もし、シロがまたじじいのことを話しかけてきたら、この間は奴にはああは言ったものの、情けない話、一緒にどうしたらいいか考えてほしいなんて、俺さまはシロに頼っちまうかもしれない。その方が 少しは気が楽になるだろうか?そりゃあ そうかもしれない。
 でも、でもやっぱり、駄目だ。絶対に駄目なんだ。最近じじいと知り合ったばかりのシロに、俺さまは頼りたくはない。だって俺さまは、これまで偉そうなことばかり言ってきたくせに、何一つ自分だけでやったことなんて無かったことに気がついたんだ。そうさ、今までの俺さまは、全部が全部、トーサンやカーサン、そしてじじいに助けてもらって、自分はあつらえられたお膳立てにただ乗ってきたってことを、最近すごく感じるようになちまったんだ。自分がこんな風に考えるようになった理由だって、俺さまには分かってる。シロと出会って、奴のことを深く知る度にその思いは、ますます強くなっていくんだから。

 それに、俺さまとじじいは、もうかれこれ3年も一緒に暮らしてるんだぜ。俺さまが、カーサンに拾われてきた日からずっと、じじいは俺さまの親代わりだったんだ。カーサンやトーサンのこと、この家やこの辺りのことは、全部じじいに教えてもらったし、その頃はよく、じじいと一緒に寝たもんだったよ、あの犬小屋で。今のシロみたいにふたりで丸まってね。カーサンがよく探しに来たっけ。「チビったら、またケンの小屋で寝ちゃってる。ふふふ、まるで親子みたいね」なんて言われて、じじいもその気になっちまってさ。俺さまに自分のこと、「お父ちゃん」だなんて呼ばせてやがったんだぜ。
 当時は俺さまも素直でさ、「お父ちゃん、お父ちゃん」って、じじいから離れようとしなかったもんだ。でも、だいぶ大きくなってもその呼び方を変えなかったのを近所の猫仲間にからかわれたのが原因で大喧嘩。と言うよりも俺さまが一方的にじじいに八つ当たりをして、急に話をしなくなってからもう2年近くが経っちまっていたんだ。それまでは、あんなに仲良くしてたって言うのに、仲直りのきっかけがないまま時間だけが過ぎてたんだから、そういう意味では、俺さまはシロに感謝しなければならないんだろうな。

 じじいとシロの奴は、俺さまなんて必要ないくらいに、すごく気が合うのかもしれない。奴らが話してるのを見ていると時々そう思うんだよ。なんとなく、ふたりの間に入りにくいってさ。
 だけど、じじいにとってシロとの3週間足らずの日々が、例え喧嘩し通しだったとは言え、俺さまとの3年間より重いなんて、俺さまはけっして思いたくない。ひょいっと現れたシロの存在がどれだけ大きくなったって、俺さまの過去が消えてしまうなんて、そんなことは絶対ないんだから。そうさ、絶対にない。だから、やっぱりじじいのことは、俺さまが自分自身で、きちんと決着をつけなくちゃいけないんだよ。

《つづく》




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 児童小説 ケンと シロと そしてチビ


posted by maruzoh at 09:17| Comment(0) | ◆ケンと シロと そしてチビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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