やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年02月11日

ケンと シロと そしてチビ 第5回


ケンと シロと そしてチビ 第5回 


「あら、チビ」

「おや、チビが」

「本当に、うふふふふ」

「こりゃまた、びっくりしたなぁ」

 俺さまの頭にかかった真っ白な濃い霧の中を、トーサンとカーサンの声が遠くから少しずつ近づいてくるような気がした。

「昨日までは、あんなに仲が悪かったのにねえ」

「意外なことも、あるもんだな」

 その声はだんだんとはっきりとした声になった。それはまるで、霧をかきわけて遭難しちまった俺さまを助けに来てくれる山岳救助隊のようだった。

「猫は、素直なんですよ。
昨日までの仇が、今日は仲良しになれるんですよ」

「そうだな。人間とは、違ってな」

(ト、トーサンとカーサンだぁ。
やっと、やっと帰ってきてくれたんだ・・・)

 俺さまは、ボーっとした頭をなんとか上げてみたものの、すぐに力尽きてパタンと倒れてしまう。その上、鈍感そのもののノラ野郎が、上から覆いかぶさるように寝ているものだから身動きひとつとれやしない。

「チビとシロ。
あんなに仲良さそうに寝てますよ」

「ああ、本当だ・・・
ええっ?シ、シロだと?
カーサン、な、名前なんか付けて。
ウチには、猫はチビだけで充分だからな」

「やですよ、お父さん。
別に飼おうだなんて言ってやしませんよ。
ただ、ノラだの、名無しのゴンベエじゃ、
同じ猫なのに、かわいそうじゃありませんか。
白猫だから、シロ。
深い意味はありませんよ」

「なら、いいけど、ケンの手間がかかるんだから、
これ以上動物を増やすのは、俺は反対だからな」

「わかってますよ。
でも、こんなに仲良く寝てるのを見ちゃうと、
決心も、揺らぎますよねえ」

「な、なにを言うか。
決心など、揺らがんでいい。
ゴミ箱ひっくり返すだけがとりえのノラなんぞ・・・」

(トーサンの言うとおりだよ。
これ以上家族なんていらないよ。
それに、俺さまだって好きでこんな格好をしてる訳じゃないんだ。
風邪がひどいし、ノラが重くって、動けないだけなんだよ。
気がついてくれないかなぁ・・・)

 俺さまが、目を覚まそうとしないノラ野郎の足をはねのけようとしてるってのに、トーサンも、カーサンも、ちっとも気づいてくれやしない。それどころか2人には、俺さまがノラ野郎とじゃれあってるように見えるみたいだ。

「あれ?
お父さん、チビが鼻水たらしてますよ。
風邪でもひいたんでしょうかねえ」

「昨日、俺がバケツの水でずぶ濡れにしちまったからなぁ」

「じゃあ、シロは、それに気づいて?」

「馬鹿馬鹿しい。
猫がそこまで考える訳ないだろ」

「でも、シロったら、よおく見ると利口そうな顔をしてますよ。
私は、シロが風邪をひいたチビを暖めてあげてるんだと思いますよ」

「カーサンは、相変わらずロマンチストだな。
そんなことより、チビたちに掛けてやる毛布でも出してこよう」

「ナウ〜ン・・・」

 俺さまは、やっとのことで声を出してみせたんだけど、その声があまりにも甘ったれた声になっちまった。それを聞きつけてかノラ野郎・・、いや、シロの野郎が目を覚ましやがった。

(本意ではないけど、せっかくカーサンがつけてくれた名前だ。
しょうがない、ここは便宜上シロと呼んでやるとするか。
おい、シロ、やさしいカーサンに感謝するんだな)

 俺さまは、甘ったれた声を聞かれちまってドギマギしながらそんなことを考えていたんだけれど、シロはそんなこと、全く意に介していないようだった。

「おや? トーサンたち、戻ったみたいだね。
それじゃあ僕もお役御免かな。
ふあ〜〜っ」

 シロは大きな欠伸をひとつしてから伸びをすると、いつものように耳をピンと立てた。

「でしゃばったまねをして、気に障ったらごめんよ。
見ちゃいられなかったんだよ、ガタガタ震えちゃっててさ。
でも、チビは、もうちょっと体を鍛えた方がいいかもね。
じゃあ、また!」

 そう言うとシロは、挨拶もそこそこに庭先の茂みの中に消えちまった。礼のひとつも言ってやろうかと思ってたのに、またこれだ。俺さまは、こいつのこのスカしたところと、一言多いところが、どうにも虫が好かねえんだ。

《つづく》




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 児童小説 ケンと シロと そしてチビ


posted by maruzoh at 07:54| Comment(0) | ◆ケンと シロと そしてチビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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