やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年01月27日

王様 対 皇帝 第76回 駆けつけた王様


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第76回 駆けつけた王様 


 千年帝国母艦のマストには、大きな白旗がはためいています。水上警察の船に向けて降ろされたタラップから警察官が続々と駆け上がってきましたが、甲板に降り立った彼らは一様に母艦の規模と設備、人員に仰天しています。かつて、これほどの技術力と組織力で詐欺を働いた集団などいなかったに違いありません。
 
「さあ、みんな。自分の部屋で荷物をまとめておこう。
犯罪に関わった者だけじゃない。
恐らく乗船している全員が、被疑者と重要参考人のはずだから、
長期間の滞在になるかもしれないぞ」

 ヒムラーが廊下に詰め掛けている群衆に声を掛けました。ゲッベルスもそれに続きます。

「その通りだ。
暫く会えなくなってしまうだろうから、
家族や友人にきちんと会っておいた方がいいよ」

 確かに2人の言うとおりだと思ったのでしょう。廊下に集まった人たちは三々五々狭い鋼鉄の階段を2列縦隊で各自の住居に戻り始め、ものの3分もしないうちに最上階の皇帝執務室は、ガラーンと急に寂しくなってしまいました。マレンゴが廊下の窓から甲板を見下ろして言いました。

「うん、あんなに大きな白旗も掲げているし、
銃器だって一箇所にきちんとまとめてある。
警察には充分に降伏の意思表示は伝わっているはずだ。
心配していた親衛隊の荒くれ連中も
思いのほか素直にボディチェックに応じているんで混乱もないようだ。
こちらも資料の持ち出しやら一段落着いたら、揃って投降しましょう。
そして、MARUZOHくんの言った通り、全てを1からやり直しましょう」

 ヒムラーが大きく頷いたその時でした。

カンカンカンカンカン・・・

 鋼鉄の階段を駆け上がる靴音がとてつもない猛スピードで近づいてきたと思うと、目つきの鋭いスーツ姿の男が2人、黒い手帳と拳銃を手に皇帝執務室にあっという間に雪崩れ込んできました。どうやら私服刑事のようです。後ろには制服の警察官も4人ついています。

「貴様がガルルか、警察だ。
営利誘拐並びに詐欺罪、出資法違反の容疑で逮捕する」

 角刈りの体格のいい男が逮捕状らしき紙をかざして、そう言うが早いかガルル皇帝をデスクに組み伏せてしまいました。もう一人の痩せた刑事は手錠をジャラジャラと言わせています。皇帝は頭を押さえつけられて、もうどうにも身動きできません。あまりの荒っぽさに驚いてしまったのでしょう、タカシくんが大声で泣き出してしまいました。

「や、やめてよ、おじさんたち。
ガルルのおじさんは、もう良い人になったんだから、
そ、そんなことしないでよう」

 MARUZOHくんも手錠を掛けようとした刑事の手を制します。

「何の抵抗もしない被疑者を抑えつけて手錠を掛けるのは、
警察官だからと言って許される行為ではないと思いますが」

 手錠をブラブラさせたまま、痩せた刑事が振り返りました。

「ああん、何を偉そうに・・・
一体お前さん、どこの何様だ?
邪魔立てすると公務執行妨害でしょっ引くぞ。
それともあれか?
かわいい顔して、お前もこの帝国とやらの幹部か?」

 MARUZOHくんは刑事の目を見据えたまま答えます。

「僕はココロニア王国警察庁長官、熱田丸蔵です。
誘拐された宇田川タカシくんを追って乗船しました」

 角刈りの刑事がフンと鼻で笑ってから、やれやれといった表情で首を左右に振りました。

「ああ、あの変てこな格好した離れ小島の村長の息子か。
しかし、国王だとか皇帝だとか、お前たちは全く・・・
王様ごっこ、皇帝ごっこもいいけどな。
お遊びもいい加減にしてもらわないと、ホントいい迷惑だよ」

 痩せた刑事もMARUZOHくんの手を振り切ると、もっともだという風に頷いて続けました。

「世の中もこう複雑になってくると、おかしな連中が増えるんだよ。
自由と権利を履き違えた人様の迷惑を省みない能天気な奴らが。
この万年帝国とやらのガルル皇帝陛下サマもそうだが、
王国気取りのお前さんらは、誰がどう見たって誇大妄想狂だよ。
そんな奴らにまともな人生なんか送れよう筈が無い。
お前さんはまだ若くて何も分かっちゃいないんだろうが・・・
ただ、まだ遅くは無いぞ。
やり直しがきくんだから、どうだい、もっと真面目に生きちゃあ」

 MARUZOHくんがぐっと握り締めた拳は、怒りに震えていました。それを抑える為にMARUZOHくんが大きく息を吸い込んだその時、タカシくんは背後で懐かしい声がしたのを聞きました。

「今のお言葉は、聞き捨てなりませんな」

 一斉に皆が振り返ると、そこにはココロニア王国国王、熱田海蔵が執事長を従えて威風堂々と立っていたのでした。

《つづく》



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posted by maruzoh at 11:32| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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