やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年01月15日

王様 対 皇帝 第73回 ゲッベルス皇帝を擁護す


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第73回 ゲッベルス皇帝を擁護す 


 皇帝執務室の開け放たれた扉の外、廊下に溢れ返った帝国民の間から、微かなざわめきが起こったと思うと、それは次第に大きくなり、やがて大きなうねりの様に広がっていきました。

「確かに、あの男の言う通りかも知れない」

「いや、ガルル皇帝に限ってそんな甘いことはしやしまい」

「でも、何だかんだ言っても俺たちは1人残らず、
あの皇帝に食うや食わずのところを助けられたんだからな・・・」

「だってその代わりに、俺たちは犯罪者の片棒を担がされたんだぞ」

 様々な意見が交錯しています。皇帝を擁護する者、非難する者。それぞれの思いの丈を戦わせるうちに、廊下はまさに騒然としてきました。その時です。

「ちょ、ちょっと皆さん、皆さん、聞いてくださいっ!」

 叫び声の主は、ゲッベルスでした。一瞬、廊下のざわめきが収まりました。それを確認したゲッベルスは、ガルル皇帝の座る机の前まで歩み出ると、全艦の聴衆に訴える為かマイクをこちら側に向けました。ガサッと言うノイズが艦内に響きます。

「私は、元財務大臣のゲッベルスです。
ご存知のように私は、帝国の機密情報のCDロムを紛失するという、
大変なへまをしでかして大臣職をクビになりました。
ガルル皇帝からは小笠原沖で鮫の餌にすると恫喝され、
これまでの冷酷無比との噂から私は死を覚悟したのですが、
牢には長いこと閉じ込められたものの、
刑の執行はいつまでたってもありませんでした。
それどころか、最後のチャンスとして、
誘拐され同じ牢に入れられたタカシくんから
CDロムの在り処を聞き出しさえすれば、
先のミスは今回に限り不問に付すと言われたのです。
私がそれに従わなかったものだから、
こんな大騒ぎになってしまったのですが・・・」

 ゲッベルスは、ガルル皇帝を正面から見据えて続けました。

「私が千年帝国民となったのは、勤務先の倒産が原因でした。
もうこの年ですし、何社応募をしても再就職先は見つかりませんでした。
そんな時に皇帝に声を掛けられたのです。
私の場合、法には触れるが高給を保証しようと誘われたのですから、
無理矢理やらされた訳ではありません。
本当は覚悟の上で自らこの、犯罪者の道を選んだのです。
それに、あのまま失業保険も切れ、収入が全く途絶えたなら、
どの道法を犯すようなことでもしない限り、私は糊口を凌げませんでした。
実際当時の私は、クレジットカードを使った取り込み詐欺さえ、
漠然とはですが、計画していたのです。
でも、人間とはなんと都合のいいものでしょう。
いつしか私はそんなことも忘れ、ガルル皇帝のことを憎むようになりました。
皆さんと同じです。
私は、犯罪の片棒を担がされていると・・・
でも、MARUZOHさん言うところの特効薬で皇帝の呪いが解けた今、
同時に私たちが自らにかけた呪いも消し去らねばなりません。
皆さんもよく思い出し、よく考えてみてください。
私たちは何を求めて、誰の意思でこの船に乗ったのでしょうか?
私たちは、本当にガルル皇帝に支配されて、
犯罪を強要された被害者だったのでしょうか?
私たちは彼に命じられているということを理由に、
自分たちを正当化してはいなかったでしょうか?
彼の支配を自分の弱さの言い訳にしてはいなかったでしょうか?」

 マレンゴが後ろから、そっとゲッベルスの肩を抱きました。

「そうなんだ。
反乱だの何のと言いながら俺を含めこの船の誰一人として、
ガルル皇帝本人に本当の心をさらけ出した者は、いなかった。
高い報酬に眼が眩んで、文句を言いながらも命令に従っていた。
その癖、自分たちだけ被害者面をしていたんだ。
皇帝が俺たちを利用してたんじゃない。
俺たちが彼を利用していただけなんだ」

《つづく》



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posted by maruzoh at 16:10| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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