やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年01月14日

王様 対 皇帝 第72回 3人の疑問


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第72回 3人の疑問 


「な、涙が特効薬だって?」

 俯いていたガルル皇帝が、顔を上げました。涙に濡れた眼差しは、先ほどまでの肉食獣のような皇帝とはまるで別人です。

「そう、その通りです。
ガルルさんにだって、ちゃあんと効いてます。
まるで石のように冷たく、そして硬く閉ざしてしまっていた心、
その心を涙がゆっくりと溶かしてくれてるじゃありませんか。
もうあなたは、無理して皇帝でいる必要なんて無いんです。
本当の自分に戻れるんです」

 MARUZOHくんの言葉に、皇帝は首を左右に振りました。

「いや、私には後戻りはできない。
仮に戻れたとしたって、許されるはずが無い。
悪事を糧としていたんだから、法が許さないのは当然だが、
私が裁かれるのは、法だけじゃないんだ。
私はね、新しい国家などという甘言を用いて、
自分と同じように弱い人間たちを集めては、
弱みに付け込んで、数々の悪事を彼らに強要してきたんだよ。
それだけじゃない、さっきも言ったろう?
果ては、証拠隠滅の為に彼らを捨てるつもりでいたんだ。
この船ごとね・・・」

「・・・・・」

 MARUZOHくんには、反論ができませんでした。
が、その時・・・

「皇帝・・・」

 ライフルを傍らに置いたヒムラーでした。

「あなたの言う、彼らを捨てるつもりだったったというのは、
さっきの、警察のマークが徐々に厳しくなってきたし、
帝国民など十把一絡げの烏合の衆で取替えが効くから、
この船を沈めるつもりだったってことですね」

 皇帝は無言で頷きました。

「まるで、トカゲの尻尾切りみたいな話だが、
でも、その話を聞いた時、私は妙な違和感を覚えたんだ。
これはガルル皇帝、あんたの本音なんだろうかってね・・・」

「しょ、正直な話をすると・・・」

 ゲッベルスが話を継ぎました。

「私はね、人一倍臆病だし、悪事なんて縁のない人間だった。
だから、帝国にいる毎日毎日が恐怖と後悔の日々だったんだよ。
乗船したばかりの頃は、行く場所も、先立つ資金も無かったし、
次から次に命じられる業務をただこなすのが精一杯で、
忙しさでそんな気持ちも感じる暇も無かったんだけれど、
ある程度の期間が過ぎて、業務にも慣れてくると、
私の扱っている書面の意味が充分に理解できるようになって、
空恐ろしくなってしまうんだよ、自分のしていることが・・・
それに、それなりの資金が貯まりだしてくると、
それこそ一日も早くまっとうな生活に戻りたいって、
そんなことを毎日考えるようになってくるんだ。
それこそ一日中ずっとね・・・」

 それを聞いてヒムラーが頷きました。

「なあに、ゲッベルス。
お前が特別なんじゃないさ、私も全く一緒だよ。
特に息子の顔を見る度にその思いは強くなるんだ。
それはたぶん、帝国民全員がそう思っているはずさ」

 今度は、マレンゴが一歩歩み出ました。

「俺も同意見だ。
だからこそ俺は反乱を企てようとしていたんだ。
でも・・・」

 ここでマレンゴは、大きくひとつ息をつきました。

「でも、よくよく考えてみると、ガルルさん。
あんたにとっては、母艦を沈めることなんかより、
もっとほかの都合のいい選択肢があったはずじゃないかい?
手っ取り早くて、がっぽり儲かるような・・・
例えば、今までのように給料みたいな形で稼ぎを分配なんかせず、
上手いこと言って独り占めすることだってできたはずだし、
証拠と言う証拠を全部持ち出した上で、
巡洋艦で親衛隊たちと逃げ出しちまってもいいはずだ。
大体において、帝国民の誰一人あんたの名前すら知らないんだ。
俺たちが警察に捕まって提供できる情報なんて知れたもんさ。
だったらわざわざ大掛かりに船なんて沈める必要がどこにある?
あんたは船を沈めることによって何を、
いや、誰を守ろうとしていたんだい?」

「・・・・・・・」

 ガルル皇帝は黙して語りません。暫くの沈黙の後、MARUZOHくんが3人の意見を代弁しました。

「ガルルさん。
もしかしてあなたは、証拠隠滅と称して、
罪の意識に耐え切れなくなってきた帝国の人たちを、
ある程度の資金の蓄えられたこの時期に、
開放しようとしていたのではないのですか?」

《つづく》



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posted by maruzoh at 15:20| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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