やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
   maruzoh live.jpg

名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年01月06日

王様 対 皇帝 第68回 心丸 最後の日 その2


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第68回 心丸 最後の日 その2 


 みるみるうちに激しさを増した雨と風が、操舵室の窓をこれでもかと言うくらいに叩きます。うねった波に心丸は上下に大きく揺られ始め、皆が顔を見合わせました。

「おい、この話は暫くお預けだ。
予報よりだいぶ早く低気圧が発達しているようだ。
しかも、予報よりも相当強烈な時化だ。
総員配置につくんだ」

 キャプテンが窓の外を指差して叫びました。船員たちは一瞬躊躇った後、一声「おう」と答えると、めいめいの持ち場に走り去っていきました。
 でも、その中でガルルだけは、先程のテーブルにもたれた姿のまま、微動だにせずにいました。それはまるで、彼のいるその場所だけが、張り詰めた空気で満たされた心丸の中、すっぱりと切り取られてしまったかのようで、彼の眼はずっと閉じられたままでした。
 この部屋に残ったキャプテンと無線士、操舵士も、目の前に迫った危機を乗り切ろうと必死で、もはやガルルのことなど視界に入っていないようです。

「まずいな。
この先は、例の岩礁地帯だぞ」

「あの喫水線ギリギリの・・・」

「右に大きく迂回するか?
低気圧と共に進むことになるが」

「いや・・・
この低気圧は発達も移動速度も予報よりもかなり早い。
むしろ、西に向かってやり過ごした方が・・・」

「しょ、正面突破だと?
そいつは無茶だ」

 無線士と操舵士の意見の衝突を制したのは、やはりキャプテンでした。

「突破しよう。
速度を落とせば岩礁地帯に到着するのは、
低気圧を抜けてからになるだろう。
進路を北西に取れ」

 鶴の一声、心丸は進路をやや左に変えました。三角に尖った大きな波は、心丸の何倍もあって、それはまるで伝説上の海獣のようでしたが、これまで数多の海と戦ってきた心丸の勇士たちは、それに怯むことなく、勇敢かつ冷静に立ち向かいました。
 そして、数時間後。猛り狂っていた風雨は、徐々にではありますが、落ち着きを見せ始めました。キャプテンの判断は実に的確でした。心丸が岩礁地帯に差し掛かった頃には、もう雨も風も時化とは呼べない状態になっていました。
 一方ガルルは、操舵室の3人がようやく安堵の表情が浮かび始めたその時、ゆっくりとある決意に満ちた眼を見開いたのでした。

《つづく》



※本サイトの作品は、アルファポリス「webコンテンツ」、にほんブログ村「現代小説」ランキング、人気ブログランキング「現代小説」に参加しています。宜しければ、クリックお願い致します。

 人気ブログランキングへ  にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ



posted by maruzoh at 10:20| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

検索
 

title.gif
maruzohは、アートビリティ作家さんを、応援します!

●ご連絡先● 〒165−0023 東京都中野区江原町2−6−7
社会福祉法人東京コロニー アートビリティ事務局内
TEL 03−5988−7155/FAX 03−3953−9461
●営業時間● 平日 9:00〜17:20 / 土・日・祝日 休業日