やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
   maruzoh live.jpg

名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2012年01月05日

王様 対 皇帝 第67回 心丸 最後の日 その1


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第67回 心丸 最後の日 その1 


 あの10年前の曇天の日。
若き日のガルル皇帝たち船員8名と積荷を載せて、F国を出た心丸は、ほどなく公海に入りました。風が強くなり、海がだいぶ荒れてきたようです。
 心丸の船室、物凄い形相の彼、ガルルが仲間7人を懸命に説き伏せようとしています。

「も、もう1度、考え直せっ!
自分たちがしようとしていることを、
もう1度考え直してみるんだ。
こ、これは、取り返しのつかないことなんだぞ。
まだ、何とか打つ手立てはある、すぐにF国に引き返すんだ」

「いや、無理だ。
サイは、投げられたんだよ」

「そうとだとも。
もう、後戻りはできない」

「仮にだぞ・・・
仮に、戻ったとしても奴らは闇の組織だ。
密輸の事実を知ってしまった俺たちが、
無事でいられようはずがない・・・」

 仲間たちは、取り付くシマもありません。

「そんなことより・・・
何よりもお前の大事な正ちゃんは、
この荷を運ばない限り手術を受けられないんだぞ。
目の前にそんなチャンスが転がり込んできたってのに、
お前は、指をくわえて見ているってのか?
本当に、それでいいのか?」

「そ、それは・・・」

 止めには来たもののガルル自身にも、全く迷いがなかった訳ではありませでした。一人息子の正一くんを助けたい気持ちは、それこそ仲間たちの比ではあるはずがありません。

「だろう?
しかも、危ない橋をわたるのは、これっきりだ。
もう、2度とこんなことに、手を染めるつもりはない。
正ちゃんの為、この1回きりでいいんだ。
俺たちは、正ちゃんが助かりさえすれば、それだけでいいんだよ」

「・・・・・・・・・・・・・」

 目を伏せて俯いていた彼は、急に顔をブルブルと横に振ると、固めた拳で机をドンと叩きました。

「いや、駄目だ。絶対に駄目だ。
共犯であるという弱みにつけ込んで、
その闇の組織とやらは、決して俺たちから離れようとはしまい。
そして、次から次に無理難題を突きつけてくるのは、
目に見えているじゃないか。
いや、そんなことじゃない。
何よりも・・・
何よりも、そんなことをして得た不当な、不純な金・・・
見知らぬ人々を逃れられない闇へと誘(いざな)う、
不幸への転落の代償とも言うべき汚れた金で、
高額な手術を受け、命を永らえたとしても、
正一は、けっして喜びはしないっ!
肉親の1つの生命を救う為に、
多くの他人の生命と幸せを奪っていいなどとは、
俺は、絶対に思えないっ!」

 彼の言葉に皆は、目を丸くしています。

「な、何、綺麗事を言ってるんだ。
ケツの青いガキじゃあるまいし。
俺には信じられんよ・・・」

「全くだ。
いいか?
お前のたった一人の息子が死にかけているんだぞ。
お前、正一くんが可愛くないのか?」

 彼は、呻くようにして髪を掻きむしると、仲間を見渡して、絞り出したような声で答えました。

「ば、馬鹿野郎・・・
お、お前らに、俺の気持ちが分かってたまるか。
愛おしいからこそ、
かけがえがないからこそ、
これからの幸せを願うからこそ、
俺は、こんなに、こんなに・・・
胸が、張り裂けそうなんじゃないかぁ」

 船室の丸い窓ガラスから見える海原に三角の波が泡立っています。これは時化の前兆だとキャプテンが思ったと同時に、大粒の雨がその窓ガラスを叩き始めました。

《つづく》



※本サイトの作品は、アルファポリス「webコンテンツ」、にほんブログ村「現代小説」ランキング、人気ブログランキング「現代小説」に参加しています。宜しければ、クリックお願い致します。

 人気ブログランキングへ  にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ


posted by maruzoh at 15:37| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

検索
 

title.gif
maruzohは、アートビリティ作家さんを、応援します!

●ご連絡先● 〒165−0023 東京都中野区江原町2−6−7
社会福祉法人東京コロニー アートビリティ事務局内
TEL 03−5988−7155/FAX 03−3953−9461
●営業時間● 平日 9:00〜17:20 / 土・日・祝日 休業日