やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
   maruzoh live.jpg

名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年12月28日

王様 対 皇帝 第59回 1枚の写真


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第59回 1枚の写真 


 ガルル皇帝はその大きな拳でタカシくんの両肩を掴んだまま、次から次へと溢れでる涙を拭いもせずに、タカシくんの顔を見つめ続けて、そして、途切れがちにこう言いました。

「こ、小僧。
お前は本当に、不思議な奴だな・・・
ふふ、お前に、さっき言われたよな。
感情が溢れだして形になったのが、涙や、笑顔になるんだと。
でも、我輩はな、その時も言った通り、
もう自分の中には、喜びや哀しみの感情、
特に涙などというものは、
とっくの昔に枯れ果ててしまったものだと、そう思っていたんだよ。
ところが、本当にお前は、不思議な奴だ。
その枯井戸みたいになってしまった我輩の心に、
また・・・」

 MARUZOHくんも、マレンゴも、ヒムラーも、ゲッベルスも、そして、廊下の群衆も、誰もが言葉を失っていました。しんとした室内に、たくさんの息遣いだけが聞こえています。
 その静寂の中、静かに語りかけたのは、やはり、ガルル皇帝の思いがけない一言でした。

「小僧、お前は、それをどこで?」

 周りの誰もが気がつきませんでしたが、皇帝が目配せをした先、タカシくんの手元には、1枚の写真が握られていました。
 マレンゴに導かれたMARUZOHくんら2人がこの皇帝執務室に入ってきた時、タカシくんがしゃがみこんで見ていたのが、この古びた写真だったのです。ココロニア船団の帝国母艦スクリューへの金網攻撃の揺れで、この部屋の床と言ったら、書棚から落っこちた本やらファイルやらで、今も足の踏み場も無いほどなのです。

「この部屋の、床に落ちてたの。
散らばっているどこかの本の中に、
挟まっていたんじゃないのかな?
でも、きっと、おじさんの
大切なものじゃないかと思って、
僕、拾っておいたんだ・・・」

 タカシくんは、一旦、言葉を切って

「その子は・・・
おじさんの子ども?」

と、その写真をガルル皇帝に差し出しました。
 暫く躊躇しましたが、ガルル皇帝は写真を手にとって言いました。

「ああ、そうだ。
おじさんの、子どもだよ」

「その子の横にいるのって、
おじさんと、その子のお母さん・・だよね」

 ガルル皇帝は、タカシくんの言ったその人物を見つめました。丸刈りのやんちゃそうな子どもの横で、大きな口を開けて笑う褐色の肌のスポーツマン風の男。紺のポロシャツがとてもよく似合って、白い歯が眩しいくらいです。そして、その子どもを挟んで反対側には、つばの広い真っ白な帽子とワンピース姿。とっても優しそうな女の人が写っています。

「ああ、おじさんと、
おじさんの、奥さんだった人だよ。
もう・・、10年以上も前の、写真だけれどね・・・」

《つづく》



※本サイトの作品は、アルファポリス「webコンテンツ」、にほんブログ村「現代小説」ランキング、人気ブログランキング「現代小説」に参加しています。宜しければ、クリックお願い致します。

 人気ブログランキングへ  にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ



posted by maruzoh at 09:17| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

検索
 

title.gif
maruzohは、アートビリティ作家さんを、応援します!

●ご連絡先● 〒165−0023 東京都中野区江原町2−6−7
社会福祉法人東京コロニー アートビリティ事務局内
TEL 03−5988−7155/FAX 03−3953−9461
●営業時間● 平日 9:00〜17:20 / 土・日・祝日 休業日