やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年12月26日

王様 対 皇帝 第57回 ドアの向こうに


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第57回 ドアの向こうに 


 ゲッベルスとヒムラーの突然の登場に、ガルル皇帝は完全に不意をつかれて、小型拳銃を構えることすら忘れてしまいました。

「く、くそっ!
どうして貴様らが、ここに来られるんだ?
し、親衛隊の、能無しどもは、
一体全体、うう・・、な、何をしておるのだぁ!
あの、役立たずどもめらがぁっ!」

 ガルル皇帝の頭からは、湯気が吹き出しそうです。

「文句は後だ、ガルル皇帝。
まずは、その小さくて物騒なものを手放してもらおう」

 ライフルを構えたヒムラーが狙いをつけたまま、顎を杓ってガルル皇帝に拳銃を捨てるよう促しました。怒り心頭の皇帝は、暫く右手の拳銃を見つめていましたが、ライフルを一瞥して「ふん」と鼻を鳴らすと、無造作にそれをポイッと床に投げ捨てました。それを見てゲッベルスが拳銃を指さして叫びます。

「さあ、それをこちらに向けて、蹴るんだ」

「ほほう。
こういう状況では、なかなか威勢がいいじゃないか?
泣き虫のゲッベルスくん。
ふふふふふ・・・」

 いつものように口元を歪めて笑っているつもりの皇帝が、ゲッベルスに向かって小型拳銃を軽くコツンと蹴りました。シュルシュルっと音を立てて拳銃が回りながら滑ります。ゲッベルスは震える手でそれを拾い上げると応えました。

「ガルル皇帝。
お、お前こそ、その余裕がいつまで続くと思ってるんだ。
お前には、民の声が、聞こえないのか?」

 皇帝が怪訝そうな顔をして聞き返します。

「それは、どういう意味だ?」

 それを聞いた真っ赤な顔のマレンゴが皇帝執務用デスクの後ろからつかつかと歩み出ると、ガルル皇帝の前を大股で横切って、皇帝執務室の分厚いドアの前に立ちました。
 このドアは皇帝の背後でしたが、皇帝と対峙していたマレンゴにとっては、ちょうど真正面に位置していました。マレンゴには、ゲッベルスらが雪崩れ込んで来た時のドアの向こうの光景が、はっきりと見えたに違いありません。その光景というのは・・・

「こういうことだよ、皇帝陛下」

 マレンゴがバタンと開け放ったドアの向こう。
そこには、十重二十重に連なってガルル皇帝を見据える、溢れんばかりの帝国民の顔、顔、顔、がありました。親衛隊もいれば、コックさんも、航海士も、掃除のオバサン、幼子を連れたお母さん、杖をついたお爺さんまでいます。
 あの艦内放送の皇帝の話を聞いて居ても立ってもいられなくなってしまった帝国の人々が、続々と皇帝執務室前に押しかけてきたのです。

「こ、これは、一体。
ど、どういうことだ・・・?」

 信じられないといった表情の皇帝の耳に、ドアの向こうから響いてくる皇帝自身の声が、やまびこのように微かに聞こえました。

「マ、マレンゴォ・・・
き、貴様、まさか、エマージェンシーのスイッチを、
く、くそぉ、き、気づかなんだぁ・・・」

 怒りを通り越して、がっくりと肩を落としてしまったガルル皇帝の背後、皇帝執務室の廊下には、その後もどんどん帝国民が押し寄せてきます。もはや、この船の中には、ガルル皇帝の仲間と言える人は、ただの1人もいないように思われました。そう、マレンゴが言ったとおり、帝国に革命が起きたのです。
 ところがここでMARUZOHくんが、思いがけない言葉を皇帝に投げ掛けました。

「ガルル皇帝。
宜しければ10年ほど前に海溝深く沈めたあの船の話を、
帝国のみなさんにしてあげたらいかがですか?」

《つづく》



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posted by maruzoh at 08:32| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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