やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年12月24日

王様 対 皇帝 第55回 主役とエキストラ


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第55回 主役とエキストラ 


 このガルル皇帝という男は、一体なんて恐ろしいことを考え付くのでしょう。先程この男は、この自分の千年帝国のことを、その未来永劫まで続くという意味の「千年」とは程遠い、いえ、真反対とも言える「使い捨て国家」と言い切ったのです。しかも彼は、帝国民を捨て去った上で、この船を証拠隠滅のために海溝の底深く沈めてしまうと言うのです。

「た、確かに、貴方と父とは、まさに、水と油・・・
互いが、両極端の存在という気がしますよ」

 MARUZOHくんの言葉にガルル皇帝が口の端を残忍そうに歪めて応えます。皇帝は、これでも笑っているつもりなのです。

「光栄だな。
それは我輩にとって、最高の褒め言葉なんだよ。
なぜかは、我輩と貴様の親父との大きな違い、
つまりは、ココロニアと我が国の違いの続きを
話してやれば分かるだろう。
貴様らのココロニアは、絵描きだの、音楽家だの、
芸術家を中心とした特殊技能を持つ集団であるから、
一つ一つの仕事の単価は、かなり高い。
しかしながら、それ故、大量生産ができない。
芸術とやらには、同じモノは2つとないらしいし、
いくら忙しいからと言って絵描きには、音楽は出来んし、
同じ音楽だって洋楽家は、尺八など吹けんだろう?
つまり、ココロニアは、『個』の存在の集合体な訳で、
誰かがいなくなってしまったら、
もう同じことは2度と出来なくなってしまう・・・」

 ここで一息ついたガルル皇帝にMARUZOHくんが言いました。

「それは貴方にしては珍しく、正しい見方です。
人間は、それぞれが独立した唯一無二の
掛け替えのない存在であると言うのが、
我がココロニア王国の基本理念の一つだからです」

 それを聞いて、ガルル皇帝は「ふん」と鼻を鳴らしました。

「本っ当に、貴様らは、お目出度い奴らの集まりだな。
それだけ安穏と、能天気に生きられたら、
その唯一無二の存在の送る人生って奴も、
お気楽で、さぞかし楽しいことだろうよ。
よおく聞いておけ。
我輩にとって、帝国民それぞれの存在が、
唯一無二であろうが、なかろうが、
そんなことは、知ったことじゃない。
いや、むしろ、我輩の経験上、
帝国民なんてモノは、ただのイエスマンか、
無個性のノッペラボウの方が扱いやすいのは、
そこにいるマレンゴが、証明してくれているわい。
個性が強い奴はこれこの通り、いつでも問題を起こす。
それと、いいか?
しかと覚えておけよ。
貴様らココロニア国民のように芸術家を気取る奴らなどは、
ほんの一握りの、選ばれた存在であるってことを。
貴様らは特殊、特別なんだ。
しかしだ・・・、この帝国の人間を含めて、
世の中のほとんどは、そうではないその他多勢なのだ。
唯一無二もへったくれも無い。
枯れ木も山の賑わいの、その他多勢さ。
貴様ら芸術家サマの人生が、
特別な、映画のメインキャストだとするなら、
この船の連中は、ひと山いくらのエキストラの集まりだよ。
そう、テロップに名前も出ない、エキストラさ。
だがな、その他多勢にはその他多勢なりの使い道があるんだ。
疑うことを知らず、自ら新たなモノを創り出せないからこそ、
奴らその他多勢は、教えられたままのマニュアル通りに、
ベルトコンベアに乗せられた犯罪を大量生産してくれるのさ。
我輩が躊躇無く、帝国と帝国民を捨て去れるのは、
主役の代わりを探すのなら、そりゃ大変だろうが、
食い詰めた、ひと山いくらのエキストラの代わりなら、
それこそ、掃いて捨てるほどいるっていうことなのさ。
エキストラ、つまり帝国民は、単なる消耗品だ。
消耗品には個性などいらないし、
それは決して、唯一無二なんかじゃないのさ」

 と、その時です。

「ち、畜生っ!」

 絞り出したような声にガルル皇帝が振り返ると、怒りで顔を真っ赤にして涙をボロボロこぼすマレンゴが、まさに皇帝に襲い掛からんとしているではありませんか。
 しかし、それより一瞬早く、

タアァァァァァァンッ

 ガルル皇帝が手にしたあの小さな銃から、青白い火花と白煙が舞い立ちました。

《つづく》



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posted by maruzoh at 08:10| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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