やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年12月19日

王様 対 皇帝 第50回 皇帝の切り札


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第50回 皇帝の切り札 


 ガルル皇帝は、いつからそこに立っていたのでしょう。王国との電話を、聞かれてやいないでしょうか。
もし万が一、電話の内容、とりわけ警察への協力のことや、CDのことを聞かれていたら、王国との取引は、当然破談ですから、ガルル皇帝はもう後先などを考えずに、より獰猛に必死の反撃を試みてくるに違いありません。

「妙なところで会ったな、マレンゴ。
スクリューの修理に顔を見せんと思っていたら、
まさか貴様までが、アマちゃん集団のココロニアに肩入れして、
お坊ちゃまと、小僧の、ご来賓2名様に
帝国母艦の船内をご案内差し上げていたとはな。
ふんっ、やはり諜報部に調べさせるはずの落書きの一件、
早めに指示を出しておくべきだったわい。
まあしかし、貴様ら3人が雁首を揃えているってことは、
大方、熱田に電話する為にここまで来たんだろうが、
くくく・・・、まさか寸前で我輩に会おうとは生憎だったな。
ふは、ふははははははは・・・」

 その歪んだ笑い声を聞いてMARUZOHくんとマレンゴは、思わず顔を見合わせてしまいました。今の口ぶり、ガルル皇帝には、さっきの電話は聞かれていないようです。ガルル皇帝は、ナポレオンさながらのあのいつものポーズ、コートの懐に手を入れた姿勢のまま、3人の顔に次々と視線を移して言いました。

「さて、貴様らをどうしてやろうか。
しかし我輩でも、流石に2対1では・・・」

 その時です。

「僕だって、いるんだからね!」

 タカシくんが、麻袋から何かを取り出して皇帝の言葉を遮りました。

「おや、小僧まで戦おうと言うのか?
ふふん、手に持っているそれは、
あの忌々しいお徳用の胡椒の瓶じゃないか。
ふはははは・・・
いや失敬、失敬。
では、3対1にしておくとしよう」

カツ カツ カツ カツ カツ・・・

 黒い皮のブーツの靴音が響きます。ガルル皇帝は、ナポレオンポーズのまま、落ちて散らばった書類や本を巧みに避けながら、部屋の中を行ったり来たり始めたのです。

「さて、我輩が階下に援軍を呼びに行けば、
貴様らはその隙に熱田に電話を架けるだろうし、
さりとて、取っ組み合いとなれば、3対1で分が悪い。
我輩は、窮地に追い込まれてしまったようだな」

 口ではこんなことを言っているガルル皇帝ですが、なぜか態度は余裕綽々です。相変わらず踏ん反り返って、ニヤニヤと薄笑いで3人の表情を窺っています。

「かくなる上は・・・」

 そう言うとガルル皇帝は立ち止まって、重ねた襟の内側からから、突っ込んでいた右手をサッと引き抜きました。MARUZOHくんとマレンゴが、半歩後退りをします。
 なぜなら、皇帝の右手には、掌に隠れてしまうほど小さな拳銃が握り締められていたのです。

「お、俺はまた、あんたはナポレオンの真似をして
いつも懐に右手を突っ込んでいたのかと思っていたが、
こういったオチがあったとはな・・・
ま、全く思いもよらなかったよ」

 マレンゴの言葉に、皇帝は得意そうに頷きました。

「どうだ? 驚いたろう?
くくくくっ・・・
我輩のあのポーズは、ただ単に格好をつけて
ナポレオンの真似をしてたわけじゃなかったんだ。
胸のホルスターに納められたこの銃に、
いかなる時も手を掛けていた、という訳だ。
そう、いかなる時も、だ。
ふはははははははは・・・」

「確かにアイデア賞モノだよ。
しかしな・・・
俺たち帝国にいた人間に取っちゃあ、
ただのナポレオンかぶれの皇帝だって方が、
誰にでも銃を向ける危なっかしい野郎より、
まだ100倍も、1000倍も、ましだったよ」

「な、なんだとぉ!」

 その時マレンゴが、自分が立っていた後ろ、皇帝の執務用デスクの左端にたくさん並んだ、そのスイッチの1つを、音も無くオンにしたことを他の誰一人として気づく者は、ありませんでした。

《つづく》



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posted by maruzoh at 08:22| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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