やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年12月11日

王様 対 皇帝 第42回 ゲッベルスの告白


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第4回 ゲッベルスの告白


 マレンゴ以下機関室の若者が仲間に加わって、最初に比べると随分と仲間が増えました。タカシくんはこれをとても心強く思いましたが、それでも仲間は総勢で16名に過ぎません。あの多勢の親衛隊たちにたったの16名で本当に立ち打ちできるのでしょうか?それに奴らは、銃まで持っているのです。
 MARUZOHくんが尋ねました。

「いったい千年帝国では、
何人くらいの人が暮らしているんですか?」

 マレンゴが応えます。

「約700名。
この船に乗船している臣民550名と
4隻の巡洋艦にそれぞれ40名弱ずつかな・・・」

「な、700名ですって?
この船に550名も?
千年帝国って、そんなに大きな組織だったんですか・・・」

 想像していたより随分と数が多かったからでしょう。目を丸くしているMARUZOくんとタカシくんにヒムラーが説明を続けます。

「千年帝国臣民は、今も徐々に増え続けています。
元々この船は、払い下げられた客船を
ガルル皇帝が違法に改造した船なんです。
あれだけのフロア数、部屋数があるんですから
まだまだ部屋は空いています。
食いつめて行き場のなくなってしまった人が、
希望さえすればいつだって乗船・・・
つまり、千年帝国民になることが可能です。
550名の臣民の内、実際に業務を・・・
いえ、悪事に加担しているのは、300人ちょっとです。
残りはその家族や身寄りの者なんですが、
実はそれこそが、ガルル皇帝の狡猾なところなんです」

「まさか・・・」 

 とMARUZOHくんが漏らし、ヒムラーが続けます。

「そう、そのまさかです。
550名の帝国民中、親衛隊は約80名ですから
先ほどここに来る階段で説明した通り
220名がガルルに採用された雇われ臣民です。
そしてその家族約200名は、まるまる・・・」

「洋上でまさに逃げ場のない、
人質・・、ということですか」

「ガ、ガルルというのは、そういう奴なんです。
みんなその手口に乗せられてしまうんです」

 ヒムラーとMARUZOHくんの言葉を継いで、ゲッベルスが割り込むように立ち上がりました。思いつめたような表情に、何か重大な決意が感じられます。

「わ、私が、この船に乗ったのは、
3年半ほど前、51才の時です。
それまでの私は、建築資材関連の会社の経理部に
30年近く勤務していたのですが、
それが4年前、不況の煽りを受けて勤務先は突然倒産。
私は全く途方に暮れてしまいました。
再就職をしようにも、この不況とこの年齢ですと
なかなか思うような募集はありません。
何十回もハローワークに通い、
それ以上の数、求人広告に応募しましたが、
私を採用してくれる会社はありませんでした。

そんな打ちひしがれて、疲れ切った私が、
あのガルルから、夢のような話を持ち掛けられたのは、
狙いどおりだったのでしょう。
失業保険の切れる間際の頃でした・・・」

 そこまで話すと、ゲッベルスは辺りを見回しました。タカシくんが自分のことを心配そうに見ています。

「私がガルルから聞いた話というのは、
過去の経理の経験を生かし、
帝国の経理部門を見て欲しいという話でした。
多少は法に触れる部分もあると思うが、
その代わりに給料は、
なんと以前の会社の倍近く払うと言うのです。
信じられないような破格の提示でした。
しかも、帝国の母船には、
家族の居住スペースもあるというのです。
月々の家賃も払えなくなって、
住まいを追い出されようとしていた私には、
まさに渡りに船と言った、
文句のつけようのない条件でした。
当時・・、私には妻がおりました。
私は、妻と2人で乗船しようと考えていました。
しかし妻は、最後まで私が帝国に入ることに反対しました。
人の道に反しては絶対にいけないと・・・、
他人を不幸にしてお金を得るくらいなら、
私は飢え死にした方がマシだと、そう言っていたのです。
でも、その時の私は・・・
半年の求職活動に疲れ、絶望し、
不安と、欲望とに、狂っていたのです。
乗船直前、妻が差し出す離婚届に
私は、判を押したのでした。
今、私がこんな話をしたのは、
自分を正当化しようとしている訳でも、
罪を逃れようとしている訳でも、ありません。
むしろ今でこそ、あの時の妻の言葉を・・
深く、深く噛み締めています。
私は、ただ・・
あのガルルのして来たこと。
人の弱みに付け込み、人の欲望を助長し、
人の人生をもてあそぶ・・・
ガルルは、そんな奴だってことを
MARUZOHさんやこころ王国の人たちに、
分かって欲しかったんです・・・」

《つづく》


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posted by maruzoh at 10:05| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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