やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年11月30日

王様 対 皇帝 第31回 タカシくんの反論


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第31回 タカシくんの反論 


 大量の脂汗をかくばかりのゲッベルスは、ガルル皇帝になんの反論もできないままもじもじしています。ただ、後ろだけは絶対に振り返らせてはいけないという思いから、時折「あのー」だの、「えーと」だのと言って、必死に皇帝の注意を引きつけようとしていました。

「どうした?ゲッベルス。
貴様は、我輩と熱田の何処が違うと言うんだ。
さあ、言ってみろ!」

 そうは言われても今のゲッベルスときたら、授業参観の時に勢いで上げた手を思いがけず指されてしまった小学生みたいなものです。やっぱりもじもじしながら、荒い鼻息を「すー」とか「ぴー」とか言わせるばかりで、一向に中身のある話にはなりません。
 ゲッベルスの訳のわからない態度に次第に皇帝のイライラが募ってきます。そしてついに皇帝は、額に青筋を立てて、目を血走らせて、ゲッベルスに掴みかからんばかりに詰め寄りました。

「貴様ぁ!我輩をなめるのもいい加減に・・」

 ところが、叫びかけた皇帝とゲッペルスの間に割り込むように、タカシくんが1歩前に歩を進めるではありませんか。

「ほう、小僧。
何か言いたげだな」

 ガルル皇帝は、なおも自分を見つめ続けるタカシくんを睨んで「忌々しい」とでも言いたげに口元を歪めました。恐らく、皇帝本人は、笑っているつもりなんでしょう。でも、さっきのタカシくんの話を聞いた後では、この歪んだ口元を「微笑み」などとは、とても言えません。タカシくんが言ったとおり 笑顔や泣き顔、人の織り成す表情や感動というものは、感情が溢れ出した時に心の芯から滲み出てくるもののはずで、ガルル皇帝がそうしているように、他人を威圧する道具としての表情なんて、なんの説得力も魅力もありません。

「僕には、ガルルのおじさんの言ってることって、
難しすぎてよく分からないけれど、
おじさんが、ココロニアの王様の悪口を言ってるってことは、
僕にでも なんとなく分かる・・」

「ふん、悪口でも何でもないさ。
我輩は事実を伝えているに過ぎん」

 皇帝は、狩りに水を注されてしまった猛獣が、すねて伏し目がちにグルルとでも言うような感じでタカシくんにそう言いました。

「でも、さっきゲッベルスのおじさんの言ってた
ガルルのおじさんが王様と全く違うってことは、
僕にだってわかるよ。
なぜかって説明だって簡単にできる」

 その言葉を聞いた瞬間、閉じられそうだったガルル皇帝の目がまた、かっと見開かれて、らんらんと光りました。そう、猛獣が新たな獲物を見つけた時のあの目です。

「な、なんだと?小僧。
言うに事欠いて・・・
ゲッベルスが答えられない質問に、貴様が答えるだと?
しかも、簡単だと言ってのけおったな?
面白い、答えさせてやろうじゃないか。
答えてみるがいい。
ただしっ、ただしだ!
もし、それがつまらぬ答だったりしたら、いいか?
貴様ら3人とも、即座にこの船窓から放り投げて、
鮫の餌にしてくれるから覚悟して・・・」

 答えろ、と言いたかったのでしょうが、船窓に向かって振り向いたガルル皇帝は、その後の言葉を失ってしまいました。ゲッベルスの必死の時間稼ぎの甲斐あって、ココロニアの大船団がもう窓一面に見えるほどに接近していたのです。

「お、おのれぇ、ゲッベルス!
き、貴様、謀りおったなぁ!」

「ひいいぃぃぃぃぃ」

 皇帝がゲッペルスに踊りかかろうとして、ヒムラーがそれを庇おうとした、その時です。

ガックンッ!

 船体が大きく揺れて、そこいた全員が、いえ、恐らく母船にいた全員が、2〜3歩よろめいてしまうほどの横揺れが来ました。中には、尻餅をついてしまった人やどこかに頭をぶつけてしまった人もいるかもしれません。それほどに大きな揺れでした。しかもその後も、

ガ・・ガガガ・・ガガガ・・

 船体が小刻みに軋むような音がしています。

「な、何事だぁっ!」

 ガルル皇帝は、眼下で震えているゲッベルスには目もくれず、踵を返すと、階下の操舵室に向けて駆け出していきました。
 残された3人は、船窓に駆け寄りました。身を乗り出して外を見るとわぁわぁというココロニア船団の雄叫びや歓声が聞こえます。

「タカシ―――ッ!」「タカシ―――ッ!」

 いくつもの歓声が折り重なって響き渡る中、間違いありません。タカシくんは、お父さんの声とおじいちゃんの声を確かにその耳で聞いたのです。

《つづく》



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posted by maruzoh at 08:14| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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