やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年11月20日

王様 対 皇帝 第21回 義兄弟の父


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第21回 義兄弟の父 


 タカシくんは、通風孔の穴から顔をのぞかせていました。ゲッベルスは、「しまった」という顔をしていました。長身のひげもじゃの男、つまりタケルくんのお父さんらしき人は、タカシくんから慌てて目をそむけていました。

「や、やあ、タカシくん。
おじさんは、ずいぶんと予定より早くついてしまってね。
それも、ここにいるこの男のおかげなんだが・・・」

 ゲッベルスは椅子の上に登ると、タカシくんを通風孔の穴から抱き下ろしました。タカシくんは、ひげもじゃ男を見つめたままで、ひげもじゃ男は、相変わらず目をそらせたままです。

「ぼく、穴の中で聞いちゃったんだけど・・
おじさん、本当にタケル兄ちゃんの・・お父さんなの?」

 ひげもじゃ男は、一瞬ビクンと体を震わせました。そしてしばらくの間そのまま俯いていましたが、やがてもじゃもじゃのひげを頬の辺りからぺりぺりっと言う具合にはがしたかと思うと、それをぽいっとゴミ箱に放り込んでから真っ黒な四角いサングラスをはずしました。
この人なら、王国で何度か見かけたことがあります。アッタカ峠やスガスガ沢で穴掘りをしていたおじさんです。

「おじさんって、王国でチシツチョウサってのをやってた人だよね。
それじゃあ、やっぱりタケル兄ちゃんのお父さんじゃないか!
ああ、よかった。
ぼく、てっきりアクニンの仲間かと思っちゃったよ」

「・・・・・」

 タケルくんのお父さんは、何も答えられずにいました。

「このおじさんはね、ヒムラーと言うんだ。
ガルル皇帝にもらった、つまらん名前だがね・・・」

「ヒムラーのおじさん?
あっ、そうか、タケル兄ちゃんは、火村タケルだもんね。
でも、タケル兄ちゃん、大丈夫かなあ。
ぼくがあげたCDのせいでタケル兄ちゃん、
アクニンたちに捕まったりはしないかなあ・・・」

「タカシくんは、よほどタケルくんが好きなんだね」

 ゲッベルスの問いかけに、タカシくんはにっこりとうなずきました。

「タケル兄ちゃんに教えてもらったんだけどね、
ぼくらは、『ギキョウダイのチギリ』ってのを結んだんだ。
血はつながってないけど兄弟なのさ。
だから、ヒムラーのおじさんは、ぼくにとってもお父さんになるんだよ」

 その言葉を聞くとヒムラーの肩は、雷にでも打たれたかのように、ブルブルッと震え始めました。そしてみるみるうちにヒムラーの目からポロポロと大粒の涙がこぼれ出たではありませんか。ヒムラーは、それを拭いもせずにゲッペルスの肩を両手で掴んで、初めてタカシくんの前で声を発しました。

「そ、そう・・だよな。
そうだよな、ゲッベルス。
タカシくんの言うとおりだ。
息子の義兄弟だものな、我が子も同然だよな・・・
わかった、俺は、完全に目が覚めたよ。
俺も、腹を括った。
タカシくんのために・・・
タケルのために・・・
この最後のチャンスに、かけてみよう」

「ヒムラー・・・」

 二人は、お互いの手を固く、固く握り合いました。
右手と右手、左手と左手。その四つの固いこぶしの上に、タカシくんはニコニコッと笑いながら、
小さな二つの手のひらを重ねました。

《つづく》



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posted by maruzoh at 07:50| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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