やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年11月17日

王様 対 皇帝 第18回 6つ目の部屋の会話


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第18回 6つ目の部屋の会話 


 タカシくんは、ほふく前進の要領で風が送り込まれる狭いダクトを這っていきます。最初こそなかなか前に進みませんでしたが、しばらくするとだんだんとコツがつかめて、まるですばやい芋虫のようにすいすいと進んでいきます。
 暗い通路の中、点々と換気口から灯りが漏れていました。灯りの下は、それぞれの部屋があるのでしょうが、みな出払っているのか物音一つしません。タカシくんは、その換気口の灯りを4つ超えてきました。

(よおし。
6つ目の暗い部屋がゲッベルスおじさんの部屋だから、
もうあと2つだ。)

 そう思ってタカシくんは、ダクトの先を見ようと少しだけ上体を起こしてゲッベルスの部屋の辺りを見てみました。

(おや?)

 脱出計画の打ち合わせでは、6つ目の部屋は電気が消えているとゲッベルスは言っていましたが、ところがどうでしょう。5つ目の部屋にも6つ目の部屋にも灯りがともっているではありませんか。ゲッベルスも思いのほか上手く逃げ出せて、中でタカシくんのことを待っているのでしょうか?
 それとも・・・
タカシくんの脳裏に不安がよぎりました。
そう・・・、ゲッペルスはあの後すぐに捕まってしまって、鍵を取り上げられてしまったのかもしれません。もしそうだとしたら、間違いなく親衛隊が待ち伏せているはずで、それこそ袋のねずみです。
 タカシくんは、そろりそろりとなるべく音を立てないようにして、6つ目の換気口の灯りに近づいていきました。おや、中から声がします。タカシくんの心臓が、またドキンとしました。

「そ、それでもお前は、まだこの国に忠誠を誓うのか?
いや、こんなのは国家じゃない。
ただの国際犯罪組織じゃないか。
こんな犯罪者集団に、未来などあるはずがない」

 タカシくんはほっとしました。外に漏れないようにヒソヒソ声で話していますが、間違いありません、これはゲッベルスの声です。

「し、しかし・・・」

どうやらもう1人いるようです。誰でしょう。タカシくんは、そっと換気口から中を覗いてみました。

(あっ!あの人は・・・)

 その大柄なひげもじゃの男には見覚えがありました。学校帰りのタカシくんを眠らせて運んだ、あの男です。

「もう、今さら、元には戻れやしない・・・」

 ひげもじゃ男は、見かけとは程遠い、弱々しい声で答えました。

「そんなことはない。
人間は決意さえあれば、劇的に変われるんだ。
そして、私たちにとって、今がその最後のチャンスかもしれない」

「俺は、君ほど強くは、ない・・・」

「じょ、冗談じゃない。
私が強いって?
牢屋でタカシくんから情報を聞き出すよう皇帝に命じられて、
良心の呵責からめそめそと泣いていたこの私が?
お生憎様。
今だって、膝はガクガク言ってるよ」

「じゃあ、なぜ?」

「タカシくんは、本当に純粋なんだよ。
あの子の目を見ればわかる。
そして、あんな、あんな小さなタカシくんだって、
勇気を振り絞って、戦っているんだ。
君が誘拐してきた罪もないタカシくんが・・・」

「・・・・・・・・・」

「それと、君は諜報部に籍を置いてるくせに、
親子の会話は少ないらしいな。
例のCD。
私の独自の調査と推理からすると、
あれは恐らく、君の息子のタケルくん、
彼が持っているのだろうと私は踏んでいる」

「えっ?」「えっ?」

 ひげもじゃの男と換気口のタカシくんの声が綺麗にハモって、ゲッベルスが換気口を見上げました。

《つづく》


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posted by maruzoh at 08:06| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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