やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年11月13日

王様 対 皇帝 第14回 脱出計画


〜憧話 こころ王国 episode 2〜
王様 対 皇帝 第14回 脱出計画 


 自分が大臣だったと言う、痩せこけた男は、しきりに鉄格子の外の廊下を気にしながら、部屋の隅からタカシくんに「おいでおいで」をしました。タカシくんは、行くべきかどうか迷ったのですが、ゲッベルスの眼が思いのほか優しそうだったものですから、そろりそろりと少しずつ男に近づいていきました。ゲッベルスの手が、「早く早く」と手招きします。
 タカシくんが膝を抱えているゲッベルスの顔の脇にしゃがみ込むと、ゲッベルスは、タカシくんの耳を手で覆ってからそこに口を寄せて、ひどく小さな声で話し始めました。

「用心するんだ。
ここでの会話は、盗聴されているだろうからね・・・」

「えっ?盗聴?」っと、あやうく声を出しかけたタカシくんの口をゲッベルスのかさかさの手が塞いでいました。そして、「しーっ」と口の前に人差し指を立てる仕草をした後、ゲッベルスは、また声を潜めて話し始めました。

「今はとりあえず、ここから逃げることを考えよう。
タカシくんには信じられない話だろうけれど、
ここ、千年帝国とタカシくんのココロニア王国は、
まったく正反対の国なんだよ。
もたもたしてたら、幼い君にさえ
奴らは何をするかわかったもんじゃない・・・」

 タカシくんは、ゲッベルスの言っている意味がさっぱりわかりませんでしたが、自分がとても危険な状況でゲッベルスがとても焦っていることだけは分かりました。

「いいかい?
これから暫くすると、皇帝の親衛隊の連中が、君を連れにやってくるだろう。
CDロムのありかを聞き出すためだ」

タカシくんは、(やっぱりあれは虹の卵じゃなかったんだ・・)と思いましたが、どうやら今は、がっかりしている場合ではないようです。

「ここから先は大事な話だから、よおく聞くんだよ。
いいかい?逃げ出すチャンスは、
奴らが鉄格子を開けた、その一瞬しかない。
鉄格子が開いたらその瞬間に、
君は先頭の奴の向こう脛を思い切り蹴ってやるんだ」

「向こう脛を・・蹴る?」

「そう。そうしたら、出て左に走るんだ」

「あっち?」

タカシくんが指差した方向を見て、
ゲッベルスが、無言で頷きます。

「そして、突き当たったら右だ」

「突き当たったら右・・・」

「数メートル進むと左に空調のダクトがある。
子供は入れるが、大人だとちょっときつい。
親衛隊の連中は巨漢揃いだから、多分追ってこられまい。
ここで時間が稼げるはずだ。
部屋の上を通過しながらダクトを進むと
6つ目の部屋は暗いはずだ。
なぜなら、おじさんが今まで住んでいた部屋だからだ」

「左のダクトに入って6つ目の部屋・・・」

「そう、その通りだ。
おじさんは、その混乱に紛れて別の経路からその部屋に向かう。
その部屋の鍵の隠し場所は幸いまだ知られていないから、
君を待ち受けることができるはずだ。
倉庫にはちょっとした武器もある。
今しか、脱出のチャンスは・・・」

 ゲッベルスが「ない」と言おうとした時、廊下の奥の方から「カンカン」という靴音が響いてきました。

「がんばれ、君ならできる」

それだけ言ってゲッベルスは、タカシくんの耳から急いで手を離すと、鉄格子の方をぐっと睨みつけました。

ドキドキドキドキ・・・・

 タカシくんの心臓は、足音が近づくごとに早鐘を打つように高鳴っていきます。

《つづく》



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posted by maruzoh at 07:45| Comment(0) | ◆王様 対 皇帝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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