やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。












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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町 誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジャー・ウォブルさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪


2011年10月23日

【短編】ショボン玉飛んだ


【短編】ショボン玉飛んだ 


シャボン玉は、風に吹かれてふわふわ
おひさまに照らされてぴかぴか
とっても気持ちよさそうに飛んでゆく。

綺麗だなあ。
楽しそうだなあ。

「ねえねえ。
君たち、どうしてそんなに綺麗なの?
どうしたら七色の光をキラキラと反射できるの?」

彼らとのすれ違い際に、
僕は、思わず聞いてしまった。

「えっ?
どうしてって、
君も同じシャボン玉じゃないか。
君だって綺麗なはず・・・・」

綺麗なシャボン玉くんが口ごもる。
そう、僕もシャボン玉。

でも、どうしてだろう・・・
ふわふわはするけど
ぴかぴかしないシャボン玉。
みんなの半分も色を持ってない。

「そうなんだ。
僕、七色に反射して輝けないんだ。
なぜかなあ?
君たちと何が違うのかなあ・・・
君たち、生まれは何?」

僕の質問に綺麗なシャボン玉くんは、
まあるい体をぷるんとさせて

「僕らは中性洗剤生まれさ」

そうか、そうだったのか。

「どおりでぴかぴかしているわけだ。
僕なんか洗濯石鹸生まれだもの・・・
ぴかぴかなんて、できるわけないよね」

綺麗なシャボン玉くんが通り過ぎたあとも
僕は、どこにも行く気がおきなくって
ぐずぐずとその辺りを漂っていた。

その時だった

「おいおい、そこのシャボン玉ぁ」

ずいぶんと高いところから、僕を呼ぶ声。
僕はきょろきょろとするけれど、
何処の誰かさっぱりわからない。

「ここじゃよぉ、わしじゃ、わし。
お前さんの真上、太陽じゃよぉ」

僕、びっくりしちゃった。
あんな遠くのおひさまが
こんなちっぽけな僕を見てただなんて。
しかも、話しかけてくるんだから・・・

「こ、こんにちは、おひさま」

僕がどきどきしながら応えると
おひさまは、にこにこしながら言った。

「お前さん、シャボン玉の割には、ちょいと地味じゃろ?
どうにも、もったいないと思ってなぁ」

「も、もったいないって?」

「そうじゃ、実にもったいない。
そのまま光りもしないまま 
弾けてしまうのを待つだけなんてなぁ」

違うよ。
別に僕だって、弾けてしまうのを待ってる訳じゃない。
でも、こうして反射できずにいるのが辛いんだ。
神様は僕をどうして洗濯石鹸なんかで
お作りになったんだろうって思ったら、
ますます悔しくて悲しくなってしまったんだ。

僕がじっとおひさまを見ていたら、
おひさまがはっとして、こう言った。

「まさか、お前さん。
勘違いしてるわけじゃあるまいな?

しかし、中にはぴかぴか光れないのは、
太陽の光が悪いに決まってるだなんて
わしを逆恨みする奴もいるくらいだからなぁ・・・」

僕は、おひさまの言いたいことが
だんだんと分かるようになった気がした。
でも、そんなことは僕にはもう分かってる。
そう、これはおひさまのせいじゃないんだ。

「おひさま、大丈夫です。
僕には分かっています。
勘違いなんてしてません。
僕がぴかぴか反射しないのは、
僕が洗濯石鹸生まれだからでしょう?」

「ほう!」

おひさまは、驚いてから
呆れたように溜め息をつくと、こう言った。

「何を馬鹿なこと言っとるんじゃ。
勘違いも甚だしい。
お前さんにゃ、ほとほと呆れるわい。

お前さん、光れないことを、
なぜ変えようもない運命のせい、
つまり、洗濯石鹸のせいにする。

お前さんに比べりゃ
わしのせいにして文句言ってる奴の方が
まだ何百倍もましじゃよ」

僕は、なにがなんだかわからないまま
おひさまに叱られて胸がドキドキしていた。

「いいか?ようく聞け!
シャボン玉は、誰でも光れるんじゃ。
光ろうとすれば、いくらでも光れるんじゃ。
いいか?自分の力で光れるんじゃ。
光を反射するんで無しに、自分自身が、
シャボン玉が、光を発して輝くんじゃ!」

「えっ?」

シャボン玉が、光る?
僕自身が、光る?
僕自身が?
僕は、息を呑んだ。

「光れないのは、太陽の光のせいでも、
ましてや、石鹸のせいでもない。
まあ、光るシャボン玉が
光らないのより偉いってわけじゃないし、
お前さんが光りたくないってんなら、
それはそれでいい。
しかしじゃ、
お前さんが少しでも光りたいと思うんなら、
まずそうしたいと思わにゃ!
光ろうと思わにゃ、光れんのだよ。
待っているだけ、
悩んでいるだけじゃ、何も変わらんのじゃ。
いいか?
シャボン玉が生まれてから弾けてしまうまでなんて、
あっという間じゃぞ。
悩む暇が無いくらいあっという間じゃ。
お前さんみたいに生まれのせいだとか
つまらないことをぐずぐず言ってるうちに
光ることもなしに弾けてしまう・・・
そんなしょぼんとしたしょぼくれた奴らのことを
『ショボン玉』って言うんじゃ」

「だ、だって・・・」

「光りたいんなら、光ってみろ」

僕は、だって・・・と言ったきり、
口をつぐんでしまった。

でもそれは、泣きたい時間も、
言い訳をする時間も、おひさまのことを疑う時間すら
もったいないと思ったから。
試してみたかったから。
自分で光ってみたかったから。
誰よりも、ただ光りたかったから。
ショボン玉になんか、なってたまるか!

風が吹いて
僕はふわふわと流されて行った。

「あっ! シャボン玉!」

お母さんに手を引かれた小さな女の子が
僕を見つけて笑顔で指差した。
お母さんも微笑んだ。

「あら本当、綺麗ねえ」

《おわり》



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posted by maruzoh at 17:31| Comment(0) | ◆熱田丸蔵 ア・ラ・カルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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