やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年10月18日

ツノナシオニ 第21回 懺悔


ツノナシオニ 第21回 懺悔 


 トカゲ眼鏡は何かを言おうとしたのだろうか?
 大きく息を吸い込んでからお父さんの方を見たのだけれど、でも、暫くそうしていたと思ったら、やっぱりやめたっていう具合にふうっと大きな溜め息を吹くみたいにして、また小首を傾げるようにして見せた。
 なんとなくだけど、その仕草がさっきまでのトカゲ眼鏡とはちょっと違って見えたのが、僕には不思議だった。
 でも、お父さんはどうして、お父さんやここにいるおじさん、おばさん、そしてトカゲ眼鏡や西原先生までが、僕と同じツノナシオニだなんて言ったんだろう。
 だって、みんなは人間、僕とお父さんはオニ、全然違うじゃないか。
 僕たちみんなが同じツノナシオニって、どういう意味なのさ。
 そんなことを考えている僕らに向かって、お父さんは、その答えを話し始めた。

「笑ってやってください。
あなた方人間にとっては、本当に馬鹿馬鹿しいお話しです。
実は、ツノがなかなか生えてこないからといって、私は以前から太郎にツノに良いと思われるカルシウム、そう、小魚や牛乳なんかをたくさん取るようにと命じていました。
それこそ朝昼晩と相当な量を食べさせていたんです。
そればかりか、ツノの発育にいいという噂を聞けば、私は錠剤から如何わしい薬草の類に至るまで、端から高いお金を払って買い漁ったものでした。
効果の程は定かではありませんし、とても美味しいと言える代物ではありませんから、太郎はひどく嫌がっていましたが。
でも、他のオニと同じようなツノが無い太郎が不憫で、人並み・・いや、オニ並みと言うんでしょうね、何とか他のオニの子並みのツノを、太郎に生やしてあげたいと思っていたんです。
ツノがないことで、太郎が明るさを失って欲しくはありませんでした。
その言葉に、嘘はありません。
決して嘘はありませんでした。
しかしその言葉が、100%の真実かと言いますと、佐藤さんのお話を聞いた今の私には、自信を持って「間違いなくそうだ」とは、言い切れないのです。
もともと私の欲しかったのは、ただ、息子の心の底からの笑顔のはずでした。
でも、それがいつしか、ツノが生えて喜ぶ息子を見る、私自身の笑顔を求めていやしなかったかと、そんな風に思ってしまうのです。
つまりツノを求めていたのは、息子ではなく、実は私自身だったのではないかと思えてならないのです。
私の気持ちの中で、自分の息子にツノが無いはずが無いと。
自分の息子には、ツノがあるべきだと。
そんな風には思っていなかっただろうかと、今の私は、あの頃の私に質してしまうのです。
それだけでは、ありません。
私が息子のツノを求めていて、なんとかしなければと足掻いているということは、私自身がツノのない息子を恥じているということに、外ならないのです。
そのツノが、生きていく上でほとんど使われることも無い、形や大きさを競うだけの飾り物に過ぎないばかりか、今、こうして、私たちオニとあなた方人間の間に、埋めようの無い壁を作ってしまっている、全くの無用の長物と言うべきものなのに・・・
私はオニ社会の慣習にだけ囚われて、意味も価値も無い物を、自身の見栄のためだけに求めて、その誤った価値観で子どもに劣等感を植え付けさせてしまいました。
挙句に、こどもに対し根拠の無い無理強いをしました。
私は、なんて父親だったんでしょうね。
でも私は、こんな愚かな私だからこそ、今だからこそ言えるあることに、ついさっき気がつかされたんです」

《第22回へつづく》




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  児童小説 ツノナシオニ

posted by maruzoh at 08:57| Comment(0) | ◆ツノナシオニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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