やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年10月15日

ツノナシオニ 第19回 象徴


ツノナシオニ 第19回 象徴 


「ご覧の通り、私の頭の上には、尖った硬いものがあります。
オニの世界でも、そして皆さんの人間の世界でも、これはツノと呼ばれています」

 その時のお父さんは、まるで僕の寝間でいつもそうだったように、やさしく静かに周りの皆を包み込むように語りかけたんだ。

「私はオニですから、ここにツノがあっても何の不思議もありません、むしろ無かったらおかしい。
さっき佐藤さんが仰ったとおり、ツノの生えた生き物がオニで、私はそのオニそのものなんですからね。
一方、ヒト、人間という生き物である皆さんには、当然、誰一人としてツノがある方はいらっしゃいません」

 びっくりして2〜3歩後退りしていたトカゲ眼鏡は、恐る々る上目遣いに話を聞いていたけれど、ツノを出したお父さんが相変わらずやさしいままで、自分に危害を加えそうも無いと思い直すと、さっきのズルそうな調子に、また戻ってしまった。

「オニの桃山さん。
そんな風にあんまり当たり前のことを言われた処で、私にゃ、あんたが何を言わんとしているのか、さっぱりわかりませんな。
ツノの有る無しで人間とオニを区別するなんてのは、桃太郎の絵本が読めるようになった幼稚園児にだって判る理屈ですよ。
クッ、ククククク・・・」

 お父さんは、そんな意地悪なトカゲ眼鏡を気にする風でもなく、何か言おうとしていた西原先生を「まあまあ」という具合になだめていた。
 でも僕は、先生の気持ちが痛いほどわかる。
 だって、こんな風に相手によって威張ってみたり、弱気になってみたりする、そんなオニや人に僕はこれまで出会ったことなんて無かったから。
 でも、お父さんはそんなトカゲ眼鏡を気にするでもなく、相変わらず静かな凪の海のように話を続けた。

「ここで勘違いしないで頂きたいのは、私がオニだから故にツノがあるということです。
ツノがあるから、すなわちそれがオニではないのです」

 トカゲ眼鏡は、またそれをいちいち混ぜっ返す。

「そりゃそうだ。
ツノがあったら鬼だってんなら、牛だって、鹿だってオニの仲間にされちまう」

「さ、佐藤さん、あなた、もっと真面目に話を聞いたらどうです」

 トカゲ眼鏡に向って身を乗り出した先生を、お父さんは今度は手で遮って、先生にまた小さくウインクをして見せた。
 そして、思うことか、僕の話を始めたんだ。

「ツノは私たちがオニである為の大事なものですから、私たちの世界では、言わば象徴、シンボルのように思われ、扱われています。
ツノの大きさや長さ、色艶や格好の良さとかがステイタスとなって、それをお互いが競い合ったりとか、自慢しあったりとかしているのです。
人間の世界でもよく気にしているじゃないですか。
背が高いだの低いだの、痩せているだの太っているだの、眼が大きいだの細いだのって。
そんなものに、近いのかもしれません。
ところが、皆さんもご存知のように、私の息子の太郎にはツノがありません。
まだ生えてないだけなのか、このまま一生、生えてこないのか、それはまだわかりませんが、現時点でツノがないのは、事実です。
人間のあなた方には、この感覚は理解し難いとは思いますが、オニの世界にとってツノがないというのは、
これはもう、実に格好のつかないものなんですよ。
オニの感覚で言うならば、恥ずかしいとか、情けない以上の・・、不自然という感覚かもしれない。
本来なら、そこにあって然るべきものが、無いというわけですから。
ただし、このツノっていうのはですね。
その実、ただの飾り物とでもいいましょうか、日常生活では、よほどのことが無い限り、まずほとんど使用することなどないんですよ。
そりゃあ大昔、ツノ突き合わせていた原始人ならぬ原始オニの時代ならともかく、近代化しているオニの世界においては、ツノを使って攻撃なんかしようものなら武器を使用するより重いの罪に問われるのです。
このツノってのは今や、そう、見せ掛けだけで実用性のない、言わばファッションの一部に成り下がってしまっている訳です」

《第20回へつづく》




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  児童小説 ツノナシオニ

posted by maruzoh at 07:57| Comment(0) | ◆ツノナシオニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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