やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年10月14日

ツノナシオニ 第18回 異種


ツノナシオニ 第18回 異種 


「と、頭頂部から確かに1本、伸びてますな」

「ええ、間違いありません。
ツ、ツノですよ、ツノ・・・」

 ちょっと長めの静けさの後、大人たちがひそひそ声で話を始めだした。

「本当の本当に、オニだったんですね」

「そ、そうですな。
オニだなんだと騒いではいましたが、正直なところ半信半疑だったんですよ、私は」

「いやぁ、私もですよ。
子どもらの見間違いだと高を括っていたんですよ。
だって、オニは伝説上の生き物だとばかり思ってましたからね。
未だに信じられませんが、本当にいたんですねえ」

 ひそひそ話は、だんだんと大きくなってざわざわっとはしてきたけれど、帽子がいきなり飛ばされたわけじゃないのと、やっぱりみんな大人なものだから、教室の中の大騒動の時とは大分様子が違っていたし、最初にこの路地裏に来た時のあのざわめきとも、また少し違っているような気がする。
 僕にはそれが「なんだ、ツノってこの程度のものか」といった、拍子抜けみたいな感じに近い反応のように思えた。
 お父さんに一番近くにいるトカゲ眼鏡は、間近のツノから目が離せずにいるみたいで、強張った顔でじいっとお父さんの頭の辺りを見つめている。
 それでもさっきまでのビクビクしてた様子はだいぶ薄らいでしまったのか、またいつもの意地悪な目つきに戻ろうとしている。

「しかし、なんですなあ。
最初、帽子を取ってツノが見えた時は、さすがに息を呑みましたが、見慣れてしまうと意外と・・・」

「そうそう、やっぱりそう思いますか?
私もそう思っていたんですよ、意外とねえ」

 後ろで話をしているおじさんたちの声にトカゲ眼鏡がピクッと反応したと思ったら、いきなり振り向いて2人の会話に割り込んでいった。

「ほう、面白いことを仰られる。
お二人は、あのツノが意外と何だと言うんですか?」

 トカゲ眼鏡に言い寄られて、馬みたいな顔のおじさんが、苦笑いしながら答えた。

「いやね、変な話ですが、最近の若者のへんてこな化粧や髪型に比べたら、ツノが生えているくらいだけなら、私にとっちゃ、まだまともに見えてしまうんですよ」

「そうそう。
見慣れてしまえば、ただ頭のてっぺんが尖がってるだけって、佐藤さんには、そんな風には思えてきませんか?
あの位の長さなら、それこそアフロにでもしたら、すっぽり隠れてしまいますしね」

 小太りのおじさんの言葉にトカゲ眼鏡は、やれやれといった顔つきで、また1歩身を乗り出した。

「あなた方、お気は確かですか?
つまらないものをツノと比べてもらっちゃあ困りますな。
へんてこな化粧や髪型は、風呂に入ってシャワーを浴びれば元に戻りますが、ツノはどう考えたってシャワーじゃ取れんでしょう?
ましてや、アフロにしたら見えないですって?
もしサルが全身の毛を刈ったところで、人間にはなりゃしませんよ。
サルはサルのまま、変わりはないでしょう」

「そ、そりゃそうですが・・・」

「そもそも、種族が違うわけです。
我々は人間、彼らはオニ。
似て非なるもの、全く違う生物なんです。
生物学上だけじゃない。
過去、交わったことのない人間とオニは、太古の昔からこれまで築いてきた文化、つまり、習慣や思想、食生活、もちろん宗教も。
価値観の全部が全部、全てが違うわけですよ」

「はあ」

「まあ」

 トカゲ眼鏡のその話におじさん2人がもじもじと顔を見合わせているのを見ると、お父さんは帽子を小脇に抱えたまま無言で3歩進んだ。
 そして、話に夢中のトカゲ眼鏡の背後まで進むと、びっくりして跳び上がったトカゲ眼鏡に構うこともなしに、特に誰に向けてという風でなく、やさしく、そして静かに、いつものお父さんのままで語り始めた。

《第19回へつづく》




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  児童小説 ツノナシオニ

posted by maruzoh at 08:40| Comment(0) | ◆ツノナシオニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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