やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年10月13日

ツノナシオニ 第17回 沈黙


ツノナシオニ 第17回 沈黙 


 トカゲ眼鏡がドキドキしているのが、見ている僕にまで伝わってくる。
 笑っているお父さんの顔と、そのお父さんの頭にちょこんと乗っかった帽子を代わりばんこに見ながら、自分はどんな顔をしたらいいものか決めかねているみたいだ。

「どうです? 
ご覧になりませんか?
本物のオニのツノを間近で見る機会なんて、そうそうあるものではないですよ。
よろしければ触ってみたってかまいません」

 お父さんの言葉にトカゲ眼鏡は、今更ながらに驚いて、そして戸惑っている。
 きっとトカゲ眼鏡はさっきまで(このオニは、まるで人間みたいだから怖くない)と思っていたんだろうけれど、さっきのお父さんの一言でこの帽子の下には間違いなくツノがあって、目の前にいるのは、間違いなく本物のオニだったと、思い出したんだろう。
 見えていてもいなくても、ツノがあってもなくても、お父さんはお父さんなのにね。
 臆病風に吹かれたトカゲ眼鏡は、怖くってもじもじと落ち着かないくせに、そのくせ怖いもの見たさの好奇心って言うのか、それが抑えきれなくて、お父さんの誘いを断れないでいるみたい。

「ちょ、ちょっと、見てみたい・・気もするが・・・」

 トカゲ眼鏡は生唾をごくりと飲み込んでから、やっとの思いでそう言った。

「そうですよ、何ごとも経験ですよ。
本で読んだり、テレビで見ても知識は得られますが、結局のところ、実際に体験した知識に勝るものはありませんからね。
そうとなったら、さあ、こちらにおいでなさい」

 お父さんは、トカゲ眼鏡を手招きするんだけど、トカゲ眼鏡ときたら、やっぱりてんでだらしないんだ。
 初めてお父さんが現れたときと一緒で、及び腰のまま小さくいやいやを繰り返してる。

「そんなんじゃよく見えないでしょう?
どうぞ、おいでなさいな。
やっぱり駄目ですか?
なら、私の方が近づきましょうか」

お父さんは、大股で1歩、トカゲ眼鏡に向かって足を踏み出した。

「ひいぃ」

 さっきの先生との社交ダンスみたいにトカゲ眼鏡は小股で2歩、後退りをする。
 お父さんが腕組みをして、ふうっとひとつため息をついた。

「仕方がないですね。
では、よく見えないかもしれませんが、ここからツノをお見せしましょう。
ほうら、御覧なさい」

 そう言うとお父さんは、ゆっくりとまるで手品師が鳩を出すように帽子を取った。
 風が吹いて飛んでしまった昨日と違って、自分の手で、静かに帽子を取ったんだ。
 頭のてっぺんから天に向かって綺麗にすっと伸びたお父さん自慢のツノだ。
 島でもこれだけのツノを持っている仲間は、そうはいない。
 トカゲ眼鏡だけでなくて、周りの父兄の人たちすべてが一斉に息を呑んで、一心にお父さんのツノを見つめている。
 不思議な静けさが路地裏の僕らを包んでいた。

《第18回へつづく》




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  児童小説 ツノナシオニ

posted by maruzoh at 08:14| Comment(0) | ◆ツノナシオニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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