やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年10月10日

ツノナシオニ 第15回 再会


ツノナシオニ 第15回 再会 


 お父さんと先生は、なにか、昔からの友達同士みたいな目で見つめあって微笑んで、それから暫くの間握手をしあっていたけれど、ふとお父さんが何かを思い出したという風に手を挙げると、路地の角の僕に声を掛けた。

「太郎、こっちへおいで。
お前が先生に挨拶に来たんだろう?」

 みんなの視線が一斉にお父さんの声の先を追って、路地の角から頭だけ出していた僕に集まった。

「あ、あれが・・・」

「お、オニの子ですか?」

 そんな声が聞こえてきた。
 僕は、とっても恥ずかしかったけれど、先生との最後の挨拶なんだと自分に言い聞かせて、ごくりと唾を飲み込んでから、ちょっとうつむき加減のまま先生のところに向かって行った。

「なんだ、随分と華奢な子なんですな」

「顔つきだって、おとなしそうだし・・・」

「ははは、あれじゃあ、ウチの子の方が、きっと100倍は、悪戯小僧って感じだな。
それより、ツノ、見えますか?」

「いやあ、さっきから目を凝らしてるんですが、ツノはありませんねえ」

「あれが本当に、オニの子なんですか?」

「じ、実は牙が、あるとか・・・」

 大人たちの大きなひそひそ声を、僕は聞こえない振りをしてずんずんと進んだ。
 僕はお父さんと先生の間に割って入るようにして、先生を見上げた。

「た、太郎くん」

 先生は、精一杯の笑顔で僕を迎えてくれた。
 あれ?なんとなくだけど、先生が昨日までの先生より強くて逞しくて、そして、明るくなっているような気がした。
 さっき泣き出しちゃった先生を逞しいっていうのも変だけど、でも、その気持ち、これもなんとなくだけど、僕にだってわかる気がする。
 だって、僕自身が先生と同じように、昨日までの僕よりも強くなってるような、そんな気がしているから。
 先生は、姿勢を正してから頭を下げた。

「太郎くん、力になれなくて、ごめん」

「先生、それはさっき、お父さんとも話していたじゃない。
あれは、先生が悪いんじゃないって」

「でも・・・」

 お父さんが僕と先生の肩に手をやって、ふたりの顔を覗いて言った。

「そうそう、先生は何にも悪くないですよ。
あれは全部、あの忌々しい突然の南風の奴のせいですよ」

「ふふふふふ」

「ははははは」

 僕ら3人は、周りの大人に見られていることも忘れて笑った。
 僕は、久しぶりに上手に笑えたような気がした。
 誰かに心配を掛けないようにって無理するんじゃなくって、久しぶりに心から自分の為に笑えたような気がした。

「僕、先生のクラスで勉強が出来てよかった。
この2ヶ月間のことは、絶対、絶対忘れないよ」

 今まで教室では、こんな風には話せなかったのに、すごく不思議だ。
 やっぱり僕は、少し強くなっているのかも知れない。

「ありがとう。
先生、そう言って貰えてすごく嬉しい。
手紙を書くよ、必ず書くから・・・」

「僕も書く」

「お父さんだって負けないぞぉ」

 僕らはもう一度大きく笑った。
 その時、笑顔の僕らの背後で尻餅をついていた人影が、のっそりと起き上がって、聞こえよがしにぽんぽんとお尻の砂を払ってみせた。

「これで一件落着、めでたしめでたしかい?
聞いて呆れるね。
あんた、人様を殴っといて、笑顔振りまいてるんじゃないよ」

 顔を引きつらせたトカゲ眼鏡だった。

《第16回へつづく》




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  児童小説 ツノナシオニ

posted by maruzoh at 06:54| Comment(0) | ◆ツノナシオニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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