やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年10月09日

ツノナシオニ 第14回 謝罪


ツノナシオニ 第14回 謝罪 


「も、桃山君のお父さん・・・」

 振り返った先生が、お父さんに気づいた。
 お父さんはこっくりとうなずくと、先生の手を静かに解き放して、こう言った。

「先生、私たち親子のことで、これ以上先生を苦しめるわけにはいきません。
そう思って見ていたら、勝手に体が動いてしまいました。
でしゃばった真似かも知れませんが・・・」

 とってもやさしい、亡くなったお母さんのことを僕に話してくれる時と同じお父さんの声だった。
 周りの大人たちの中から

「桃山君のお父さんですって?」

「私たち親子・・・」

 そんな言葉が、聞こえたと思った次の瞬間、

「ひっ、オ、オニッ!」

 みんなが引きつった顔でいっせいに後退りをしたものだから、先生とお父さんを取り囲んだ輪の大きさがいっぺんに倍に広がってしまった。
 トカゲ眼鏡はと言うと、へなへなとその場に腰砕けにしゃがみこんでしまって、全くだらしないったらない。
 さっきまでの偉そうな態度はどこへやら、青白い顔をしたまんまお父さんを指差して、口を開けっ放しにしてる。
 そんな周りの大人たちを気にかける風もなく、先生はお父さんの方に向き直った。
 先生は、目を真っ赤にさせて、両膝と両手をついて、頭(こうべ)を、垂れた。

「桃山さん・・・
ほ、本当に、昨日は、申し訳ありませんでした。
あの時、私がきちんとした対応さえできていたら・・・
教師として、いえ、人として接することできなかったが為に太郎君を・・・
太郎君を、どれだけ、き、傷つけてしまったことでしょう。
本来なら、昨日のうちに私から出向いてお詫びをすべきだったのですが、学校からの聴取やら何やらで、それも叶いませんでした。
今朝は今朝で、出掛けでこんなことに・・・」

「西原先生」

 お父さんは、そう言うと先生の両肩を大きな両手で包み込むようにして立たせると、うなだれてまた泣き始めてしまった先生の背中をポンポンとやさしく叩いた。

「先生、太郎は、幸せ者でした。
わずかな期間とは言え、こんな先生に受け持ってもらえて、本当に幸せ者でしたよ。
太郎からの手紙でも、先生のことがたくさん書いてありました。
クラスになかなか馴染めない太郎を一生懸命応援してくれたって」

 先生が、涙まみれの顔を上げた。

「桃山さん・・・
こんな僕を、あなたは許してくれるんですか?」

 許すって、違うよ先生。
 だって先生は、何も悪いことなんてしてないじゃないか。
 僕はそう思ったんだけど、それは、お父さんも同じ思いみたいだ。

「許すも許さないもありませんよ。
昨日の先生は、突然の思いがけない事態にただ驚いて、生徒さんを守ろうとしただけじゃないですか」

 涙を拭った先生が、お父さんと握手をした時、鬼が島を出る前の晩、お父さんに言われた言葉を、僕は思い出していた。
 あの時お父さんは、僕にこう言ってくれたんだ。

「いいかい太郎、よく覚えておくんだよ。
私たちオニは人を怖がっているけれど、でも、人だってオニを怖がっているというんだよ。
実は、お互いに怖がりあっているらしいんだ。
なぜだと思う?
それは、たぶん、お互い似てはいるけれど、ほんの少しだけ自分たちと違うからだと、お父さんはそう思うんだ。
オニも、人も、自分にあるものがなかったり、自分にないものがあったりすると、違和感・・、物足りなさや、余計な、普通とは違う感じを受ける。
お前がオニの仲間の中でいじめられるのも、あって当たり前だと思われているツノがなかなか生えてこないからだろう?
でもね、私たちオニや人は、この世界に生きるものとして、もう1歩先に進まなければならないんじゃないかな。
太郎、お父さんは思うんだ。
お前は、オニの世界ではツノナシオニと呼ばれているけど、ツノナシオニのお前だからこそできる・・、いや、ツノナシオニのお前にしかできないことが、きっとあるはずなんだよ。
それをこの転校で、探しておいで」

《第15回へつづく》




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  児童小説 ツノナシオニ

posted by maruzoh at 07:21| Comment(0) | ◆ツノナシオニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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