やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年09月29日

ツノナシオニ 第5回 別離


ツノナシオニ 第5回 別離 


 僕は、やっと帽子を被り直したお父さんの方を向いて、何か言おうとしたのだけれど、どうしてもかける言葉が見つからなくって、息を吸い込んだまま、金魚みたいに口をパクパクさせていた。
 お父さんも、ぼくやクラスのみんなにかける言葉をさがしていたんだろうけど、結局

「先生、クラスの皆さん。
息子を、よろしくお願いします」

 とだけ言って、よせばいいのに、ていねいに帽子までとってお辞儀をしたものだから、クラスのみんなは、またキャーキャー言い出してしまった。

 先生は、なにも応えなかった。
 黒板の前でクラスのみんなを庇うようにして、両手を広げたままの先生は、なんにも応えられなかった。
 お父さんは、僕に向かって

「太郎、じゃあ、元気でな」

 と言って、悲しそうに笑った。
 お父さんの赤い顔がもっと赤くなって、涙をこらえているのが僕にも分かった。
 お父さんは、やさしい分だけ涙もろいんだ。
 僕も鼻の奥がじーんとしてきて、みるみるぼくの眼に、涙が溢れてきた。
 僕はお父さんの子だから、泣き虫なんだ。
 僕らは、オニだけど、泣き虫の親子なんだ。
 オニが怖いなんて、人間が勝手に作り上げた嘘さ。
 僕の顎の先から落ちていく雨だれみたいな涙が、僕の足元にいびつな丸をいくつもいくつも作っている。

 お父さんは、入ってきた時と同じように、頭を下げてくぐるようにして廊下に出て行った。
 ピタンパタンと大きなスリッパの音が、どんどん教室から遠ざかっていく。

「お・・・」

 スリッパの音が小さくなって消えてしまっても、クラスは静まり返ったままだった。
 僕は、みんなが僕を食い入るように見つめているのを背中で感じていた。

「お父さん・・・」

 僕は、まだお父さんと話しもしていない。
 せっかく会えたというのに、あの大きな手で頭もなでてもらってさえいないんだ。

 お父さんと会って話したいという気持ちと、もうこんなクラスに、みんなの前にいたくないという気持ちが、僕の背中をポオンと押した。
 僕は、力いっぱい振り返った。
 クラスのみんながビクンと反応して後退りをしたけれど、僕は気にも留めずに、お父さんの歩いていった方向に一目散に駆け出していった。

 お父さん。
 お父さん。
 お父さん。

 待ってよ、お父さん。

《第6回へつづく》




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  児童小説 ツノナシオニ

posted by maruzoh at 08:48| Comment(2) | ◆ツノナシオニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
maruzohさん、こんにちわ!
新連載ツノナシオニ 第5回まで、一気に読ませてもらいました!
やっぱり、maruzohさんの文面は、とっても読みやすいですねー。

続き … 楽しみにしております!
また、遊びにきます!
Posted by リトルパパ at 2011年09月29日 14:02
リトルパパさん、ありがとう♪

こっちのブログは、僕の作品の図書室みたいな感じで、
むこうで書き殴って無理やり完結させたものを推敲して、
一応作品らしくした場所です。

それだからか、こっちにはコメントが全くなくって、
これが「初コメ」です!

嬉しいっ!続きを楽しみにしてください♪


Posted by maruzoh at 2011年09月29日 19:43
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