やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年09月28日

ツノナシオニ 第4回 混乱


ツノナシオニ 第4回 混乱 


 一瞬で教室が、シーンと静まり返ってしまった。
 みんな、あまりにびっくりしたものだから、声を失ってしまったのだろう。
 でも、なんて絶妙と言うか、最悪のタイミングで突風が吹いてしまったんだろう。
 クラスのみんなの視線が集中している、まさにその瞬間だなんて。
 お父さんは、すっかり気が動転してしまって、帽子を拾おうと手を伸ばすんだけれど、これがちっとも手につかなくって、何回も落としては拾い、拾っては落としを繰り返していた。
 それが、中腰になって拾っているものだから、みんなからしてみたら、ちょうど見易い高さまでツノが降りてきて、まるで「さあ、ご覧なさい」といった具合にお披露目をしているようだ。
 みんなは、口をぽかんと開けたまま、瞬きもせずにお父さんの動きに合わせて顔を上下させていた。

「お・・・」

 やっと誰かの口から言葉のかけらが、出かかった。
 立ったままのサトルくんが、お父さんを指差して叫んだ。

「オ、オ、オニだあ、赤オニだあ!」

 まるでそれが合図だったかのように、教室中の口から一斉に叫びや悲鳴がほとばしった。

「きゃーっ」

「た、助けてえ」

「ツノだ、オニだ」

 先生は昆虫採集の標本みたいに、黒板に張り付いたまま、それでも首だけは教室を見渡して、

「み、みんな、こっちへ来るんだぁ」

 と、震えてひっくり返ってしまった声で叫んだ。

「せ、先生ぇっ」

「西原先生」

 それを聞いたみんなが、我先にと黒板に向かって走り出した。

ギーッ ガッターン

 机や椅子が倒れるのもお構いなしで、みんなは大声を上げて先生の方に走っていったけど、何人もがぶつかり合ってたんこぶをこさえたり、倒れて擦り剥いたりしていた。
 女の子のほとんどは、泣いていた。

 やがて、ものすごい騒ぎが収まって、また教室に静けさが訪れた。
 ぼくはと言うと、さっきまでとは打って変わって、恥ずかしさも、不安も、怖さもなくなって、なぜか自分でも不思議なくらいに落ち着いていた。
 ぼくは、倒れてしまった自分の机を元通りにして、黒板のあたりに固まっている先生やクラスのみんなを見渡した。
 ぼくはこの時、どんな顔をしていたろう。
 みんなが、ぼくとお父さんを見比べるように、交互に見ているのが、なぜかぼくにはとても悔しかった。
 そして、お父さんが、「ふーっ」と大きく息を吐く音が、ぼくの背中の方から聞こえて教室に響いた。

《第5回へつづく》




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  児童小説 ツノナシオニ

posted by maruzoh at 11:41| Comment(0) | ◆ツノナシオニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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