やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
   maruzoh live.jpg

名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年09月19日

まりなさんと王様 第29回 懺悔


〜童話 こころ王国 episode 1〜
まりなさんと王様 第29回 懺悔 


「まりなさーん・・・」

「まりなちゃーん・・・」

冬の夜の肌を刺すような都会の冷気の中、
まりなさんを呼ぶかすかな声が徐々に大きくなってきました。
こんな時間に誰でしょう・・・
公園の入り口の方から今度ははっきりと、男の人の声が聞こえました。

「こ、この黒塗りのクルマ、これ王様のクルマだよ!
 間違いない、王様のクルマだよ!」

「じゃ、じゃあ、もしかしてまりなさんもここに?」

もうひとりは女の人の声です。
王様が声の方を向き、やさしく声をかけました。

「まりなさんと私なら、ここにいますよ!」

公園の入口の2人は、その言葉を聞くと同時に

「まりなちゃーん、さ、探したんだよぉぉぉ」

「ま、まりなさーん」

と言いながら、タタタタタタッ・・・
まるで迷子の子供がお母さんを見つけたかのように
ジャングルジムの脇の暗がりを大きな声で走ってきます。

そして2人は、ゼイゼイ言いながらまりなさんの正面に立ちました。

「マ、マスター・・・
そ、それに 奥さんまで・・・」

そこには、方々を探し回ったのでしょう。
この寒空なのに汗びっしょりのマスターとその奥さんが、
目にいっぱいの涙をためていました。

「まりなちゃんっ!」

マスターは、大声でそう叫ぶとその場に座り込み、
なんと、土下座をし始めるではありませんか。
この日何度目かのびっくりでしたが、
まりなさんが「やめてください」と声をかけようとしましたが、
その前にマスターは土下座したまま、
叫ぶような大声で話を始めてしまいました。

「まりなちゃん、ごめん。
本当にごめんなさい。
俺、どうかしてたんだ、ホント、どうかしてたんだ、あの時。
いや、あの時だけじゃない。
店の経営が悪化してからのこの半年間・・・
いやいや、そんなの言い訳だよね。
でも、俺、毎日金の工面ばかり考えて、
店でカッコつけたり、冗談言ってても、 
心のどっかに、やっぱりそんな心配があって・・・
やっとその心配から開放されると思った今日、
突然の事故があって、で、あんなひどいこと・・・
いやでも、違うんだ。
心にもないひどいことを言ったなんて、そんなこと言うつもりはない。
確かにあの時点では、あれは俺の本心だった・・・
隠していた本心が 口をついて出ただけなんだ。
だから・・・、だから・・・
余計に情けないし、悔しいし、申し訳ないんだ。

戻ってくれとは俺はもう、言えないけど、せめて一言、謝りたくって・・・・」

そこまでいうとマスターは、おいおいとまるで子供のように 
声を枯らして泣き出してしまいました。
マスターの傍らに立った奥さんが、やっぱり泣きながら言いました。

「まりなさん、本当にすまないことをしてしまいました。
私も主人と同じです・・・
貧すれば鈍す、私たち夫婦がまさにそれでした。
私は主人のまりなさんに対するひどい仕打ちに
心の中で「そうだ、そうだ」と思っていましたもの・・・
でもね、まりなさん。
本当に言い訳にしかならないけど、
私は、息子に人並みのことをしてあげたい、
それだけしか頭になかったの・・・

それと、もうひとつ・・・
もうひとつだけ言い訳をさせてくれる・・・
実は・・・、
Hart Landの店長に まりなさんを紹介したの、
ウチの主人だったの・・・」

「・・・・・・」

まりなさんは、どきりとしました。
王様もMARUZOHくんもこれには驚いたようです。
奥さんは、続けました。

「お店が、万一うまくいかなくなって、
その・・・、潰れてしまった場合、
まりなさんもお仕事が無くなってしまう訳でしょ・・・
それで、商売敵のHart Landの店長に、
「ウチの氷川を見てやってくれ」って頼んだの。
でも、店長からも、まりなさんからも、
そういった話はちっともなくって・・・
あんな小さな店でしたが、
主人にもライバル店へのプライドがありましたから、
店長には、連絡は必ず主人を通してくれって、
そうお願いしてたんですけど・・・

それが、あの・・吉田さんの事故の場面で、
初めてまりなさんから「トライアウト・ライブ」の話を聞いたでしょ。
主人も・・きっとショックだったん・・じゃ・・ないかと思うの・・・・」

そう言うと、奥さんも地面に突っ伏して、
マスターと2人でおいおいと泣き出してしまいました。

《つづく》




☆アルファポリスに挑戦☆
アルファポリスさんのランキング「Webコンテンツ」に挑戦します。「うふふ」とか「ほろっ」とか「なるほど」と感じたら、押してくださいね。

 現代小説 こころ王国 まりなさんと王様

posted by maruzoh at 16:40| Comment(0) | ◆まりなさんと王様 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

検索
 

title.gif
maruzohは、アートビリティ作家さんを、応援します!

●ご連絡先● 〒165−0023 東京都中野区江原町2−6−7
社会福祉法人東京コロニー アートビリティ事務局内
TEL 03−5988−7155/FAX 03−3953−9461
●営業時間● 平日 9:00〜17:20 / 土・日・祝日 休業日