やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
   maruzoh live.jpg

名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年09月16日

まりなさんと王様 第26回 ココロニア建国史 独唱


〜童話 こころ王国 episode 1〜
まりなさんと王様 第26回 ココロニア建国史 独唱



「私の提案は、仲間には受け入れられましたが、
問題は、当のタカシくんです。
本島の皆の前で、歌ってくれるでしょうか・・・
私たちに、やっと心を開いてくれたタカシくんに
私は無理強いをしたくはありませんでした。
やっと開いた心を閉じさせるような真似だけは、
したくはなかったのです。

やがてタカシくんが、執事長夫妻に手を引かれて、
私たちの前に姿を現しました。
私は、一切の説明をせず、タカシくんに言いました。
「タカシくん、本島のみんなの前で、
君の大好きな歌を歌ってみたくないかい?」
その答えに、私は正直驚いてしまいました。
仲間たちも、特に執事長夫婦は、さぞ驚いたことでしょう。
タカシくんは、目をキラキラさせてこう言ったのです。
「えっ、いいの?僕、みんなの前で歌えるの?
お願い、僕に歌わせて」
私は、思いました。 
人間は、変われるんです。
ほんの些細なきっかけと環境で、変われるんです。
誰もが、自分という存在を知ってほしいんです。
本当は誰だって、このあくせくした世の中で
個性を押し殺して生きたくなんてないんです。
何者かによって押し付けられた価値観の中で、
自分に合わないはずの尺度でしか評価されないなんて
あまりにも悲しいじゃありませんか。
本当の自分であることが、罪である世の中でなんて・・・
私はこの時、独立戦争の勝利を確信しました。

ちょっとしたコンサートホールが私たちの施設にあります。
早速タカシくんは、文部大臣のピアノをバックに、
大好きな、そして自慢のあの歌の練習を始めました。
まりなさん、タカシくんは、何を歌ったと思いますか?」

まりなさんには、その歌がなんであるか、すぐわかりました。
そして、こぼれるような笑顔で、王様にこう答えました。

「王様も、MARUZOHさんも、もちろん私も大好きな、
『ちいさい秋みつけた』ですよね・・・」

「ふふふ、そう、そのとおりです。
あの歌は、私たちココロニア国民にとって、
国歌と言ってもいいほどの思い出の曲なんです。

コンサートホールに響くタカシくんの歌を聴いていたら、
芸術家集団を気取って、モニュメントやら舞踏やらと言ってた自分たちが、
とっても恥ずかしくなってしまいました。
やっぱり、私の感じていた違和感は間違いなかった、
そう改めて感じましたよ・・・

そして翌日夕方、ついに私たちのやり方による、
やさしさとあたたかさによる反撃が始まりました。
私たちは、エレキピアノ1台とPA機材を船で運んで、
本島の小学校のグランドにそれをセッティングしました。
と同時に、何名かが手分けをして、
若夫婦2人とタカシくんが半年振りに島に戻ってきた旨を
拡声器を手に島中にふれて回りました。

当初は、疑心暗鬼で遠巻きに見ていた本島の人たちも、
執事長らの姿が確認できると、その輪は徐々にせばまって、
執事長らの周りに十重二十重の人垣ができていきました。
私たちは、長老3人が集まるタイミングを計っていました。
そして、執事長の義理のお父さんがもったいぶって、
最後に出てきたのをキッカケに、文部大臣のピアノが奏でられたました。


だれかさんが だれかさんが
だれかさんが 見つけた
小さい秋 小さい秋
小さい秋 見つけた


それにしても、あの日のタカシくんは、それはもう素晴らしかった。
以前のタカシくんしか知らない本島の大人たちは、
最初は、あの引っ込み思案のタカシくんが・・と、
鳩が豆鉄砲をくらったように目をぱちくりさせていましたが、
それが段々と、純粋に音楽に対する感動に変わっていく様が、
私の目にもはっきりと映っていました。

長老たちはと言うと、言葉も発せずじっと黙って聴き入っていましたが、
あの執事長の義理のお父さんの瞳が潤み、
一滴(しずく)の涙が流れ出したと思うや
嗚咽を漏らして泣き崩れてしまったではありませんですか。


昔の 昔の 風見の鳥の
ぼやけた 鶏冠(とさか)に はぜの葉一つ
はぜの葉 赤くて 入日(いりひ)色
小さい秋 小さい秋
小さい秋 見つけた


3番の歌詞を歌い終わった時、執事長の義理のお父さんは、
滝のように流れ出る涙が禊(みそぎ)となったのでしょう。
謀略を用いてまで既得権にしがみつく「島の長老」から、
タカシくんの「お祖父ちゃん」に戻ることができたのです。

タカシくんのおじいちゃんの涙はきっと、かの日私たち仲間が流した涙と
同じ味がしたに違いありません。

辺りは、はぜの葉のような一面の入日色に染まっていました」

《つづく》




☆アルファポリスに挑戦☆
アルファポリスさんのランキング「Webコンテンツ」に挑戦します。「うふふ」とか「ほろっ」とか「なるほど」と感じたら、押してくださいね。

 現代小説 こころ王国 まりなさんと王様

posted by maruzoh at 08:22| Comment(0) | ◆まりなさんと王様 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

検索
 

title.gif
maruzohは、アートビリティ作家さんを、応援します!

●ご連絡先● 〒165−0023 東京都中野区江原町2−6−7
社会福祉法人東京コロニー アートビリティ事務局内
TEL 03−5988−7155/FAX 03−3953−9461
●営業時間● 平日 9:00〜17:20 / 土・日・祝日 休業日