やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年09月14日

まりなさんと王様 第25回 ココロニア建国史 あたたかな反撃


〜童話 こころ王国 episode 1〜
まりなさんと王様 第25回 ココロニア建国史 あたたかな反撃


王様は熱く語りすぎて、のどが渇いてしまったのでしょう。
ベンチのすぐそばの水飲み場に歩み寄るとコックをひねり、
冷え切った水をおいしそうに飲みました。
執事長がハンカチーフを持って駆け寄ろうとしましたが、
王様はそれを制して右手の甲で濡れた口を拭うと、
またお話を始めました。

「正直言いますとね、まりなさん。
その頃には、私たちにはそこそこのお金があったんです。
莫大というほどのお金ではありませんでしたが。
ですから、お金で解決させようと思えば、
いくらでも方法はあったんですよ。
でもそれじゃあ、ミイラ取りがミイラになるようなもんです。
どこかの大国が核兵器の削減や廃絶を世に訴えても、
自分の国の核兵器はしっかり確保している、
これでは、説得力ゼロというのと同じですよね。
 
私たちは、それと同じことをしたくはありませんでした。
私たちらしいやり方、やさしさとあたたかさで戦う方法はないかと、
仲間全員で夜を徹して話し合いました。
本島の人たちの心の芯を揺さぶるような、
あたたかさや、やさしさを感じさせるのは何か。
それでいてお金や権力のちっぽけさを感じさせるような、
インパクトのあるものは何か。
私たちは、そんなものを探していました。
なかなか結論が出ませんでしたが、
やはり芸術的なアプローチが良いのではないかという意見が多く、
島の画家や彫刻家の作成するモニュメントを本島に運び、
その前で文部大臣のピアノ演奏と声楽家の独唱、
もちろん音楽は詩人や作曲家によるオリジナルです。
それに合わせて舞踏家が舞い、
最後は島民全員の合唱でフィナーレを迎える・・・
という案に皆の意見が傾きかけました。

しかし、私には何かピンと来ませんでした。
確かに、迫力もあり、それなりの効果はあるでしょう。
私たちがカルト集団でないことも証明されるに違いありません。
でも、何かが違うんです。
そう、これじゃあ まるで、感動しただろう?芸術って凄いだろう?
それをやってる私たちは、もっと凄いだろう?
だから、私たちの言い分の方が正しいんだって、
そう言ってるようなものじゃないですか。

芸術とか、創造とかは、人を感動させるものでははありますが、
そんなに威圧的なものではないはずです。
感動とは、むしろ内面からじんわりと来て、
心の中に広がってきて、抑えきれなくなってしまう・・・
そんなものじゃあありませんかね。
あっちを向いている人を無理矢理振り向かせるだなんて、
これじゃあまるで、私たちの戦おうとしている相手と、
全く同じではありませんか・・・

ここでお話が少し寄り道します。
本島から逃れてきた若夫婦、つまり執事長夫妻についてお話します。
彼らは、当時30代半ば過ぎでしたが、結婚が比較的遅く、
小学校に上がる前のお子さんがいました。
そのタカシくんは、おとなしい・・というか、
引っ込み思案で、とてもシャイな、
人前で話すことなどは、ごく稀な子だったそうです。
 
そう、島に来た当初のタカシくんは、
人前では、いつもお母さんの陰に隠れて、
そっと後から見ているような、そんな印象でしたね・・・
タカシくんの家族は、それを気に病んでおり、
特にお祖父ちゃん、3人の長老の1人ですな、
彼はタカシくんのお母さんに対して、
お前の教育の仕方が悪いとしょっちゅう怒鳴っていたそうで、
タカシくんは子供ながらに自分のせいでママが怒られていると感じてか、
より殻に閉じこもってしまったようです。
執事長夫妻が、私たちの島に亡命したのも、
そんな背景があったわけなんですが、
しかしタカシくんは、引っ込み思案な反面、
非常に繊細な感性の持ち主でした。
特に、音楽には目を見張るものがありましたよ・・・
それまでのタカシくんは、自分の表現の仕方がわからず、
戸惑っていただけだったのではないでしょうか。
漁業しか産業のない本島では、
繊細なタカシくんが認められるような環境が
ほとんど無かったのかもしれません。

それと共に、ここにも現代社会の価値観が顔を出してきます。
質問されたことに答えよう、感じたことを発しようと、
タカシくんが考えをまとめている最中に、
現代社会のせっかちさで答えを求められてしまう。
結果、タカシくんは考えのまとまらなくなってしまい、
困ってモジモジしていると、
この子はおとなしすぎるだとか、内気すぎるだとか、
自分に流れている時間でしか相手を判断しない。
もうほんの少しだけ、せめて10秒間、
まわりの大人がタカシくんに時間をあげられたら、
きっと、違うタカシくんが顔を見せていたに違いありません。
流れている時間は万人に共通に見えますが、実はそうではないんです。
押し付けられた時間に対応できる人もいれば、そうでない人もいます。
それは決して人の優劣に関係するものではありません。
その証拠に、時間のゆっくり流れている私たちの島では、
タカシくんは、何の問題もなく会話していましたし、
それはきれいな声で、歌まで歌っていました。
タカシくんは、自分の時間と表現方法を私たちの島で 見つけたんですな。

そこで、私は仲間たちに提案しました。
本島の皆さんの前で、タカシくんに大好きな歌を歌ってもらおうと・・・」

《つづく》




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 現代小説 こころ王国 まりなさんと王様

posted by maruzoh at 22:35| Comment(0) | ◆まりなさんと王様 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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