やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年09月09日

まりなさんと王様 第19回 ココロニア建国史 黎明期


〜童話 こころ王国 episode 1〜
まりなさんと王様 第19回 ココロニア建国史 黎明期 


王様は、ゆっくりと歩きながら、
まるで、昔話を子供に聞かせるように語り始めました。

「私が貧乏絵描きだったことは、丸蔵から聞きましたね。
そして、妻と出会い、結婚したことも・・・
私達は、確かに物質的には貧しかったかもしれませんでしたが、
とても、そう、とても満ち足りた暮らしをしていました。
私は、看板屋さんのアルバイトをしながら絵を描き、
妻は、スーパーのレジのパートをしながら小説を書いていました。
夢を語り合い、その夢を決してあきらめることなく、
人にやさしく、あたたかくあろうと、2人で支えあい生きていました。

そんな私たちをたくさんの仲間が慕ってくれ、
私達の6畳一間のアパートには、いつもと言って良いほど、
私たちと同じ画家や小説家の卵たちや詩人や役者、
音楽家や写真家などの若者が集まっていました。
妻は、料理が得意でしたからな・・・
妻の料理をつつきながら、お酒を飲んで、
互いの将来を語り合ったり、芸術論を戦わせたりしていました。

みんな、いつもお金があるとは限りませんでしたから、
ある人が出す、無い人はある時に出すといった具合に、
いつの間にか暗黙のルールができあがり、
謂わば、住居は別ですが、コミュニティー的な空間が、
自然発生的に6畳間に出来上がったわけです。

私も、妻も、まあ世話好きと言いますか、
食えない若い連中、まあ、当時は私達も若かったですが・・・
困ってる仲間を、何とかしてやりたいという一心で、
来るものは拒まず、去るものは追わずというスタンスで、
誰彼を特別扱いすることなくやっていましたから、
数年が過ぎると、アパートに出入りする仲間も、
結構な数になっていました。

中には、同じアパートに越してくる仲間も出はじめて、
さらに数年が過ぎると、アパートの住人は、
そっくり私たちの仲間になっていました。
まるで、手塚先生のいた「ときわ荘」もどきでしたよ。
それと共に、その仲間たちの中から、
チラホラと花が咲き、実を結ぶ連中が出てきました。
その第1号が、ほら、あそこにいる・・・」

王様は、振り返ってブランコの近くを指差しました。

「も、文部大臣さん・・ですか?」

王様は、まりなさんの言葉ににっこり笑い、大きく頷きました。

「さよう。
文部大臣のピアノの腕前をまりなさんは、
まだ、お聴きになっていませんでしたな。
それは、大したものですよ、今度、教わるといいでしょう。
彼は、日本でこそ、そんなに知名度は高くありませんが、
欧州では、知る人ぞ知るといったピアニストです。
そうだ、ピアノを弾いているまりなさんだったら、
恐らく耳にしたことくらいはあるでしょう。
彼、文部大臣の名前は・・・」

そう言って、王様はまりなさんの耳元で、
こそこそっと、ある名前を告げました。

「えぇっ、ほ、本当ですか?
そ、そんな、私の目の前にいるのが、あの・・・」

「まあ、彼に言わせると、欧州での演奏は、
旅行みたいなもんらしいのですが・・・

文部大臣の他にも、
絵や小説が売れたりした者もいました。
売れた連中の大半は、
それと同時に私達の元を去っていきました。
 
まあ、私達夫婦は、別に見返りが欲しくって
彼らの面倒を見ていたわけではありませんでしたから、
可愛い生徒が卒業するような気持ちで、
彼らの活躍を心から祝福して、彼らを送り出したもんでした。
ところが、中には文部大臣のように、
それまでと全く変わらぬ付き合いをする連中もいました。
彼などは、あの6畳間にずっと居候してたんですから・・・

むしろ、出て行ってしまった人たちの方が、
俗に言う「一発屋」で終わってしまったり、
周囲の過度な期待に潰されてしまったりするのと違って、
う〜ん、お金や名声に執着が無いからでしょうか・・・
残っている連中は、目を見張るような活躍はないにしても、
自分のやりたいことは、徐々にできるようになっていましたな。

私と妻ですか?
私達は、2人とも売れませんでしたなあ・・・
ただ、負け惜しみで言う訳ではありませんが、
私達はもう、世間の評価だとか、お金だとかには、
その頃から興味が無くなっていましたな。
仲間の成長や成功、挫折や失敗を、
見守ったり、励ましたりしてていく方が、
私達の性分に合っていたんですな・・・

丸蔵が小学校に上がる年ですから、
今から18年も前になりますかな・・・
日本中がバブルという熱病に浮かれあがっていました。
私達のあのアパートも、その影響、
そう、地上げにより解体されることになりました。

私達仲間は住む場所を失うことになってしまいましたが、
その時、文部大臣をはじめとする仲間たちが、
私達に、ある提案をしてくれたのです・・・」

《つづく》




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 現代小説 こころ王国 まりなさんと王様

posted by maruzoh at 08:37| Comment(0) | ◆まりなさんと王様 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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