やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年08月03日

ワレナベニトジブタ 第5回


ワレナベニトジブタ 
〜人生をやり直して見たい方へ〜 第5回 


「ねえ、あなた、最近絵手紙の会合、随分と多いんじゃない?」

休日の土曜日。
朝食を取りながら今日も午後から会合があると告げた私に、
女房がカレンダーを見ながら尋ねた。

「確か会合って、第2と第4土曜日だったわよね。
先週は第5土曜日だし、今日だって第1土曜よ」

心臓がドキリとしたが、意外にも私は冷静に対処していた。
私は新聞記事に視線を落としたまま、

「う〜ん、役員を引き受けてしまったからなあ。
対外的な交渉とか、いろいろあるんだよ。
ほら、周りは引退しちゃった爺さんばっかりだからさ」

と、そう答えていた。
私は、努めて視線を合わそうとはしなかったが、
女房の眼差しは、恐らく微かな疑念を帯びていたに違いない。

「今日は何時頃帰るの?」

「展示会の打ち合わせだから、ちょっと遅くなるかも知れないなあ」

「7時半からマンションの自治会の会合があるのよ。
前、言ったでしょ?
私、出るの嫌だからね」

「わかってるよ。
そんなには、遅くならないはずだから・・・」

あぁ、なんで世の女房ってのは、こういう面倒くさいことは、
みんな旦那に押し付けるんだろう?
火の用心の見回り、餅つき、夏祭の模擬店、草刈にドブさらい。
休日の面倒なイベントは、いつしかみんな私の係となっている。
月曜から金曜までは家族の為に身を粉にして働いているんだから、
上げ膳据え膳とまでは言わないまでも、
もう少し私に気を使ってくれてもいいんじゃなかろうか・・・
口に出しては言えないけれど、心の中でつい愚痴る。
よその家庭の実情は窺い知れないので比較はできないけれど、
お隣さんなんかもやっぱりこんな調子なんだろうか?

現実を伴わない夢物語と言われればそれまでだが、
私が独身の頃に描いていた夫婦像ってのは、
決してこんなんじゃなかったんだがなぁ。
夫唱婦随って言うか、お互いを高めあうって言うかね。
私にとっての理想の夫婦像、理想の女性像・・・
どんな風に思ってたかなぁ、あの頃の私は。

先週の博士の話がよほど衝撃的だったのだろうか?
私は、博士と出会ったこの1週間、
ことあるごとにあの人生の分岐点の頃のことを、
知らず知らず思い返すようになってしまっていた。
その時だった。

カチッ

(あっ!)

理想の女性像というキーワード。
突如として頭に浮かんだ記憶の断片が、
今までずっと空白だったジグソーパズルのとある場所に、
ものの見事にはまったのだった。

たった1つの断片と侮ること無かれ。
それまで前後左右、繋がりを持たなかった様々な記憶たちが、
たった1つのピースが正しい位置に据えられことにより、
結合を繰り返し、次々と本来の意味を形作っていくのである。
そして、隠されていた真相が、自ずと導き出された。

私に上京を勧めてくれた当時新進気鋭の画家、和田京作先生。
当時は知る人ぞ知るという画壇の異端児で、
熱烈な支持者を持つ反面、マスコミ受けは決してよくはなかった。
最近はどうしてらっしゃるのだろう。
新聞雑誌でそのお名前を聞くことも殆ど無いが・・・

(あの和田先生のお宅にお手伝いさんがいた)

私は、和田先生の西伊豆の別荘に、高校時代何度かお邪魔していた。
そしてそこには、私より4つほど年上のお手伝いさんがいた。
弟子入りは断られながらも、家政婦として働きながら絵を描いていた由紀さん。
その容姿、性格と同様、しなやかで繊細な絵を描く淑女と言うべき人。
そう、私は、彼女に憧れていた。

そんな人がいたことすら、私は、忘れていたが、
無意識の内に、女房と比べていたというのだろうか・・・・
でも、綺麗な人だったな・・・

「コホン・・・」

女房が空咳をひとつした。
たぶん、私があんまり同じ記事ばかりを眺めていたからに違いない。
その瞬間、私の心は、20年以上の時空を超えて、キッチンに舞い戻った。

《つづく》


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posted by maruzoh at 23:25| Comment(0) | ◆ワレナベニトジブタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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