やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













   【maruzoh's profile】
   maruzoh live.jpg

名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年08月01日

ワレナベニトジブタ 第3回


ワレナベニトジブタ 
〜人生をやり直して見たい方へ〜 第3回


「パ、パラ・・・
パラ、なにワールドですって?」

私は、博士の口から発せられた聞き慣れない言葉を反芻していた。

「パラレルワールドです、パ・ラ・レ・ル。
パラソルワールドでも、アパレルワールドでもありません」

そういうと博士は、口を押さえて「くっくっ」と思い出し笑いをした。
きっと、以前に訪れた客が、そんなことを言ったんだろう。
しかし、私だって馬鹿にはできない。
私の頭の中には無数のカラフルな傘が、描かれていたのだから・・・
質問の糸口さえ見出せないで押し黙っている私に、
博士が頷きながら近寄った。

「どうやらお聞き及びがないようですので、
パラレルワールド理論を、ごく簡単にご説明しましょう。
いいですか?
この理論は、私たちが暮らしているこの現実の世界に並行して、
無数の世界が存在し、別の私たちが暮らしているという理論です。
なんともSFチックなお話しかとお思いでしょうが、
現在では、物理学の世界でも
量子力学の多世界解釈や宇宙論のベビーユニバース仮説、
超弦理論においてもパラレルワールドの存在が論じられています」

私には、辛うじてカラフルな傘でないことだけは分かりはしたが、
それ以外の説明はさっぱりのちんぷんかんぷんだった。
そもそも私は、論理的な思考は嫌いな方ではないものの、
文系、総務部と、今まで科学とは全く縁が無かったのである。

「この宇宙のどこかに、私たちの世界と同じような世界があって
もう1人の偽者の私が生活していると・・・
そ、そういうことですか?」

「そうです、と言いたいところですが、違います。
この宇宙ではなく、別の宇宙が存在しているのです。
しかも、もう1つではなく、無数に。
そして、無数の銀河があり、無数の地球があるのです。
それと、私たちにとってはこの世界は現実ですが、
私たちと同じ彼らにとっても、その世界は全て現実です。
多少違っていても、偽者ではありません。
むしろ、ほぼ同じ時間軸を、
無数の私たちが並行して同時に暮らしていると、
そう考えるべきですね」

私は、今この瞬間に無数の私が、
博士の説明に固唾を呑んでいる姿を想像してみた。

「ま、まるで、金太郎飴みたいだ・・・・」

私の漏らした言葉に、博士がポンと手を打った。

「いやぁ、素晴らしい、言い得て妙だ!
あなたは実に飲み込みが早い。
全くそのとおり、どこを切っても私たちがいる。
まさに、あなたの言うとおり金太郎飴です。
ただし・・・」

「ただし?」

博士は、ニコニコ笑いながら、
後ろの装置をまた左手のボードでポンポンと叩きながら続けた。

「こいつで全く同じ私たちを見たところで、
一つも面白くはありませんよね?」

博士の言っている意味がよく理解できずにいると、
博士は、私の顔を覗き込み更に続けた。

「さきほど私は、無数に存在している世界が、
『多少違う』と申し上げました。
いいですか?
これは裏を返せば、あなたが過去の人生の分岐点において、
現在のあなたと違った決断をしたあなたがいる世界が、
他に存在しているかもしれない、ということです。
そしてこの装置は、その世界を探し出して、
過去に遡り、投影することが可能な装置なのです」

「ま、まさか・・・
そ、そんなことが、本当にできるんですか?」

「そこがノーベル賞級と言った所以です。
検索に多少時間はかかりますが、
1週間もいただければ、何とかなるでしょう」

「人生をやり直してみるわけじゃなくって、
他の世界の自分がやり直している人生を、
私が『見る』というわけですね・・・」

「いやいやいや、
全くもってあなたは、実に飲み込みが早い。
あなたのようなお客ばかりだと、こちらとしても楽なんですがね」

その後私は、タカハシ女史からの料金等のシステムの説明と、
博士からの2時間ほどの過去の分岐点の聞き取りの末、
来週末に再度、この研究室を訪れることを約し帰路に着いた。
料金は、申込み時、つまり今日この場で半金と、
1週間後の検索完了時に半金とのことで、
私の現在のへそくりの残高では、多少足が出てしまう。
この1週間は、昼飯は公園で菓子パンだなぁ・・・

《つづく》


※本サイトの作品は、アルファポリス「webコンテンツ」、にほんブログ村「現代小説」ランキング、人気ブログランキング「現代小説」に参加しています。宜しければ、クリックお願い致します。

 人気ブログランキングへ  にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ


posted by maruzoh at 11:00| Comment(0) | ◆ワレナベニトジブタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

検索
 

title.gif
maruzohは、アートビリティ作家さんを、応援します!

●ご連絡先● 〒165−0023 東京都中野区江原町2−6−7
社会福祉法人東京コロニー アートビリティ事務局内
TEL 03−5988−7155/FAX 03−3953−9461
●営業時間● 平日 9:00〜17:20 / 土・日・祝日 休業日